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蒼穹の見聞録18

黒煙が
チリチリと
異臭を
漂わせる

エノクです



瓦礫の上に
着地

次々と
攻防神が
ワイヤーを
垂らし
瓦礫を吊り上げ
被災者を
救助していく

義体損傷
箇所が
あちこちに
見られる
瓦礫から
落ちていく

唯物世界と違い
流血は
見られない
被災者の
残酷な
結末が
目に映る

エノク
「こんな力仕事‥」
蒼穹
「声掛けくらいスかね‥」
エノク
「そんな」

途方に
暮れる

高度を下げ
着地

瓦礫の
上に
立ち尽くす

しばらく
歩く

咽び泣く
低い
男性の声が
聞こえる

エノク
「蒼穹、交代して!」


蒼穹
「⁈」

リングが
足元まで
回転するのを
確認
走り出す



「 」
エノク
「 」

咽び泣く
その姿に
驚いた

立ち止まり
見つめる

「 」

「ワシの様な姿は初めて見るか?」


エノク
「はい」
「あの‥お怪我は?」



「倅が瓦礫に埋まった」
エノク
「救助を!誰か!」

「遅い。皆、潰れてしまった‥」


エノク
「 」

「300はおったが‥一瞬よ」

歩み寄る

身の丈3m
カマキリのような
長い四脚が
への字に
見られる

ムカデの
様な身体

小さな脚が
いくつも
見られる

頭部は
前後に
見られ

主に
先頭の
頭部が
凝視し
私に語りかける

エノク
「大きな身体‥私、エノクです」



「其方、不思議よな」


エノク
「え?」

「心構えが違う。恐れ逃げ出すのが人の性」
「ワシを恐れぬか?」
エノク
「涙を流す方を前に‥逃げたくありません」
「ごめんなさい、私‥何も出来ない」



「何を言う。ワシも出来るなら倅の救済は出来た」
「この様よ」

よく見ると
最後尾の
副顔も
私を見る

エノク
「性格、別れてるんですか?」



「意思はある。こちらが主観よ」
エノク
「 」

副顔に
向けて深く
お辞儀する

副顔は
浅く
一礼した


「やはり其方、心構えが違う」
「申し遅れた。ワシの事は、親分先生と呼んでくれ」


エノク
「お、親分‥」
「かっこいい」


親分先生の
モチベーションが
回復したのか

大笑いする

エノク
「 」
親分先生
「気に入ったぞ其方。おかげで元気が出た!」


エノク
「良かった。けど‥」
親分先生
「戻らぬ者は、帰らん。受け入れるのだ」
エノク
「前に」
蒼穹
「進む‥」
親分先生
「そうだ」
「プル!」
エノク
「え?」

私の
目の前まで
うねる様に
飛来する
12m前後の
巨大な
緑龍が
迫る

大きい

これが
プル⁈


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