穴は果てしないASDの鏡だからねと

 男が好きなことといえば穴に棒をいれることである。
 と言うことで私に回ってきた仕事は3ミリ穴のパンチングメッシュにひたすら釘を2000本いれると言う仕事である。
 こういう仕事は好きだ。
 自分の中のASD的な特性とADHD的な特性が合間ってもっともアイデアが浮かんでくるからである。
 脳死で手を動かしながら止めどない思考の流れをひたすら思考実験や自己の好みにの方向について流し、考え、自分をより深く理解していく。
 空は果てしない心の鏡であると歌われているがきっと作詞家も同じような気持ちだったのだろう。
 ただ彼?彼女?は空と雲を見て俺はベトナムのような環境で油汚れのマーブル模様の床と穴を見つめているが。
 自分の思考に入水自殺するように頭を巡らせているとタイムスリップしたかのように仕事が終わっている。
 そしてベトナム人達と共同でやらなくていいと言うのもまた理想的だ。
 暑くなると頭が回らなくなるのは何人であっても同じであるようで、影の長さと日本語能力が比例している。
 そのため、昼食後の眠気と思案で溶けた脳味噌にはコミュニケーションが難しいのである。
 時に陽炎を凝視し、時に蝶を、時に風を挟みつつ思案する昼下がり。
 この贅沢な時間の使い方には働いてなければ気がつかなかっただろう。
 自己投資こそが有意義な時間であり、堕落こそが無駄な時間だとしたらこの時間はバンジーガム。
 俺の頭の上を飛び交うベトナム語も、熱気も全て忘れられる。
 なんの本だったか忘れたが戦争中、1番無心になれる瞬間は"戦術的種蒔き"、つまるところ自慰行為をしているときだと言う。
 穴に棒を入れるのはまさにそのような気分だ。
 この仕事だけを毎日やりたい。

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