ライオンのおやつ　小川糸さん

くすぶってた気持ちが大きく揺れた
9年前癌になったのに
軽く済んだものだから
それでも術後の部位は痛むというのに
いとも簡単に忘れている自分は
愚かでしかない
いつも卑屈でネガティブで過去を恨み呪い
思い出したくないと忘れている
思うとおりにならないのが人生だと何度も読んだのに
どうにも埋まらない抑えきれない気持ちを
持て余していた
幸せになろうよと手を差し伸べてくれる人がいて
優しく優しくしてくれるものだから
甘えているずるい人になっている
ライオンのおやつはそんな私の心をよいしょっと持ち上げてくれた
休みの日は朝から日本酒をあおり、眠り、夜は眠れず
泣かないだけましかみたいな過ごし方をしていた
そんな時間も必要と言い訳しつつ、体を蝕むほどの量となれば
死んでしまう、母のように
酒で亡くなった母は６４歳だった
自分も致し方なく酒は友達だと
希望は持つとしんどくなるから見ないようにして
未来を考えると不安ばかりでまた、しんどくなり
生きるのは本当に大変だと考えるばかりで疲れている
ライオンのおやつはそんな私の横っ面を張るのではなく
そっと背中に温かな手をおいてくれさすってくれ
よく頑張ったとほめてくれてるような気にまでなった
変わらなくちゃいけない
せっかく生きてるのに
今からでもきっと健康になれる
昨日、お酒を抜いた
お酒を飲まなくても過ごせるように頑張ろう
今日も飲まなくても過ごせる気がする
寂しさが消えているような気もする
生きてることの幸せをちゃんと確かめよう
過去でもなく未来でもなく今だと書いてあった
今が幸せで過ごせていればそんな幸せなことはない
未来におびえて消極的な考え方で小さく収まろうとするのはやめてみよう
せっかく手を差し伸べてくれる人がいるのに
ちゃんと本気でその手を握ろう
切れてしまうような切ってしまうような細い糸のような自虐はやめて
太く強く絶対に切れないように今まで出来ずにいた
やれたことのないその人とずっと手をつなぎ続けることを
感謝して努力してみよう
運動して痩せよう５キロでいい痩せよう
一週間後にはまた萎えてる気もするけど、するけどけど、
私とはそういう弱い人間なのだから
また、立ち上がれるようにライオンのおやつを読めばいい
久しぶりに上を向いて歩ける気がする