第254回、1001回目の告白
青年「付き合ってください」
彼女「ごめんなさい」
青年は、秒でふられるのだった。
今回は原点回帰で、ストレートな告白を試みてみた青年だったが、結果は
いつもと変わらなかった。
青年は、その彼女に、既に千回の告白をしていた。
もちろん千回というのは、ことばのあやで、実際に数えている訳ではないがしかしそれ程、その彼女に告白をしていたのだった。
千回も告白して、よく相手が警察に通報しないな。
もしかしたら、それがふられる原因じゃないのか?と思われる方もいるかもしれないが、安心して欲しい。
彼は、タイム・ルーパーなのだ。
永遠に繰り返す時の中で、毎回リセットされた状態で告白をしているので、彼女にとっては、その全てが初告白なのだった。
最初は告白をするのに相当な勇気を必要としていた青年だったが、告白にも次第に慣れて来て、百回を超える頃には、告白する事に何の躊躇も感じなくなっていた。
断られれば断られる程、彼のゲームオタクとしての攻略心が揺さぶられて、ただこの無理ゲーを攻略したいという執念だけが、心につのっていた。
彼はこれまで、様々な場所で、様々な告白を試みて来た。
話をした事のない彼女に、フラッシュモブをした事もあるし、推理小説風に脅迫文で告白をしたり、吊り橋効果を狙って、吊り橋突き落とし告白をした事もある。
告白が過ぎて、うっかり彼女を殺してしまった事も何度かあったが、彼女は翌日には何事もなかったように、彼の前に素敵な笑顔で現れるのだ。
青年「告白には、やはり火薬の量を増やすしかないか‥」
告白のしすぎで、もはやどんな告白をするつもりなのか想像のつかない領域へと入ってしまっていた青年の前に、黒服の怪しげな男が声をかける。
怪しげな男「お困りのようですな」
その一言で、容易に姿を想像できてしまうその男は、さらに言葉を続けた。
怪しげな男「いえ怪しい者ではございません。私、あなたのようなお困りになっている方をお助けする、セールスマンをしてまして、名を‥」
それ以上は表記のできない名を口にする男は、さらに言葉を続ける。
怪しげな男「お客様は、インプリンティング効果というのをご存じで‥
このリンゴを使って、彼女を眠らせた後に‥
目覚めのキスで、彼女の心は‥
いえいえ、お代はいっさい頂きません‥」
ドーンッ!!
途中から粗話を聞き取れていなかった青年だが、怪しい男が最後に人差し指を青年に向ける仕草をすると、青年はそのまま気を失うのだった。
青年はその後、彼女に毒リンゴを食べさせた罪で逮捕をされる事となる。
怪しげな男「おやおや、どうやら失敗だったようですね。でもまあ彼は、 タイム・ルーパーですから、人生を何度でもやり直せますからね。
最も告白に成功した所で、結局時間は元に戻ってしまうのですけどね。
お~ほほほ‥」
タイム・ループと1001回目の告白というプロットだけで、見切り発車をしてしまった物語は、数行書いてタイトルオチであった事に気がつき、それ以上は書く気を失せて、適当なオチで終わらせる事にした作者でなのであった。
ちなみに今回の投稿と全く関係がないですが、現在上映されているアニメ、「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」は、めちゃくちゃ自分のツボで、自分もあんな話を書いてみたいと、能力もないのに思うのでした。
(不思議な小学生少女が出ていれば、何でもツボなのですが‥)
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