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半霊半物少女最終話



総合留置所

星流しを目前に控えた
デニッシ族の長の記録

面会に立ち会う
逆さに浮遊する
デニッシ族の長




「そうか、ラグラから
我々デニッシ族を
断ち切ると。
創造主自ら明言したのだな?」

「は。長‥我々は」

「よもや‥な」
「して、我らの行き着く
先はアクロギスである事もか」

「はい」
「掟は、我々だけでやれとも」

「創造主たるや‥
家族を前に確固たる
不動の組織を
組み上げるとは」
「手を出すな。もはや
我らでは奪えぬ‥」

「では‥長?」

「残りの皆に伝えよ。
我々の行き着く先は
アクロギスであると」

「‥御意」

「フフ‥」

「長?」

「居場所まで与える為に
此処から断ち切る方を
明言するか。敵わぬよな‥」
「時は近い。急げよ」

「は!」


男は留置所を
後にした。





ロカです

小学三年になりました

最初で最後の物語です


‥ちょっとだけ時間

うん‥大丈夫


あれから少し
経った頃でした。

ママは私達家族に
自分が出来ることを
精一杯やり遂げました。

私がもう少しで
三年になる目前に、
侵食者から受けた
ママの胸の呪いは
限界まで来ていました。

ママが限界だったのか
私にはわかりませんでした

大丈夫‥
もう少し

この物語は
バッドエンド
じゃないからです

ママは最後まで幸せだと
言っていたから
私達家族も
お別れするのは辛いし
悲しいけど‥

でも普通の家族には無い

大事な事
大切な事

一番の幸せを
ママが沢山
くれたから。

ロカは、最初から
喋る必要が無かった

どっちでも良かった。

けど、ママの姿を見て
耐えられなかった。

話す事ができるなら、
どんな事があっても、
ママといっぱい話せる様に
なりたかったから。

どんな事になっても
受け入れて

未来に向かって
家族で過ごすから。

喋らないままママと
お別れするのは
嫌だったから

こうして話すと
ロカがママの未来を
奪った様に聞こえるから

伝えるのが嫌だった‥

姉ちゃんは
わかってくれたけど

みんなはどう思うだろう

この物語は、
ママが高校生の時の話で
終わる筈だった

それでも
ママは伝えたい事
沢山あって、

満足していた。

パパも、最高の時間を
過ごせたって言う。

悲しんだりしたら
アイツに悪いって言う。


だから、
お別れとか
さよならとか無しで

「ありがとう」
で良いんだって

だからママに伝えたい
愛してるって‥






イーノでっす


ロカの作文発表
先生に頼んで
私が授業参観に
出席した。

イーノ
「良く言えました!」
ロカ
「ゔん‥」
イーノ
「お涙頂戴じゃないっての
もう‥」
「今だって幸せよ。ね?」
ロカ
「見てるよね」
イーノ
「見てるわ。わかるし」
ロカ
「うん」


パパが、ママの代わりに
アンドロイドでも
遣わすかって聞いて来た。

もちろん断った。

私、料理も作れるし
ロカもお皿割らなく
なったし。

気は楽です
これもママのおかげ

ロカ
「ロカには難しい」
イーノ
「良いの。難しいんだから」

ママの最後の
メッセージは

こう

泣いても大丈夫よ
その涙が強くするから

堪えたって
取り繕ったりしても
強くは踏み出せない
力だから。

だから、泣いて良いの


イーノ
「思い出しちゃった‥」
ロカ
「姉ちゃん?」
イーノ
「涙は人を強くする!」
ロカ
「うん」
イーノ
「さ、帰ろう」


もう会えなくても

きっと見てる

だから‥

プルルルル‥
ピッ

イーノ
「はい!ん、元気よ爺。
え?婆も家来る?
わかった。
パパにも伝えるね!」

ロカ
「爺から?」
イーノ
「うん、婆も家来るって」


話逸れちゃった
とにかく


我が家は家族で
繋がった

それは確かだけど
後は私達次第‥


私もロカも
強くなります。


おしまい‼︎


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