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Ragura Floating World 32


病院に私が
居ない事を受け
騒ぎ立てる

ネグロに抱き上げられ
病院まで連れ
戻してもらった。

回復魔法の効果もあり
意識が昏倒し始めている

古代図書館でも
睡魔はあったから
あそこで寝たら
勝機は無かっただろう

ママが心配して
駆け寄る姿を見て
私は安堵すると
ネグロの胸で
眠りに着いた

トラウマに
なるには充分な
経験をしたのだから

マヤ
「エノク!」
カズ
「ネグロさん⁈」
「エノクは何処に‥」
ネグロ
「終わったよ‥」
カズ
「え?」
ネグロ
「魔王は、彼女が討伐した」

マヤ
「 」
カズ
「エノクが‥⁈」



微睡み

またアイツ

今度は何‥?


蒼穹
「一つ捕捉」
エノク
「 」
蒼穹
「君が始末した奴さん」
「半霊半物の権化だった」
エノク
「どう言う意味?」
蒼穹
「人殺しを心配
する必要は無い」
エノク
「最後‥笑ってたの」
蒼穹
「創造主を求めて
寄って来る奴さんは
これからもいる
それでも胸張って生きて」
エノク
「‥‥」
蒼穹
「侵食者の時は
躊躇い無くぶっ放した
君がどうしたのか
自分にはわからないけどね」
エノク
「ん‥」
蒼穹
「ブレないで
君は一人じゃ無い」
エノク
「‥ありがとう」
「もう行かなきゃ」



私は微睡みから
目覚めた‥





後日

退院許可も
これで降りる
筈なのに

胸が恐ろしく痛い
自分でもよく
分からない

影を落としたまま
診察室へと歩いた

先生は女医だった
眼鏡をかけた
髪の真っ直ぐ
伸びた人

先生が名前を
聞いて来た

先生
「お名前をどうぞ」
エノク
「エノクです」
先生
「胸は痛むかしら?」
エノク
「⁈」

何故知っているのか
私はまだ答えて
いないのに

エノク
「痛い‥です」
先生
「見せて」

素直に従い
幼い胸部を出すと
先生はそっと
患部に触れ
詠唱する

先生
「もう大丈夫」
エノク
「痛みが‥」
先生
「時間かかったのよ」
エノク
「えっ⁈」

そう言って
先生は涙目になる
私を抱きしめて

最後にお大事にと
送り出した

先生はそれ以上
何も言わずに
ニコッと笑う

まるで
私の事を
知っていた様に

パパとママ
じじハハもいる
制服姿のロカ姉ちゃん
ネグロのおじさん
みんなが待つ

イーノお姉ちゃんは
来れなかったみたい
だから後で連絡した

駆け寄った私は
笑顔で待つ
家族みんなの
所へと戻った




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