日々雑事5

結婚したのはたぶん21年前、たぶんと言うのは長女が21歳を向かえたから。

バンドマンで水商売をしていた29歳のわたくしは同棲していた彼女から「妊娠したかも…」と言われ嬉しさとも驚きとも何とも言えないただただ「マジで!」驚きとドキドキと何とも言えない将来への不安とそして、何かやらねばならぬそんな感じだったと記憶している。

自分が父親になる気合いもなく、でもなんとなく人生をやっていける自信もなく。でも普通にサラリーマンをやるつもりもない。ただのバンドマンだった。1998年ぐらいだろうか、下北の飲み屋やスタジオでリハをやり、動員のないライブをやり、無料のカセットテープを駅前でくばり、ライブのチラシをばら撒きライブが終わるとライブハウスのスタッフに「うちのカラーじゃないかもねー」と言われ、三軒茶屋のライブハウスに売り込んでも「50人ぐらいは呼べる?」と言われ涙目で玉砕した。

曲を作り詩を書き、スタジオに入りバンドメンバーでアレンジする。練習終われば下北で打ち上げして最後はいつものバーで飲む。客が入らなくても、オーディションに受からなくてもなんだか良かった。
なんとなく日々はうまくいってたから。

ギター&ボーカルの僕は今は工場勤務の正社員。ベースのボビーは結婚して都内のの職員。奥さんと共働き、子供も2人だよ。ドラムのトシ君はあの頃と同じ内装業を続けている。今は親方で一番の稼ぎ頭。今も一緒に飲むと奢ってもらいます。そして、一緒にギター&ボーカルでやってたナオさん。

ナオさん。元気ですか?ビートルズが大好きでギターアレンジのこだわりがめんどくさかったですねー。会えなくなって5年でしょうか?
我々のデモテープは結局どこにもOKもらえなかったですね。
あなたが抱っこした我が家の長女は今年で21歳になりました。貴方は永遠の45歳。なんとも中途半端な歳ですが。下北のスタジオで録ったデモテープは今でもたまに聴きます。下手です。音もイマイチですが僕らが楽しいのがなんだか羨ましいです。あの頃のどうでもいいけどわくしてた時間は最高でした。

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