ボーイミーツシティ

梅田でいったカジノ

猫耳のガールディーラー
チップが誰よりも高く積み上がっている陰気なプレイヤー
仲良く話すその2人を横目に
奥には、30歳になろうかならまいか悩んでいる男が横並びに座っている
ぼさぼさの伸びた髪が似合うボーイ
頭の帽子が小さくみえるほど顔の大きいボーイ

そしてそれに対面するように座るボーイ
つまり私
隣には友達が、正面にはディーラーのかわいい横顔が
気持ち悪がられてはまずいので、ずっとは見ていられない

夕方にやってきた2人のヤンキーボーイ
初めてのポーカーで臆せずプレイ
そして徐々に積み上がるチップ
チップの高さと共に高まるプレイヤーの警戒心

人数が増えたのでテーブルが変わると
そこにはオールインおじさん
札を見ずにオールインして負けたら万札どかんと出して
チップを新しく購入し、すぐにまた札みずにオールイン
こんどは弱い手で勝って、大量のチップもってく
売れない構成作家みたいななり
古めかしい大阪のノリと心の持ち主
今日、最も大阪を感じることができた瞬間

たまたま地元が近かったディーラーがプレイヤーとなる夜の10時。
ざわつくテーブルの男たち。
実際には上手くいくことのない妄想をして燃え上がる男たち。
そしてチップと共に消えてゆく男たち。
それを横目にディーラーは目的のイケメンボーイに食いつたまま目が離れない。
いま、ここは学校の縮図だ。40人が詰め込まれた箱で起きてることと同じだ。



純喫茶アメリカン
太った中年の横柄なウエイター(これこそ大阪のおばちゃんでありこの場に最もふさわしい)と、コーヒーと一緒に運ばれてきたストローのように細い脚をもった華奢なウエイター。その細さであるのに不健康さを感じさせない重みのある佇まい、声は聖母マリアの使者であるかのように透き通っているが少し震えているとも感じられ、その矛盾でぎりぎり人間と認識できる。
通路を挟んだ向かいでは、大阪の女子大生が恋話に花を咲かせていて、その物語にでてくる男性は私と地元が同じ福岡の男子だった。正確には博多と言われたのだか、それがわかったとたん聞き役の女子大生は、一言「男尊女卑」と。地元がそんなイメージを持たれているのかと哀しくなったところを、話し役の女子大生が、「それは北九州」と返した。さすが北九州。福岡の悪いところを全て担っている。それが真実とは違っていても、福岡県の大概の悪いことは北九州に押し付けられがちである。
人間が自分の力ではどうしようもないことを運や、神様のせいにすることと同じことが起こっている。


帰路につく

帰る場所が当たり前に東京になっていることに、少し驚いた。一人暮らしが板についたのだろうか。私の大事な思い出がつまった故郷を思って少し悲しくなった。

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