ラッキーストライク
道端に
踏み潰された
ラッキーストライク
あなたがよく吸っていた
見慣れた青い箱
あなたなんかいなくても
私は大丈夫
そう胸で唱えながら
ずんずん歩く
帰り道に
踏み潰された
ラッキーストライク
信号待ちで
とたんに滲む世界
零すまいとこらえて
こらえきれず
ひとつ
ふたつ
地面に落ちる
雨
あなたの
煙草を吸う横顔が好きだった
最後の日に
最後の煙草を吸うあなたの
横顔にそう語りかけた
もっとほかに
言うべきことがたくさん
あったはずなのに
そんな言葉しか
出てこなかった
道端に
踏み潰された
ラッキーストライク
踏み潰された
途方も無い孤独
行き場をなくして
息絶えるのを待っている
私の恋心
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