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半霊半物少女21


epilogue



ラグラの星間条約

次々に舞い降りる
巨大な船の群れが
私達一家の頭上を通過する
断熱圧縮の熱量を纏って‥

便乗して歓迎しているのか、
攻防神まで現れ
飛んでいる

更なる調和へと向かう
この異世界

そんな中、
私達は家族で

ピクニック

子供達もこんなに成長

次女のロカを紹介するわ

龍(ロン)華(か)と取って
ロカと名付けた。

私にはロカが
こう見えたから

この子は言葉を話せないけど、
人の圧に敏感に反応する

世界樹の下で既に
知った事。

それでも

私は遠い眼差しで
見つめる

禁断症状‥

忘れてなんていないわよ


カズ
「ママ、何でいつも遠くを見るの?」

カズが真剣な
眼差しで聞いてきた。

エノク
「難しい話になるわよ」
「イーノも聞いて」

ロカを見つめる
ロカも聞き入る。

エノク
「辛く苦しい時程、どうしたら良いと思う?」

穏やかにロカを見つめ
ロカも微笑む。

カズ
「それは‥」
イーノ
「‥‥」

双子同士顔を見合わせるが
答えなど出せる筈も無い

エノク
「‥そうやって」
「一人で考え込まない事」
カズ
「じゃあ、どうすれば良いの?」
エノク
「何でも語り合う家族であれば向き合う気持ちも変わるの」
「ね?タケ」
タケ
「ま、そう言う事だ!」
エノク
「ブレてるわね‥悩んでるの?」
カズ
「‥う、ん」

カズの冴えない表情
学校で揉めたそうだ

助けたい子がいて
勇気を出して助けた
その善意が裏目に出たらしい。

エノク
「助けた子と揉めるなんて思ってもいなかったんでしょう?」
カズ
「どうしたら良かったのかな?」

本質は誰にも正せない事

本質に触れてもブレずに
向き合う姿勢

それが禁断症状と向き合う
正しい考え方だと教えた。

そう、禁断症状とは
人類の本質と向き合い
自分のブレた軸を
静止させる事。

狂おしい程に揺れる
目に見えないやじろべえが
揺れる姿が今のカズの現状

方向性の絶対領域
本質のやじろべえ

だから

エノク
「先に謝っちゃいなさい。仲直りした者勝ちよ」
カズ
「そ、それだけ?」
エノク
「修正して。相手の気持ちの変化にも時間をかけてあげるの」
カズ
「きつい事言ったかな、俺‥」

それがカズのベクトルなら
相手の本質の
絶対領域に触れるのは
無理も無いと教えた。

カズ
「ママを手本にすれば良いのか」
エノク
「あら?そんな事言ったかしら?」
カズ「ええ⁈」

カズは混乱しているのか
イーノの意見も
聞きたがっていたが
くすくす笑われた。

エノク
「相手と失敗しても良いわ。それでも仲直りくらいはする。以上!」

ロカの髪を撫で、微笑む

カズはわかった様な
曖昧な返事をしていた。

圧倒的な質量で
通過した大型船は
遥か遠くまで高度を下げた
あんなに小さく。

カズ
「また」
エノク
「ん?」
カズ
「相談して良い?」
エノク
「言ったでしょ?家族で何でも語る」
カズ
「うん」

此処からはカズを見守る。
タケも調子付けて言う。

タケ
「男同士の相談なら何でも俺に言えよ!」
カズ
「今する会話じゃない、それ」
タケ
「 」

イーノも私も笑う。

そう

これが今の私の家庭。

何があっても
この家庭を崩さない。

禁断症状と向き合う為に


愛する家族と


私は、生きる。

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