Ragura Floating World58

集中‥

腕を
水平に組んで

嗚呼‥
まだ偏ってる

あ

エノクです

今日もリハビリ
頑張ります！

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先生と廊下を歩く
右側に偏って
いるせいで

左を意識すると
フラフラ‥

ええいっ！

エノク
「せ、先生‥」
先生
「焦らないで」

にっこり
静止させられた
うう‥

上手くいかない
真っ直ぐ歩く
それだけなのに

頭の打ち所が
悪かったわ

迂闊に飛び出した
私が悪いんですが

蒼穹
「そうは言わないけど
君は飛び出すでしょ」
エノク
「うう」

突っ走るのが
私だから

たとえ余計でも

エノク
「酔っぱらいに
見えます？」
先生
「お酒の味
覚えたんですか？」

先生の声が低い

エノク
「ちちち、違います
あっちハハみたいな」

あっちハハ
（マナ）は
お酒大好きだから

先生
「そんなにへべれけな
豪酒なら一度診た方が
良いですね」
エノク
「　」




いやいや
大袈裟な

私の方がへべれけな
偏り方です
ごめんなさい

先生
「君はたまに面白い事
言いますね」
エノク
「　」

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頭の怪我は
もう少しで治る

そのタイミングで
偏りが克服の
兆しを見せる

どんなもんだ！

ベッドの上で
水平の感覚を
維持しつつ
腕を水平に組む

蒼穹
「式を組む気？」
エノク
「見てて」

インスピレーション
イメージ通り

プロセスメント
インフレーション‥

イメージ‥

良し

エノク
「聖釘」

エノク
「バージョン2.0！」

聖釘リニアバージョン
半霊と半物の
切り替え可能
最大質量
全長42km

転移ポータルの発生
完全自立性

そう‥

エノク
「ラグラを囲む
必要なんて無い‥」
「だったら‥」

最強の聖釘を
創造すれば良い

私は同じ工程で
12本の聖釘を
創造した

これで
私の聖釘は
24本になった

エノク
「魔神具は‥」
侵食者からは
この子達で守る」
蒼穹
「ワオ‥」
「そう来たか」

完全自立性の
聖釘には
私と同等の
戦略を組んで
連携して侵食者から
ラグラを防衛する様
創造した

エノク
「お望みなら
量産するわよ」
蒼穹
「是非も無い」

こうして
私は無事
退院へと近付いた

私は

これで‥

蒼穹
「どうしたの創造主」
エノク
「自立性の聖釘を
組んで防衛を託した」
蒼穹
「君を誇りに思うよ」
エノク
「いつか遠い未来で」
「聖釘の事とか
蒼穹の事とか
忘れたりしたら」

エノク
「ごめんなさい‥」
蒼穹
「みんな忘れて
生まれ来るものだよ」
「ゲームデータの
引き継ぎじゃあるまいし」
エノク
「蒼穹‥」
蒼穹
「幸せになるんだよ」

蒼穹
「君は知りすぎた
くらいだよ。それじゃ
最新の聖釘、
待ってるよ」

これが

私と蒼穹の
最後の会話

私は

聖釘リニア
バージョンを
追加で創造する

総数にして32本を
追加して

私は

この病院から
解放される
事となった