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The blue sky of the outlook26 hecto

大事な事をすっぽかしていた。
私は教室に入ってすぐさま、
タケの元に。

エノク「タケ!ごめんなさい‼︎
タケ 「‥い、いや」

タケは頭を軽くかく。

静かに答えた。

タケ 「‥俺も少しせっかち
    すぎたかもしれん」
エノク「え?」
タケ 「サンキュなエノク」
エノク「え、じ、じゃあ‥」
タケ 「端末、
    まだ持ってるか?」
エノク「ええ!」
タケ 「暫く預かってて
    くれるか?」
エノク「え‥でも」
タケ 「正直、まだ俺も
    持てねえんだ」

私が持ってる訳には
いかない筈の端末。

唯一の形見なのに。
私はタケに聞いた。

エノク「タケ、どうするの?」
タケ 「そうだな‥」

タケは少し考える。

タケ 「放課後、少し良いか?」
エノク「ん。」


授業を全て終わらせて、放課後
タケと合流した。

エノク「タケ!お待たせ」
タケ 「良し、まず空港にいくか」
エノク「はい」

空港へと向かう私とタケ。

2人で行動するのは久しぶり。

引越し以来の空港。

タケ 「何処から探すか‥」
エノク「私はホームでスリに
    会ったの」 
タケ 「だとすれば、もっと
    人が混み合う場所か」
エノク「今もいるかどうかは‥」
タケ 「盗みで食っていけるなら、
    家なんて必要ないだろう」
エノク「ここじゃないわね」
タケ 「もっと混み合う
    場所は‥ん?」

その時、タケがある男に注目した。

タケ 「そういや、スリの男は
    小太りって言ったな」
エノク「あ!あの人だわ‼︎
タケ 「良し、後つけるぞ」

男は不可解なルートで歩く。

カモを探しているのか。

タケはまだ追い詰めない。

男はウロウロすると、
カモを諦め、
エレベーターに乗ろうとした。
タケが動き出す。

エレベーターの扉が開いた
瞬間を狙って
首元の襟を掴み、
引きずり出す。

男は天パって、タケを見上げる。

 男 「な何ニダ
 タケ「お前に用がある」

壁ドンで男を包囲する。
後ろの私にも気付く。

 男 「お、お前
エノク「あの、正直に
    答えて頂けますか?」
 男 「何ニダ俺を警察にでも
    突き出すニカ
 タケ「俺の兄貴の端末
    持っていたな?」
 男 「知らん‼︎
 タケ「傷だらけの端末だ。
    覚えてるよな?」
 男 「知らんニダ‼︎
エノク「私が預かってます。
    何処で手にしたんですか?」
 男 「おま!無いと思っ‥」
 タケ「知ってるな?」
 男 「知らん‼︎
エイマ「正直に答えた方が
    良いですよ〜」
 男 「な、何ニダお前
エノク「教えて。何処で
    手に入れたの?」
 タケ「警察に突き出しでも
    良いんだぜ?
    どうせ常習だろ?」
 男 「ひ、ひい‼︎
エノク「タケ」
 タケ「わかってる。
    何処で盗んだ?」

男は天パって混乱している。
タケ相手だと白状し無さそう。

タケが抑えている間、私が聞く。

エノク「警察には言わないわ。
    そのかわり答えて。
    どうやって手にしたの?」
 男 「な、何が知りたいニダ
エノク「端末の事を聞きたいだけ」
 男 「その端末は盗って無いニダ」
エノク「どう言う事?」
 男 「もの凄い勢いで飛んで来たニダ」
エノク「 」
タケ 「適当言ってんな‼︎

どうやら、男はバイタルが
異常に強い種族で、
ここに来る前に端末を手にした。

致死量の勢いで飛んで来た
端末に当たり
たまたま手にしたと言う。

まさかと思ったが、男はそれ以上
証言せず抗う。

私はある事例を思い出し、
男を許すことにした。

エノク「タケ、放して上げて」
 タケ「⁈」
エノク「正直に話したわ。」
 タケ「あれがか⁈」
 男 「ニダぁああーーーー!」

一目散に逃げて転んで去る男。

 タケ「ったくお前‥」
エノク「エイマ、岩礁群の件覚えてる?」
エイマ「はい。どうかしましたか?」
エノク「この端末も岩礁と同じ原理で
    飛んで来たとしたら
エイマ「 」
 タケ「どう言う意味だ」
エノク「断定はできないけど」

私は考えるのを諦めた。

傷だらけの端末。
岩礁帯と思わしき場所から、
飛来して来たと考える。

そもそも‥あの岩の群れが何処から
やって来たのかさえ、私達は何も
わかっていないのだから。

議論しても仕方ない。
私達は寮へと帰る事にした。

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