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自己開示のために鈍感力を鍛えたい

最近OPENした話題のステーキレストランに友人達と行った時のこと。
予約したにもかかわらず、入り口付近のソファには、10人くらいの人達が待ちくたびれた顔で座っていて席がない。仕方なく立って順番を待っていたら、レストラン内からトイレに立ち寄る途中のほろ酔いの中年男性が、知り合いのていで私達のグループに加わってきた。上機嫌の男性が退席した後、誰の友人かと尋ねたところ、赤の他人でした。

また先日、SFOからメキシコのロスカボスへ向かう飛行機に乗った時のこと。
リゾート地に向かう飛行機内からすでにバケーションは始まっていて、皆さんかなりテンション高め。私の後ろの席の3人の女性達は、飼っている犬の話から、離婚した夫の話や息子の彼女の話まで、到着するまで3時間しゃべりっぱなし。最初、友達グループかと思って話を聞いていたら、たまたま隣に居合わせた乗客で、私の隣に座っていた巨体な男性まで振り向いて話に加わるものだから、私の席も大揺れでした。

実はこういったことは、アメリカではよくある話。

かつてアメリカに住んでいた頃は、アメリカ人はおしゃべり好きでフレンドリーくらいにしか思っていなかった私です。が、現在コミュニケーションを教えている身となり、改めてじっくり観察してみると、社交性の高いアメリカ人は、その場を居心地のよいものに変えるために、自己開示力を使っていることに気付かされます。

自己開示(self-disclosure)とは、1971年、臨床心理学者シドニー・ジュラード (Sydney Jourard) によってはじめて用いられ、言語という手段により自分自身に関する情報を、とくに意図を込めることなくありのままに伝えることとされる。

Wikkpedeia

一般に日本人は、アメリカ人よりも「素の自分」をさらけ出す言動、”自己開示度がかなり低め”という調査結果がでています。

良好な人間関係を築くために「自己開示しましょう」という話は、皆さんも耳にタコくらい聞いていると思います。
なぜ日本人は、親しくない人達に「素の自分」をさらけ出すのが苦手なのか?
それは日本人が、他人の感情への察知能力がずば抜けて高いことに起因していると思うのです。

「空気を読む」「相手の顔色を伺う」

日本人は、相手の表情や仕草、言葉などから必要な情報やシグナルを察知する能力や技術を日々培っています。そしてこの能力があまりないと『空気を読めない』と言われ、他者から疎まれる結果となります。
空気を読みすぎたり、あるいは疎まれることを恐れれば、「素の自分」や「自分の感情」を押し殺すことが得意になってくものです。

乗り物で、急に隣の人に話しかけたら迷惑に違いない。
こんな意見を言ったら、和を乱すかもしれない。軽蔑されるかもしれない。

日本人が乗り物内で静かなのも、授業中に手をあげる人がいないのも、他人の感情への察知能力の高さや恐れが表裏一体となって、私達の口を閉じさせてしまってはいませんか。

逆に他民族国家のアメリカでは、黙っていると何を考えているかわからず怖い、という印象を他人に与えるため、自然に口が開くことになる。

実はいまだに私は、たまたま居合わせた初対面の人たちに自分から話しかけることが苦手。それをつたない英語力のせいにしがちですが、World Population Review 2024によると、サンフランシスコの人口の 3 分の 1 以上が国外生まれで、アジア人の割合は約35%と、白人約42%に接近しているのです。

他人の感情への察知能力が高いことがほとんど役に立たないアメリカでは、鈍感力を鍛えたいと思います。

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