見出し画像

精神世界物語 中編14

隣りの
うめく声



まだ
聞こえる

ええい
眠れん

消灯時間は
過ぎている

トイレに行く
フリをして
廊下を覗く

看護婦さんは
いない

うめく声の
元へ行く

私が隣りの
病室を覗くと

うめき声は
ピタリと
止んだ

嗚呼
そう言う
事か



廊下

エノラ
「何故うめくの」

『うう』

エノラ
「夜は静かに」

病室に戻る

ベッドに
横になると
案の定
ついて来た

うめきながら
首元に
手を伸ばす

首元のアザに
反応したのか

手を止めた

金縛りも
首を絞め
られるのも
慣れている

エノラ
「どんな結末だって
後悔は絶対しない
自分の問題よ」
「それをみんな
忘れてるから」

うめき声が
消えた

エノラ
「等価交換は
心一つで決まるから
絶対間違える訳には
いかないの」


影は
動かない

しばらくして

ゆっくり
壁の方へと
消えた

溜め息

嗚呼

これで
やっと寝れる

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?