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半霊半物少女17

微睡みの中‥

仰向けの私

そっと眼を開く
此処は確か‥
私は確か‥

感触の良い草原に
聳える世界樹が見える。

隣に立つ誰か
蒼穹かしら?
違う気配

一回り小さい
黄色いワンピースの
‥誰?
その子がしゃがんで
こちらを見る

話さない
笑ってる
無邪気な笑顔

私も笑顔で応える
私の髪の色が
気になるのか
そっと触れて来る

「アンタが気に入ったみたいよ」
エノク
「誰?」

小さな光の羽が開く精霊族
そのうちの一人が話す。

「チタよ」
「その子名前ないのよ」
エノク
「え?」
チタ
「ずっと誰かしら見てたでしょ?」
エノク
「そう言えば‥」

この子
エイマとシチと
世界樹に行った時に
現れた子

さっきの時マーゴも
言ってた‥

それを思い出した時
少女の表情が曇る

エノク
「ごめんなさい、思い出したわ」

問答無用で戦闘を行い
デニッシ族を
討伐した光景を
思い出すだけで
この子は反応したのだ。

私の心が見えるのか
感じ取れるのか

エノク
「ねぇ、名前つけて良い?」

私は起き上がると
少女も立ち上がる

そっと触れる風
髪も服も靡く。

少女に触れてみた
綺麗な真っ直ぐな髪

私達と変わらぬ姿を
見せているのに

エノク
「ん〜名前‥」
「男の子の名前は付けられないわ」
チタ
「その名前だけどさ」
エノク
「ん?」

チタが言う。
その付けた名前が
いつかアンタの
子供に付ける様になると
彼女は言う。

チタ
「男も女もないから自由に付けたら良いわ」
エノク
「へ?」

少女を見る
目が綺麗だ。
澄んだ大きな瞳

そうだ。
彼女だけではなく未来に。


そして




シュコー‥

ピッ

生命維持措置の反応
意識不明から戻った際に
反応するバイタル信号

看護婦がいち早く
医師、家族に知らせる。


目は、まだ見えない
強制的に閉じられている
アイガードを装着しているから。

大きな手で私の
細い手を握る
これは‥

エノク
「タケ?」
タケ
「ああ、俺だ。よく分かったな」
エノク
「パパかと思ったけど、きっとタケだって思ったわ」
ガラキ
「此処にいるぞ」
サラ
「ああ、良かった」
エノク
「パパ、ママ‥」



私は再び眠りについた。



あの時と同じ様に


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