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GAIASEED5

日が暮れ、

灯りが灯る。
滝の音を響かせて

賑わうストリートは一部
露店が静かに賑わう。

アモス達は疲れた体で
宿屋のおっさんと街を歩く。

アモス
「で?何でお前らも来る?」

フィユが振り向くと、
ナチもテムジンも同行していた。

ナチ
「宿屋は他がいっぱいなんです」
テムジン
「同じくであります!」

なるほどと、
アモスは納得する。

この人混みでは素泊まりは
運任せでしか無い。

星が綺麗に輝くが、
二人はそれどころではない。

アモスの表情は暗い。
フィユはアモスに
どう声を交わしたら
良いか分からない。

アモス
「おっさん、コイツらの部屋空いてるか?」
おっさん
「かみさんに店番任せているからな。聞いてみよう」




おっさん
「ただいま〜4人分!」
かみさん
「何だって⁈」
「二部屋しか空いて無いよ!」
おっさん
「ええ⁈」

どうしたのか
二部屋しか空きが無い?



おっさん
「すまねぇ、手違いがあった」

ロイヤルスイート
シングルと普通
シングルの
二部屋‥確かに足りない。

アモス
「おっさん、足りるんじゃね?」
おっさん
「?」

ナチとテムジンに
アモスが提案する。

アモス
「小柄なら、シングルベッドを横向きにさして寝れるだろ?」

少し考えた2人が

ナチ
「なるほど」
テムジン
「コレは思いつかなかったであります!」
フィユ
「あ、あの‥アモス。私は?」
アモス
「俺の事はいい。ソファでも寝れる」
フィユ
「‥良いの?」
アモス
「2人で寝る訳にいかないだろ?」

フィユの顔が赤くなる。

ありがとうの
言葉が出せないまま





フィユが浴場から戻り

部屋へと入る。

広い

我が家程の間取り
くらいはあると、
フィユは
念入りに洗った髪を乾かす。

頭の上の奴が
ベッドで眠っていた。

髪がヨダレ塗れに
されたフィユが睨むが

起きるわけでも無い。

屋外のテラスへと伸びる
ロイヤルスイートを歩く。

滝の発する程良い風が
心地良いのか、
アモスはテラスの
リクライニングチェアに
座っていた。

気まずいフィユが
アモスに声をかける。


フィユ
「アモス、今日は色々ありがとう」

フィユは助けられた恩を
言葉でしか送れない自分に
もどかしさを感じていた。

しばらく黙っていたアモスが
口を開く。


アモス
「フィユ」
フィユ
「何?」
アモス
「濃度層と濃度壁について話したか?」
フィユ
「まだね。聞いた事ないわ」

濃度層とは

岩礁が浮遊する一帯

密度の低い小さな岩礁が
一帯に存在する。

小石からなるものも
濃度として割り当てられる。

アモスはそれが濃度層だと
フィユに説明した。

フィユ
「漂う小さな岩礁の層‥ね?」
アモス
「ああ」
「高速で移動するには、この、濃度層を避けなきゃならない」
フィユ
「 」
「‥アモス?どうしてそんな事知ってるの?」

少し沈黙したアモスが
重い口を開く。

アモス
「三年前、親父が身をもって教えてくれた」
フィユ
「 」
「‥お父さん、どうなったの⁈」

いや、聞くべきだったのか。

踏み止まろうとした頃には
フィユは既に口走っていた。

アモスは父親と旅を続け
7歳で剣客への道を
歩んできた。

アモス
「旅を始めたのは、お袋が居なくなってからな」
フィユ
「 」
アモス
「四年くらい剣を振って慣れた頃、親父が縮間之太刀の秘密を見せてやると言ったんだ」

その頃、
空間圧縮と
ベクトルの法則を
知って剣を振るように
なったとアモスは話す。


フィユは
アモスの語りを
息を飲んで聞いていた。


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