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半霊半物少女30

大通り、歩行者天国‥

追い込まれた敵の戦略で
私は地獄行きのストリート
へと案内された訳ね

そしてみんなと
落ち合うこの場所が
ジェノサイドとなる様に‥

奴(やっこ)らしい戦略
殲滅を楽しむ算段で。

静寂のストリート。

エノク
「賑わってたのに‥」



沢山の人集りが
行き来するこの場所。
此処でみんなを待つ‥

敵も待つ

蒼穹
「他所の奴さんを特定した」
「いよいよかな?」

遠くを見て歩く。

アリサが追うのを
やめた。

アリサ
「お姉ちゃん?」

私は黙って歩く
情報は不用だ。

目を閉じた。
誰も見ない。
敵も見ない。

ベクトルも不用。
私は完全に無防備。

‥来た

タケ
「エノク‼︎」

タケ‥?

マーゴ
「エノク‼︎」

マーゴ‥
クアルも?

「ママー‼︎」

子供達まで迫って来た‥
みんなが‥

クアル
「逃げてエノク‼︎」
アリサ
「お姉ちゃん‼︎前見て‼︎‼︎」

私はゆっくり
右手を上げた。

ゆっくり目を開く。

目前まで凄まじく
迫る触手の猛攻。



渾身の勢いで
床に振り下ろし

唱える



エノク
「聖釘‼︎‼︎」

私の一歩手前まで迫った
触手はピタリと止まる。

静寂‥

ビル街

ストリートのフェンス

至るまで絡み付く
触手が次々と消えていく。

立ち上がり
振り返る私に
みんなの歓喜が
響いてきた。


アリサを追い越し
駆け寄るタケ。

フッと安堵した
私の背後に
殺意の霊視線を
感じた瞬間だった。



ドクン‥

エノク
「え‥?」


私の胸部を背中から
突き抜けた

血みどろの群青色の
突起が目に映る。

失敗‥⁈

一帯に響く咆哮

断末魔‥だ。


良かった
良かったのかしら


倒せた‥

殺意の霊視線も
貫いた突起も消え

崩れ落ちる私を
タケが抱き抱えた。

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