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新時代



2024年7月12日 シンデレラファイトを戦う高島芽衣は強烈な逆風にさらされていた。

東発から手は入った。東1・1本場でもツモが効き、鳴きを入れずに東・中を自力で暗刻にしてリーチに出る。

しかし、仕掛けた朝比奈pに交わされてしまう。

手が入っている序盤で上がりを取らないと厳しい展開になる予感がした。

その後もなかなかフィニッシュまで辿り着かない。

そうこうしているうちに、影を潜めていた廣岡pがハネツモを連続で上がり、終始主導権を握っていた朝比奈pがそれを追う展開に。

高島pの点数は削りに削られ、牌勢は減衰の一途を辿る。

南1局の時点でAIが示す敗退確率は74.4%、南2局では持ち点3100点まで追い込まれる。

南2局も配牌は悪かった

しかし、終始一貫して打牌は早い。速攻で切っていく。そうこうしているうちに絶好の6pをツモって何とか形を作っていく。

・・・

一方、昨年ベスト8の成海有紗も厳しい展開が続いていた。

東1・1本場で高島のリーチをかいくぐって上がりを取るが、廣岡・朝比奈の攻勢は一方的。何とか耐え忍んで3着目。ラス目の高島とは10000点差。さほど開いていない。

南2局。その成海がついに超絶の赤5sをツモって三色を確定させる。ダマでも親マン確定。ラス抜けのためにはダマで確実に討ち取りたい。

しかし、成海が見ていたのはラス抜けではなかった

リーチ

成海が狙っていたのは6000オールからのトップへの逆転であった。

このリーチは上がりの7sが4枚生きていたものの、4枚とも王牌というある意味奇跡的な山積みにより流局。

だが、成海は静かに息を吹き返しつつあった。

・・・

一方高島。配牌もツモも恵まれない中、粘る。

南2・1本場 リーチの朝比奈に高島はギリギリの踏込みで6mを押す。手の内はまだイーシャンテンだが、残り局数は少ない。

高島の強気な押しに成海も引かない。この局は成海から朝比奈への放銃となるが、場は高島、成海、2人の対決の様相を帯び注目の目を集める。

南3局、高島にもようやく手が入り東1以来の先制リーチ。これに日和る成海ではなく、降りずに混一をめざす。結果、成海から高島への放銃となるが、まだ逆転まではいかない。

南3・1本場でも高島が攻める。ドラ北ポンからの東バックテンパイ。何ふり構わず攻め、流局となるがついにノーテン罰符で高島が成海を逆転する

南3局 やはり高島は黙々と、前だけを見て手を進める。鳴きも入れてタンヤオ進行。そしてしっかりとテンパイに辿り着く。

一方成海は七対子が見える対子含み進行。

に見えたが、柔らかく受けた。マンズのカンチャンを受け入れて、順子含みの構成も視野に入れる。

そしてターツオーバーの高島から必然的に中が出る。

成海は鳴いた

上がりに猛進する高島、ぎりぎりの線で先着を狙う成海。

2人の間に差はなかった

あるのは牌の後先だけ

成海は静かに2000・4000を申告した。

オーラスは流局。高島が脱落となった。



南3局の成海の上がりを見る高島の顔には気のせいか、どこか穏やかなものを感じた。

戦う者の間にしかわからないお互いに通じる何かがあったのか。


新時代はこの未来だ
世界中全部変えてしまえば
変えてしまえば

〈Ado 「新時代」より〉


何もなく薄暗く見える世界
新時代はそんな中から生まれるのかもしれない。



追記 文中に盛り込めませんでしたが、高島さんの東2での自ら退路を断つ南対子落とし かなり好きです✨

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