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普通の妹だったらよかったのに。

こちらの記事の続きです。


兄の結婚を聞いた私は、率直に「おめでとう」と返信した。

そうしたら、次に返ってきたのは「結婚式に招待します」だった。

私は迷った。

一番最初に出てきた思いは、私たちの両親ももちろん参加するだろうということ。私と両親は、物理的にも心理的にも距離を置いた形をとっているため、必然的に顔を合わせることになることに対して、憂鬱な感情はもちろん湧き起こった。

でも、主役は兄であり、両親ではない。
兄(とそのお相手の方)に直接会って「おめでとう」と伝えたい。

その気持ちの方が強かった。

でも。

ここから先は自分でも今まで想像が及んでいなかったことだった。

兄とその相手はどのように知り合ったのだろう。
どのタイミングで結婚を決めたのだろう。
親にはいつ紹介したのだろう。
妹がいることはいつどのように話したのだろう。
自分(兄)と妹、妹と両親との関係性を相手にどのような表現で伝えたのだろう。
相手はその時私たち家族のことをどう思ったのだろう。
そしてどのような思いを経て兄との結婚を決断したのだろう。

いっぱいいっぱい「なんだろう」が浮かんできた。
それらは、「兄が結婚する」というこの状況になって初めて、
言い換えれば、この状況にならなければ考えもしなかったことだらけだった。

そして、私の存在が、兄とそのお相手との関係を深める過程できっと邪魔に感じたのだろうと容易に想像できた。
もしお相手が、そういうことをあまり気にしない寛大な方であったとしても、少なからずその瞬間はあったのだろう。私が普通に家族と連絡を取って、年に1回くらいは実家に帰って、両家顔合わせの時とかそうでなくてもどこかのタイミングでお相手の人と挨拶をする機会を持てるような、普通の妹だったら。

大変に迷惑な妹だなあと思った。そんな妹が結婚式に出席していいのだろうかと深く悩んだ。

でも兄は「招待する」と言ってくれている。

こんな家族不孝者の妹が行ってもいいのなら、
行って直接「おめでとう」の気持ちを伝えたい。

本当はこう伝えたかったけど、恥ずかしくて省略してしまった。

「行ってもいいのなら行きたい」

きっと式会場でも上手く伝えられないんだろうなあ。
顔だけ見せてとっとと帰るよ。



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