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浴びようアニソン#1「花 -a last flower-」ASA-CHANG&巡礼

おはようございます。

今回は2013年のアニメ『惡の華』のEDテーマ「花 -a last flower-」を、浴びるように聴きます。
このアニメは押見修造氏の同名漫画を原作としています。実写映像をトレースするロトスコープ技術の導入など挑戦的なことを行っているアニメのようです。

それでは、よろしくお願いします!


聴こう

まずは聴きましょう。

この曲はアニメのコンセプトE.P.『惡の花譜』に入っています。
まずジャケットがカッコいい。ピカソのキュビズムの手法を押見修造先生の絵で表現した感じです。
私は原作もアニメもまだ観ておりません。
なお、押見先生の作品は『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』という短編を読んだことがあります。

OP曲の「惡の華 - 春日高男」という曲に神聖かまってちゃんの「の子」さんがボーカル参加しているということで、私はこのEPを購入しました。
OP曲も良かったのですが、このED曲が滅茶苦茶個性的でずっと耳に残り、これは腰を据えてちゃんと理解しておきたいという気持ちが湧きました。
この機会にこの「花 -a last flower-」を自分なりに腹落ちさせたいと思っています。

音楽性 ~打楽器が主旋律~

まず私がとにかくビックリしたのが、この曲が今まで聴いたことがないような形式の音楽だということ。
ボーカルに音階がほとんどなくて、しかも小間切れにされてしまっている。
単なる朗読というわけでもない。

最初私は、人の話し声を切り貼りして気合いと根性でボーカロイド等の機械音声を再現する、いわゆる「人力ボカロ」の部類の曲なのかなと思いました。
しかし、普通「人力ボカロ」は如何に聴き取りやすい自然なボーカルに仕上げるかが作者の腕の見せ所であり、それらと比べて今回の曲は聴きにくい。
なんで?
(↓人力ボカロの例としてどうぞ。凄い。)

答えはこの曲の原曲を聴くとなんとなくわかりました。
今回聴いた「花 -a last flower-」はアニメタイアップ用に改めてアレンジされたもので、オリジナルは2001年に発表された「花」という楽曲。
「花」ではぶつ切りのボーカルが、途中から何やら太鼓のような音色と同時に発せられます。
この太鼓はU-zhaanさんが演奏する「タブラ」というインドの楽器。

原曲の「花」ではタブラが伝統的な手法で演奏されており、その上にボーカルが乗せられている。
つまり、普通の曲でメロディの上にボーカルを乗せるのと同じように、タブラの打音の音色にボーカルを乗せたのが「花」という楽曲なのです。だからボーカルは短くぶつ切りで、音程も単調になっている。
そして、アレンジの「花 -a last flower-」ではタブラの伴奏が消えて、ボーカルが独立したのです。

でも、こうしてオリジナルとアレンジ版を聴き比べてみると、アレンジ版はこれでも(?)ちゃんと大衆向けに分かりやすく洗練されているのだなあと感じます。
原曲ではバイオリンが延々と同じフレーズを弾くことで時を刻み、代わりにタブラが自由に動き回って主旋律を担っています。打楽器と弦楽器の役割が日本の一般的なポップス楽曲と逆になっている感じがあります。
一方でアレンジ版ではバイオリンがボーカルに付き添うようにメロディらしきものを伴奏してくれているので、まだ普通の曲のフォーマットに沿っています。
あとアレンジでは萌え萌えな声質のボーカルが加わって、聴いててカワイイ。この「胡桃沢さん」って一体誰なんだ……?

歌詞 ~暴走する語り手~

歌詞について、私が思ったことを書いていきます。
何の確証もない妄想なので、話半分で聞いて頂ければと思います。
結論としては、「花そのものではなく、歌詞の語り手のほうが病んでるのでは?」という話をしていきます。

前半の歌詞では、「咲くはずのない花が咲いたんだよ」と言って、語り手から見た花の様子を淡々と述べています。
語り手から見ると、その花は何だか風に吹かれておびえているように見えたようです。

中盤で、花が泣き始めます。これは本当に花から水が垂れていたのか、それとも語り手から見て「泣いているように見えた」だけなのか、よくわかりません。
ただ、このあたりからなんか徐々にボーカルが生き生きとしはじめます。

後半ではボーカルがめっちゃ早口になります。歌う内容も、花そのものの描写から次第に乖離していきます。「この花は闇を愛し闇に愛されているんだ」とかいう語り手の思い込みかもしれない内容からはじまり、「この花が斬られたりしないようにしたい」という個人的願望とかを言い出します。
しまいには「この花には光を当てるべきだ。でもそれは月の光であるべきだ」という語り手のフェチ丸出しの主張が始まります。

最後、語り手は居てもたってもいられなくなり、「君は本当の光を浴びるべきなんだ」という考えを花自身にいきなりぶつけていきます。
すると花は答えます。

光はイラネ 水ヲ下さイ

花が喋った回数も示唆的な気がします。
4度同じことを言ったということは、語り手は「光などいらないよ」という花の言葉を無視して、少なくとも3回以上自己主張を続けたことになります。
目の前が見えなくなり、一番守るべきはずの花本人の意見さえ聞こえなくなってしまっているのです。

以下はまとめですが、完全に私の妄想を含んでいますので注意。
この語り手君はずっと闇の中で孤独に暮らしてきましたが、ある日突然、彼の闇の中に一本の花が咲いた。
嬉しくてずうっと観察していると、次第に彼は花のことが好きになっていく。
そして彼の中で、愛情ゆえの妄想が膨らんでいきました。
「花も自分と同じで闇を愛している。だからこそこの地に咲いたのだ。
でも花は、今にも折れてしまいそうなほど弱くて儚い。
だから光を当ててあげたい。でも普通の光じゃあだめなんだ、闇を愛する者にふさわしい、月の光でないと。
そうだ、花に月の光を浴びせるんだ、誰が何と言おうが浴びせなきゃならないんだっ!」
「いや、光じゃなくて水が欲しいんだけど……」

うぅん、この語り手(私の妄想のほうね)と同じようなことを私もやらかした覚えがあり、共感性羞恥の心が揺さぶられます。
昔から私も†闇の住人†としての自負を持っていまして(笑)、フィクションでも悪役や弱者に共感しがちなんですよね。
『バットマンリターンズ』のペンギンとか、『アメイジングスパイダーマン2』のエレクトロとか大好きです。
エピソードは伏せますが、その「†闇†への一方的な共感」を私は現実でもやらかしてしまいました。良くないですね、、、

結局、本人と話し合うコミュニケーション能力が自分に無いのであれば、自分としては当事者に関わらず放っておくか、もしくは専門家にレシーブするのが一番ですよね。自分が関わることで余計話がこんがらがるし。多分。
……何の話をしているんだ私は。

広がる「花」ワールド

この「花」という楽曲は、今回の「花 -a last flower-」も含めて色んなアレンジが出ています。
この世界が気に入ったら、ぜひそちらも聴きましょう。

まず、「花」の原曲が入っているミニアルバム『花』には、「小花」という曲が入っています。
こちらは「花」の前半部分(スーパーオタク妄想モードに入る前の部分)をポップに表現しています。
演奏がどこかひょうきんだし、ボーカルに「原曲のものまねをするおサルさん」っていう雰囲気があってかわいい。すき。

2021年には『花 -20周年記念集-』も出ています。
私はこの記事を書き終わったら聴きに行きます。

あと、VTuber界隈とも若干繋がりを見せています。
例によって私の推しVTuberの月ノ美兎さんの話になります(このオタク、いっつも美兎の話してんな)
彼女は楽曲の演奏部分を全て地声で忠実に再現する「効果音全部俺」シリーズをこの「花 -a last flower-」でやりました。
これがかなりクオリティ高い。
これに合わせてみんなで歌おうぜっ!それっ、ハナガッ、サイタッヨッ、、、

また、この動画のお陰で(?)、月ノ美兎さんのソロアルバムに「花」の作詞作曲演奏者たるASA-CHANG&巡礼が楽曲提供しています。
しかもアルバムの表題曲です。
ASA-CHANG&巡礼というグループは「花」で見られるのとは違った形式の楽曲も製作されているのですが、この「月の兎はヴァーチュアルの夢をみる」はいかにも「花 -a last flower-」っぽい曲になっています。
それでいてめちゃくちゃ聴き馴染みの良い楽曲になっていて、凄い。

推しポイント

どこか親しみを感じる痛々しい闇の世界。
聴いていてほっとする。

浴びよう

皆さん、「花 -a last flower-」の理解は深まりましたか?

それでは浴びましょう。浴びてゆきましょう、音楽を。

せーの、

ウオーー。

おわりに

いかがでしたか。

私的には、始めて聴いたときはめちゃくちゃな衝撃でしたが、今ではこの曲にとても愛着が湧いています。
ASA-CHANG&巡礼の他の楽曲も色々聴いていきたいです。
とりあえずアルバム『花』を購入し、少し聞きました。
あと原作も読みたい!
ああやりたいことがいっぱいです!!!

それでは、お読みいただきありがとうございました!
良かったらまた来てください!!!


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