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第161回、AI画像生成と眠った時に見る夢との類似性について論じてみた

AIの生成画像を見ていると「AI画像って何か、夢の中の映像みたいだな」と思う事が度々あります。
それは一見すると現実との見分けがつかない程リアルな画像でありながら、よく見ると、つじつまの合わないおかしな個所が所々に見られるからです。

そこで今回は、AIの生成する画像と、人間が眠った時に見る夢との類似性について、比較をしながら論じてみました。

類似性その1.細部のつじつまが合わない

これは冒頭で既に言っている事ですが、AIの画像には、一見リアルなようでよく見ると、細部につじつまが合っていない画像が度々見られます。

例としては、建物や乗り物などの形状が、現実にはあり得ない構造になっていたり、何かが不足又は多すぎたりする事です。
これはAIが、建物や乗り物の構造までははっきりと把握をしていない状態で見た目だけを似せようとしているからで、自分達の見る夢も、それを見ている時は、現実との区別がつかないくらいにリアルな映像に感じていますが、夢から覚めてよく思い返すと、おかしな所があったりするのに似ています。

又これは夢の中だけの現象に限らず、自分達が絵を描く際にも起きていて、物の構造を理解している人が絵を描くと、きちんとつじつまがあう理論的な絵になりますが、理解していない人が絵を描くと、一見上手に見えていても理論的には、おかしな所が出てしまいます。

画像生成AIは、画像を理論的な構造としてはきちんと把握していないので、どんなに学習を積み重ねて絵がリアルになっていっても、ちょっとした所で普通に考えたら、ありえないような生成ミスを起こしてしまいます。

同じCGでも、構造を理論的に把握して描写をする、3DCGとは根本的に原理が異なり、いうなれば3DCGが理系のCGなら、画像生成AIは、文系のCGだといえるのかもしれません。

しかしこれはあくまでも、今の技術の上での話です。将来的に3DCGの技術と融合して、理系と文系の両方の性質を併せ持つ、画像生成AIが誕生するかもしれません。いや人体の構造を骨格として把握する骨格モードなども既にあるので、この方向の進化はもう進んでいるのかもしれません。

類似性その2.文字がきちんと読めない

画像生成AIで描かれる文字は、何となく文字らしい形をしている物の、実際には、何て書いてあるのか読めなかったりします。
これは、画像生成AIに文字の認識がなく、文字をただの形として処理しているからで、人間もきちんと学習した文字は、見ただけでちゃんと意味のある文字として書く事ができるけれど、未学習の外国の文字は、それを見ても、きちんとした文字として、再現ができないのと似ています。

しかしAIには知っての通り、画像の中の文字を認識して翻訳する技術も既に存在しているので、そうした技術と融合する事で、意味のある文字として画像を生成できる日が来るのも、そう遠くはないのではないかと思います。
(自分が知らないだけで、既に実現しているのかもしれませんが)

ちなみに、夢の中の文字はどうなっているのかと言うと、本を読む夢を見る人もいると思うので、普通に読めるのではないかと思うかもしれませんが、自分が昔、明晰夢の中で検証した限りでは、夢の中の文字はそれらしい形をしているだけで、文字としては読めませんでした。
つまり自分達は、夢の中で、文字を読むという行為を再現しているだけで、実際には文字を読んでいないのです。
最も看板みたいな大きな文字なら読めたかもしれませんし、文字の認識能力の低い自分が独自に検証した結果なので、全ての人に当てはまる事なのかはわかりません。

類似性その3.心理的なバイアスが働いている

夢の中での事は誰にも知られないので、好きな事をやりたい放題にできてもよさそうな物なのですが、夢をみている間は、それが現実と思っているので誰もが心にバイアスをかけて、現実に則した行動を行いがちになります。
そしてAI生成にも、これと似たようなバイアスが働いているようなのです。

どういう事かと言うと、AIは学習した素材画像からもたらされるイメージの範囲内でしか生成イメージを抱けないので、学習素材(現実の出来事の画像)を逸脱した画像は、上手く生成できないのです。

例えば、石ころ一つを空に浮かせる画像さえも、AIには学習素材画像の中にそうした物が含まれていなければ、生成する事ができません。
人間だったら、それを想像して絵に描く事くらいはできますが、しかし人間も、夢の中で石を浮かせられる人は、あまりいないのではないでしょうか?

想像の中でなら自由にできる事でも、現実だと思っている夢の中では、心のバイアスがかかって、それを上手く行えないのです。

AIは石が空を浮いている画像を見た事がなければ、そういう画像イメージを抱けませんが、人間みたいに「これは空想だから好きなように描けばいい」という思考には至らないようで、AIには多分まだ、現実と空想という概念ができていないのだと思います。

最もそういうAI画像を見た事があるという人もいると思いますが、その場合恐らく学習画像の中に、空想的な絵が多分に含まれているのだと思います。

生成AIには、ある画像の描写に特化して学習をさせた、様々な生成モデルがあるので、そういうモデルを使えば、様々な画像の生成も可能なようですがいずれにしろ、学習していない画像を推測で生成する事は、今の所はまだ、AIは苦手なようです。

最もAIは、人が空を飛ぶ画像を生成するのは、割と得意なようなのですが、これは多分、ヒーロー物の作品などで、そういう画像を大量に学習しているからなのではないかと思います。
もしかしたら、AIにとって「人間は空を飛べる」という認識になっているのかもしれません。

夢の中で、夢だという自覚がないのに、空を飛ぶ夢を見た事がある人は結構いると思うのですが、これも恐らくは、アニメや映画などの影響で「自分はその気になれば空を飛べるはず」という強い思いが、潜在意識で働いているからなのかもしれません。
そういう人は現実でも、ふとしたきっかけで、空を飛ぼうとしてしまうかもしれないので、注意が必要かもしれません。

ちなみに自分は明晰夢の中で「これは夢だから」と、心理バイアスを外して犯罪行為をしていた所、警察や周囲の人々から追われるはめになり「あれ?これは夢じゃなかった?現実だった?」と焦る経験をした事があるのですがこういう事を繰り返していると、いつか現実の方を夢だと勘違いをする事になりかねないので、本当に注意が必要かもしれません。


まとめ

自分はAIの内部構造について詳しい訳ではないので、今回もいつものようにただ思った事を述べているだけなのですが、AIが画像を生成するプロセスが人間が夢をみる際の構造に似ていると思うのは、あながち的外れな考えではないのではないかと思っています。
それが意味している事は何なのかという事までは、自分にはわかりません。
AIの思考が人間の思考に近づいているという事なのか?人間の思考が元々、AI的な側面を持っているという事なのか?
ただ子供の頃から、意識を持ったロボットが活躍するSF作品を見てきた自分にとって、今の生成AIに、原始的な意識の芽生えが起こり始めているのではないかという、妄想めいた夢と期待を抱きたくなるのです。

AIと現実と妄想のはざまにいる少女

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