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半霊半物少女15

シュコー‥

私の体には生命維持装置が
取り付けられているらしい。
それが、この音

シュコー‥

前回以上に、
魔法をかけられたから

ベクトルの減少
盲目
石化‥

これらの治療魔法を
一度にかけられた
身体にかかる負荷‥

私は昏睡状態となって
意識不明の重体
面会謝絶となっている。

どれくらいの
時間がかかったのか

それさえわからずに‥

タケは‥

再び病院送りにされた
こんな私を

タケは‥

どう思うだろう



ダンッ‼︎

タケだ。

俺は壁を叩く
張り詰めた空気で

そりゃそうだ
エノクがまた
病院送りにされた。

それだけじゃねえ。
病院の廊下
壁に立つマーゴの
スレスレの距離感で
問い詰めた。

タケ
「何も石にするこたないだろ‼︎」
マーゴ
「見せとうなかったんや」

堪えろ俺‥
んなこた分かってる。

クアルが俺を制止する

クアル
「こうでもしなきゃ、デニッシ族の襲撃を悟られずに終わらなかったのよ」
マーゴ
「石と変わらん姿や。エノクとバレへんし、戻って応戦せなぎょうさん死んどったわ」
タケ
「‥っ」
「悪かった、マーゴ」
マーゴ
「ええねん、その覚悟でやったんや」
「ほな、場所移そか」
クアル
「食堂に行きましょう、タケにディール先生から話があるって」

何だって?

タケ
「俺に?」
クアル
「大事な話。エノクの意識が戻る前にしたいそうよ」
タケ
「‥分かった」

ここで揉めても
俺達が病院から
追い出されるだけだ。

騒ぎになる前に
此処を後にする。

エノクの姿‥
ああ、見てられん。





ディール
「タケ、そこにエノクは、いないわね?」
タケ
「何があったか説明出来るのか?先生」
ディール
「それも踏まえてよ。聞きなさい」


状況を整理する。

退院後、寮に戻ったエノクを
待ち構えるデニッシ族が
エノクを拉致した。

世界樹の下で
他のグループと合流
男の本質で好き勝手
やらされる手筈だった。

状況は、エノクが
叫びを上げた事で
一変し、寮にデニッシ族の
群れが一斉に戦闘を始めた。

マーゴはエノクの
部屋に駆け込み
ポータルの転送先を
特定して世界樹へと
すっ飛んで行った訳だ。

俺が知る限り、
クラスのニルが負傷
寮で生活する
生徒の中には
重傷者、死者問わず
多くの犠牲者が出た。

想像できるか?
賑わっていたエントランスや
寮の部屋中に響く悲鳴が

俺か?
俺はネグロやイワンと
合流して無事だったさ。

エノクが搬送されたのは
制圧完了した後だった。

寮だけで無く、学校の
学長室に立て籠り、
ユリ・シーズ学長が
重傷を負った事は、
先生の会話で
初めて知った事だ。

タケ
「エイマは?学長の娘は?」
ディール
「まだ分からないわ、寮は酷い事になってしまった様ね」
タケ
「もう‥戻れねーよ。寮には」
ディール
「残念だわ。今回の主犯はデニッシ族の長が仕切っていたから」
タケ
「ボケ老人の支配下で戦争始めやがったのか」
ディール
「落ち着いてタケ」
タケ
「この状況でだぞ!」
ディール
「聞きなさい!」
「エノクと付き合ってるそうね?」
タケ
「今する会話か、それ」
ディール
「これからも愛し続ける自信あるのかって聞いてるのよ」
タケ
「ああ、本気だ」
ディール
「そう、じゃあ、本題に入るわ」
タケ
「?」

本題?

それは驚愕の
内容だった。

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