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Ragura Floating World78

エノクです

教室からの
転移ポータルの
突然の拉致



拘束から
なんとか



逃げ切れない

軋む様に
押さえ付けられ

悪漢が
私の耳を
握り引っ張る

陣痛並みの
痛み
苦しみが
私を襲い

絶叫する

男が私の前髪を
掴み上げる
注射器を持つ
男が目の前で
笑った


「書物読めるんだって?」
エノク
「 」

「持ってるよね?」
「注射器怖いよね?」
エノク
「 」

怖い

男は泡の
ヨダレを垂らし
にっこり笑い
注射器の
先端を
目の前に晒す



スク
ミタマも
来ない

此処まで‥?

「そこまでだ」

突然の旋風が
注射器を
持つ男を
巻き上げ
天井に
クラッシュ

落ちた
タイミングで
現れたチチが
旋風を纏った
飛び蹴りで
男を通路の端まで
吹っ飛ばした

ラド
「離してやれ」

一撃の蹴りが
私を拘束する男を
蹴飛ばして
壁にクラッシュした

手足が変な向きで

あんなにいた
悪漢の群集が
姿を消している

危険が去る

震える私にチチが
声を掛けてくれる

チチ
「だから俺と連携を
取れと言ったんだぞ」
「捜査はプロだからな」

私の端末を探知して
即席ポータルで
来てくれた訳で

フッと微笑むチチに
咽び泣きついた

ここでようやく
ポータルが発生
スクとミタマが
姿を見せた

スク
「‥え?」
ラド
「もう終わった」
スク
「 」

唖然とする
スクとミタマ

一人変な向きで
沈黙する
悪漢を背に
チチは撤収すると
言い出す

ラド
「帰るぞ。後は下の仕事だ」
スク
「あの‥」
ラド
「エノクの爺さんだ」
スク
「ええ⁈」

ニカっと
笑うチチ
スクは反応に
困ったまま
撤収した


学校では
パニックに
なっていた

私はまだ
震えたまま
チチから離れる
事が出来ない

スクの反応を
気にする余裕も
無い

私にトラウマを
植え付けるには
充分な組織団体

駆けつけた
教師に
チチが説明する

ラド
「‥危険もある。今回は」
先生
「‥分かりました」
ラド
「安全が確保するまでは
しばらくこちらで面倒を
見る」
先生
「はい」


白昼堂々と
私を拉致
拘束
追い詰め
弱点である
耳まで‥

言葉も出ない

ラド
「戻ろうか」
エノク
「 」

無言で頷く

ラド
「そのままで良い
聞くだけで」

チチが
ゆっくり語る

捜査で
分かった事

チョウワソウは
文字通り
悪漢同士の
調和を実現する
S級ドラッグ

悪漢の
知的認識を
維持する働き

彼らは連携を取り
組織的行動を取る

単独では行動しない

ラド
「チョウワソウが
改訂された」
「今は違う名で呼ぶ」
エノク
「え?」


私は言葉を向けた
チチは答える

ラド
「今はグノーシス
文字通りの
危険ドラッグだ」
エノク
「 」


ラド
「岳父には残念だが
こんな結果になった」
エノク
「‥摘み取るから」
ラド
「美しいもの程
摘み取る者もいる」
エノク
「知らないってだけで
何でこんなに‥」
「悔しい思い
しなきゃならないの」


ラド
「最初は誰も間違えない」
「その先で誰が馬鹿な
事をするかだ」

そう
その中で
誰が間違え

芯から腐って
行くのか

たったそれだけで

自宅に着く
インターホンを
鳴らすが

ラド
「俺だマヤ」
エノク
「‥え?ママ
何で出ないの?」

しばらくして
ママが玄関を
開けた

マヤ
「パパ!」
「病院から連絡が‥」
ラド
「どうした」
マヤ
「おばあさんが」
エノク
「曽祖ハハが何?」
マヤ
「エノク⁈」
「アンタ、何で此処に」

曽祖ハハ
病院?

ドクン‥

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