Ragura Floating World20
2章
Prologue
病院
医師からの連絡
夫は妻の元に
歩み寄る
出産の立会い
扉の外まで聞こえた
産声は、ピタリと止んでいた
夫
「女の子だって?」
「はは、眠ってるのか‥」
妻
「うん‥さっきまで
物凄い産声が
凄かったんだから‥
見て、髪の色」
夫
「本当だ‥凄いぞ」
「名前‥決めたんだ」
妻
「髪の色で決めちゃうの?」
夫
「‥駄目かな」
妻
「まだ聞いて無いでしょ?」
夫
「それより、この耳‥
ハーフエルフ
じゃないのか?」
妻
「エルフよカズ
よく耳を見て
横が少し尖ってるでしょ?」
カズ
「これが?」
妻
「最初は退化した
状態で生まれるの
産道通るから」
夫
「知らなかった‥」
「マヤ、本当‥お疲れ様」
マヤ
「ふうん。それで?
名前は?」
私は
あれから育った
今は、小学二年生
草原の真っ只中で
風を受け
両手いっぱいに広げる
目の前に広がる浮世の
ランドシップ
岩礁がゆっくり漂う
妻
「あんなに広げちゃって」
夫
「ルーンは普通に摂取
出来るんだよね?」
妻
「あんな事しなくても
出来るわ」
発達した私の耳が
伸びている
掌から指先まで
感じる不思議な力
風を受けて私の髪が靡く
だから
生を受けた感慨と
エネルギーのベクトルを
身体いっぱい感じるの
最高な気持ち
私
エノクです!
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