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Ragura Floating World9

荒野の乾いた風‥

競出す視界を
遮る様な岩肌

カズ
「マヤ、端末で位置確認だ」
マヤ
「圏外だよ‥」
カズ
「精神感応が‥圏外⁈」

精神ネットを
遮断する程の荒野‥

カズ
「そんな場所、ラグラに
あったかな‥」

此処に止まっても
無意味だ
少し周囲を見渡せる
場所に出たい。

幸いにもマヤは
魔法が使えるエルフだ
脅威となる存在には
対応できそうだ。

岩肌に手をかけ
登れる範囲で
移動する。

岩の切れ目に飛ぶ昆虫
蜂だろうか?

マヤ
「アレは‥」
カズ
「刺激したり刺されて
毒にかかったら大変だ」
「気をつけよう」


ポータルに巻き込まれて
冒険するなんて
思ってもいなかった

マヤは身軽な身体で
岩肌をとんとん拍子で
越えていく。

戦闘に特化した様に
これまで訓練されて来た
様に動くまで
苦労もあった筈だ

そう思った次の
跳躍で着地した
足がずり落ちる

カズ
「しまっ‥!」
マヤ
「よっ」

細い手が俺の腕を掴む

ぐいっと引き上げ

助けてもらった

全身が鳥肌と冷や汗に
塗れた

カズ
「助かったよマヤ」
「ありがとう」
マヤ
「見て、カズ」

顔を上げた

視界は変わり
見渡せる

カズ
「大地が切り立ってる‥」
マヤ
「うん」

切り立った奈落の絶壁
対岸は見えても約2km先

遥か先まで跳躍なんて
出来る筈ない

カズ
「先へは進めないな」
マヤ
「 」

マヤが黙り込む。

何かの気配を感じる様に

マヤ
「何か来る」
カズ
「えっ?」
マヤ
「歌う様な共振‥この感じ!」

カズ
「あ‥」

この感覚
覚えがある

ビル街の屋上で
感じ取った共振‥

奈落から上がって来る‥

凄い
大きい

カズ
「うわ‥っ」
マヤ
「あは‥デカ」

外周を囲む中心の無い
円卓状の巨大な全身純白‥

その円卓から長く
斜めに突き出た
巨大なスタビライザーが
翼の様に伸びる

攻防神だ‥

カズ
「嗚呼‥」
マヤ
「凄‥」

圧倒的な巨大な存在に
腰を落とす。

腰が抜けた感じがした。

攻防神は
全長300m程だけど
今居るのは500mはある。

マヤは再び黙り込む

マヤ
「え?乗せてくれる?」
カズ
「何だって⁈」
マヤ
「禊が済んだら
乗せてくれるって‥」
カズ
「マヤ‥話せるの⁈」

マヤから涙が流れる
歓喜の涙‥

禊‥身を清める?
何処で⁈

カズ
「清めるって‥」

周囲を見渡す

マヤ
「カズ、あそこ!」
カズ
「‥湯煙かな。え、温泉?」

人気の無い場所にある
まさかの源泉

マヤ
「行こう!」
カズ
「あ、待って」

攻防神を見上げる

微動だにせず
純白が輝く

圧倒的な存在感に
見惚れる

マヤが急かす

俺は急いで
岩肌の間を飛び越えた。

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