The blue sky of the outlook45
両腕を外された人型重機が横たわる大型トレーラーが悠々と走る。
ここは6車線の主幹線道路登り線。
コロッサルグラッド・シエルの摩天楼を横目に広い車線を走る。
巨大都市でありながら渋滞知らずにそれぞれの車速で走行する車両達。
窓側に座る私は、その眺めに圧倒されていた。
田舎の島で過ごす時間が長かったせいで、ここに来てから新しい発見ばかりだ。
ダルタッタ大陸へと繋ぐ巨大な橋が寮のベランダからも確認できたのを思い出す。
地平線まで続く摩天楼がいよいよ途切れようとしている。
ここからは大陸へと続く大きな橋となるだろうと思っていたあたりで、混線した立体車道、JCTが見えた。大きく緩い弧を描く様に左手のランドシップに向かって伸びる橋が見えた。
エノク
「あのランドシップは何?」
テツ
「あっちぁ、クリフタウンだ」
エノク
「クリフ?」
イチ
「ロープウェイを使った移動が盛んな町だぜ。町中ワイヤーまみれさ」
高低差のある谷が遠方から確認できる。
JCTを真っ直ぐ通過して、ひたすら直進する巨大な橋が目の前に迫る。
左手のランドシップを横目に通過し、その前方の奥にうっすら見える視界に収まりきれない大陸が左右に表れた。
此処からはコロッサルグラッド・シエルとお別れ。
右手の惑星アクロギスが見える。
寮からも確認できる見慣れた惑星。
岩礁群がフィールドタワーに干渉できずに集まっている。
タケ
「俺もエノクもまだ動かしてない重機を何処で操縦するんだ?」
ヤン
「ダルタッタの荒野に人工物がない区画がある。かなりの面積だから、訓練にはもってこいの場所だ」
タケ
「荒野の中に通信障害をもたらす区画があるみたいだけど、そこは大丈夫っスか?」
ヤン
「詳しいな、基本的な動作方法を覚えてもらうだけだ。遠くまで行けとは言わん」
タケ
「あ、なら大丈夫っス」
エノク
「そんな区画があるの?」
タケ
「荒野の奥地らしいからな。海水浴浴場みたいに区画さえ知ってりゃ問題ないさ」
エノク
「ん‥」
テツ
「重機は昨日のやつとは違うから、覚えやすいと思うぜ」
イチ
「何もねぇスッピンメカだけどな」
タケ
「はぁ‥」真っ直ぐな長い長い橋を渡る。
大陸が目の前に迫る。
アーチの岩がいくつもある。
潜るように進むと、荒野の国立公園とナビに表示される。
巨大な奇岩、崖に囲まれて進む。
私達はそこから左車線に移動し、主幹線道路から別ルートに進む。
タケは此処はよく知らない場所だと言った。
速度を落とし、何もない荒野の平坦な場所にトレーラーが止まる。
目的地に着いたみたい。
私はまだ本調子ではないけど、薬の効果が出たのか、少し楽になってきた。
かなりの距離を走って来た。
ヤン
「重機を下ろす。作業にかかるから、トレーラーには近付くなよ」
エノク
「あ、はい!」
重機が起き上がる。
両腕が取り付けられていく。
この後のセットアップやらで調整するからもう暫く時間をくれと言っていた。
その間だった。
テツ
「その岩山登ってみろ!面白いもんが見れるぜ」
タケ
「え?」
何かしら?
私達は急斜面の岩山を登り切る。
そこには‥‥。
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