第369回、割と有名な怖い話の、真実に関する話
前回、岸辺露伴の映画の感想を書いた事で、割と有名なある怖い話について思い出した事があるので、今回はその事について書こうと思いました。
それは作品タイトルも、人物の名前も特にないのですが「お母さん、今度は落とさないでね」のセリフと言えば、誰もが一度は聞いた事が、あるのではないでしょうか。
過去に幼い娘を池に落として死なせてしまった母親が、その後生まれた娘を池に連れて行った際に、同じ状況下で、娘にそう言われたという話です。
一般的に、これは池に落ちて死んでしまった娘が転生をして、母親の元に、もう一度生まれ直して来たという解釈になっていると思うのですが、感動的な話というよりは、どちらかと言えば、背筋がぞっとするような怖い話と、捉えられているように思います。
別に娘に怨念的な感情があったのかはわかりませんし、そこには娘の母親に対する愛情の気持ちがあったのかも知れませんが、この話を聞く限りでは、その真実は、誰にもわかりません。
そしてさらに言えば、死んだ娘が転生をし直して来たのかどうかも、実の所その確証はないのです。
「娘が転生し直して来たから、そういうセリフが出たのだろう」と思われるかも知れませんが、自分はそうとも言えないのではないかと思っています。
ではなぜ娘は、母親にその様な言葉をかけたのかと言うと、少女は、事故が起きた時と同じ状態に置かれた母親が、無意識に思い返していた昔の事故の記憶を読み取った事で、母親の事を気遣い、そんな言葉をかけたのではないだろうかと、自分は考えているのです。
その解釈を聞いて「何それ、娘は超能力少女だったという事?」と思われるかも知れませんが、そういう事が言いたい訳ではなくて、自分は、人間には幼少期の成長段階において、学習手段の一つとして、人の心を読みとる力が元々備わっているのではないだろうかと、思っているのです。
もちろんそんな事は、実証をされていませんし、そもそもそんな事を考えている人も、あまりいないのではないかと思います。
創作世界でも、他人の心を読む力は、一般的に超能力と認識をされていて、人間の基本的な力だとは、あまり考えられていないと思います。
しかし現実でも、一般的に超能力と言われる様な不思議な力が、子供の時に見られる事例が、よく報告をされています。
多くの場合、こうした能力は、脳の進化過程で人間が獲得をしかけている、発達途上の力だと考えられている様に思うのですが、自分はそうではなく、多くの生物に元々備わっている基本的な能力で、人間が言語を獲得して進化をした結果、失われつつある、原始機能の名残なのではないのだろうかと、考えているのです。
多くの場合、それを読心能力とは認識をしていないだけで、よく考えると、子供の言動には、そうとしか思えない様な不思議な言葉が、日常生活の中で度々見られる事があるのではないでしょうか。
この話が本当にそういう話であったのかは、本当の所は、わかりません。
少女は、死んだ娘の生まれ変わりだったのかも知れませんし、読心能力で、母親の心を読みとって、その様な言葉をかけたのかも知れません。
真実は、当事者にしか、あるいは当事者にさえ分からないという所が、岸辺露伴の映画に通じる所がある様に思い、今回そんな事を書いてみました。
※掲載された画像はイメージであり、本内容とは、一切関係がありません。(という文章を、一度書いてみたかったのです)