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Ragura Floating World44


はい

エノクです!


母体殲滅後
蒼穹が目を使い
探すも
とりあえずは

これ以上の
進軍の恐れは
無いと言う

平和に戻った様‥


とは言え
私もまだ完全
とは言えない

いつまでも
ジェスチャーで
蒼穹を応戦する
訳にもいかないし
同じ手が通用
するだろうか

無意識下の戦略で
ラグラ全土を
式で囲って
しまいたい

私の最終的な
成長はまだ
先になりそう

蒼穹も母体4体分は
ラグラに配置して
防衛網を
確保したいと言う

先は長い

間もなく一体目が
絶海から浮上する


普段書物は
ベクターBOXに
格納していつでも
読み返し出来る
様にしてる

そんな事考えてたら
学校に着いた

ネイル
「じゃ、後でね〜」
エノク
「ね〜」

校舎に入ろうとせず
裏側に回り
角からそっと覗く

居た
花壇の手入れを
黙々とする
男の子

男の子
「ふう‥」
エノク
「おはよう」

男の子
「うわあ‼︎」
エノク
「ひゃあ‼︎」

男の子
「な、何⁈誰?」
エノク
「び、ビックリしたぁ」

男の子
「 」
エノク
「あ、君、前から
一人で手入れしてるから
気になってて」
男の子
「‥初めてだよ」
「声掛けられたの」

はにかんで笑う

男の子もフッと
微笑む

エノク
「ね、手伝って良い?」
男の子
「あ、ああ。」
「けど、一通り
終わったんだ」
エノク
「え〜」

まぁ、侵食者と
渡り合ってたから
仕方ないのだけど

そろそろ行こう

エノク
「私」
男の子
「え?」
エノク
「エノク」
「じゃ」
男の子
「じゃ‥?」
「仙人?」
エノク
「違う」



休み時間

一人の時間

階段に座って
書物を読み返すが
最後の解読が
出来ない

エノク
「循環を維持する
だけじゃ惑星規模で
守れないし次の襲撃に
対応出来るかしら‥?」
「何かが足りないのよ‥」

最終工程に必要な
ヒントも無く
一人で悶々と
考える‥

ドヤ顔で守りきれる程
思い上がって
いる訳では無い

解読書でも
分からない項目

遠い目で見つめる

「目を悪くするよ」
エノク
「 」
「うひゃあ‼︎」



思わず書物を
落としてしまう

エノク
「え、何?誰⁈」

花壇の男の子‥
フッと笑う

「君は相手の
隙を狙うのは
得意だけど
自分の隙を
守るのは
得意じゃないんだね」
エノク
「 」
「そうね‥」
男の子
「その本、不思議な
文字だね」
エノク
「ん」
男の子
「悩み?」

嗚呼‥

確かに
悩んでいる

男の子
「一人で読むって事は
見られては
ならないもの?」
エノク
「ええ」

書物を拾い上げ
ベクターBOXで
格納する

‥自分の隙か
確かに
無防備過ぎた

エノク
「指摘ありがと」
男の子
「‥違う」
「今朝と違う」

何が?

男の子
「世界が滅んで
しまいそうな様な
そんな顔してるから‥」

ドクン‥

表情を変えず教室に
戻ろうとしたが
手を掴まれる

男の子
「待って」
「君一人で悩む
問題なの?」
エノク
「 」

言えるものか

侵食者の様に
口が裂けても


エノク
「ごめんなさい」
「話せる問題じゃ無くて」
男の子
「 」

手を離した

私は多分
人生で最も
暗い表情を
彼に見せた
かもしれない

その反応を
確かめる事なく
私は教室へと戻った


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