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半霊半物少女4

エノクです

エイマが右手に
火傷を負いました。

私はうずくまるエイマに
回復魔法をスキルとする
クアルの部屋を訪ね
回復してもらう様伝えました。

此処からは私の番


小さなエルフのシチが
泣きながら走り
私は追いかける。

追いついた

ぎゅっと抱きしめ
優しく答える

エノク
「ごめんなさい、痛かったでしょ」

お願い、魔法だけは
使わないで

耳元で泣き叫ぶ
ベクトルが
鼓膜に刺さる

それでも離さない

そっと頭を撫でる

少しずつ
シチが落ち着いた‥

シチ
「‥お姉?」
エノク
「シチは?火傷しなかった?」
シチ
「しない」

安堵

シチが落ち着いたなら
ゆっくり動機を
聞くしか無い

私達は公園の
エントランスまで
戻って来ていた。

近くに座らせ
隣に私も座る

エノク
「シチは、どうやって魔法覚えたの?」
シチ
「シチ、花火好き」
エノク
「花火‥」

シチは世界樹の女の子に
魔法を披露しようと
花火を見せたかったと言う。

魔法を使う事で
エイマに関心を持って
欲しかったとも言っていた。

私も幼い頃、
魔女のビオと
火遊びをしようと

式を完成間近で
見つかった
酷く怒られた記憶がある。

気持ちはわかる


けど‥


エノク
「私もね、シチと同じ様に怒られたわ」
シチ
「お姉も魔法使う?」
エノク
「使えないわ」
「魔力腺ないもの」

ほら、と見せても

‥どうやって
見るのかしら?

シチ
「お姉面白いw」

シチが笑った。

良かった

シチの話も聞いた

シチに暖かい感心も示した

後は自尊心を傷付けないで

悟す


シチ
「シチ、もっと花火大きくする」
エノク
「‥‥」
「シチ、完璧にならないでね」

シチ
「お姉?」
エノク
「お姉はね、小さな力で誰かを喜ばせたり、楽しませたりするシチが好きよ」
シチ
「 」

大きな力は

大好きな人

大好きな物

大好きな景色も

消えてしまうの

エノク
「嫌でしょ?」

シチが悲しそうな
顔をする

俯き

シチ
「‥やだ」
エノク
「ん。怖いの」
「私はシチが好きだから信じるわよ」
シチ
「 」
「お姉‥」

シチが寄り添う

エノク
「エイマの事は大丈夫、嫌いにならないでね」
シチ
「わかった」
エノク
「仲直りしよ?」
シチ
「うん」

シチの目が少し輝いている。

私はスッと立ち上がり
シチの手を取り
エイマの所に向かう。




エイマ
「‥面目無いです」
クアル
「酷い火傷だったけど、治って良かった」
エイマ
「大人げ無いです」
クアル
「まだ大人じゃないでしょ?」
エイマ
「う‥」

インターホンが鳴る

クアル
「はーい」
エノク
「クアル、エイマは?」
クアル
「いますよ」

玄関を開けるクアルが
笑顔で迎えてくれた。

クアル
「あら!誰?かわいい!」
エイマ
「シチ?」
シチ
「姉様」
エイマ
「シチ‥すみません」
シチ
「仲直り」
クアル
「く、わ‥私もたまりません」
エノク
「わかるわ」

この日
みんなでハグして
仲直り

そして

シチ
「シチ、帰る」
エイマ
「一人で帰れますか?」
シチ
「もう大丈夫」
「シチ、出来る子」
エノク
「また遊びに来てね」




シチが小さな手を振る

私達も手を振って
駅に行くシチ

笑顔が輝いている

私はほっとした。


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