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半霊半物少女18




世界樹


その下で

いつも誰かが
来るのを待っていた。

精霊族のチタが
名も無い少女に話しかける

チタ
「開いてたわね。心眼」

少女はコクっと頷く

チタ
「そろそろじゃない?それ」

少女が首元の勾玉に触れる

青と緑に分かれた勾玉は

光り輝くと、
フワリと浮き上がり
少女の目の前から消えた。



チタ
「行ったわね。ま、あっち優先だから」

名前の事だろうか?

少女はエノクの事を
思い出したのか、
遠い目をし
嬉しそうに笑う。

チタ
「妙に上機嫌じゃない」
「え?まさか‥」

少女はチタの方をを向くと
更に笑って見せた。

チタ
「ああ、じゃあ、アンタも此処にいたら間に合わなくなるわ」

じゃあねと
少女から離れる

少女は、世界樹の
草原から姿を消した


胸いっぱいの未来に向かって







エノクです


ん〜あれから
随分経ったわ

学校卒業して

憧れのエアフライトの
資格をパパと取って

タケと結婚‥

出産‥

子供もどんどん成長して

そう、随分経ったわ。

「何、遠い目をしてるんだい?」
エノク
「そう言うネグロも、司法書士目指したんじゃなかったの?」

眼鏡をかけたネグロが
山積みの古書に
埋もれる様に話す。

ネグロ
「この古代図書館で君達と仕事が出来るんだ。精神考古学も悪く無いさ」
エノク
「私もパパと此処で仕事出来るとは思って無かったわ」

そう
此処は学校の地下

古代図書館

封鎖されていたけど、
特別に解放された
まあ、関係者以外は
立ち入り制限あるけど

精神考古学研究会の一員として
パパ、私、ネグロの三人で
新しい学問の研究に
勤しんでいる‥

え?
子供?

「ママ!」
エノク
「カズ、図書館広いからって大声出さないの」
カズ
「イーノが本の匂い嗅いでる」
イーノ
「だってこの本そうなんだもん」


エノク
「カズには分からない匂いかもしれないわね」
ネグロ
「匂い?」
エノク
「私の嗅覚イーノも持ってるみたいなの」

パパがイーノック的な
名前を私に考えて
いたそうだけど、
私がイーノにしたらと
提案したら応じてくれた。

仕事しながら
育児が出来るのが
精神考古学のメリット。

タケ?
タケは今、ラグラの裏側。

バスケのプロ選手
ワールドツアーで熱戦中。

ネグロ
「タケは元気にやっているみたいだね。ワールドツアーだろう?」
エノク
「ん、話してなかったかしら?」
ネグロ
「え?」
エノク
「引退表明出して最後の試合だって」
ネグロ
「ええ⁈」

まあ、タケの実力では
勿体無い限りなんだけど、
私もあのタケの
ダンクシュートの
フォームが綺麗で凄いと
思っていた。

しかし、手首の不調で
業績が伸びない理由として
引退表明に踏み切った。

しかし理由はそれだけでは無い。

ネグロ
「三人目、出産まだかい?」
エノク
「それが、病院側がまだわからないって言うのよ」
ネグロ
「そろそろだと思うけど、妙だね」

病院側が分からないって
普通どうなのって
思うだろうけど、

前例の無い
出産を控えていた。

妊婦に似合わない
Tシャツにジーンズが
私の普段の格好。

スキニーより
伸縮性のある
動きやすい生地は
あのユノが新しく
作った生地。


それぞれが、
それぞれの生き方を
調和し合い

それでも関係を
断つ事なく生きる
社会へと発展していた。

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