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蒼穹の見聞録23

エノクです

私は
悪鬼に
ついて
親分先生に
話す

親分先生
「魂の救済で農場を開くか」
エノク
「みんな‥卵の中だったわ」
「自殺によって、光の速さで打ち上がってた」


親分先生
「あれが、全ての人間であるとは限らん」

エノク
「はい。それでも、何とかならないかしら?」
親分先生
「人に人は救えん」
蒼穹
「倒す事も?」
親分先生
「魂の輝きを失った、結合体よ」
「殺し合うか?」
蒼穹
「 」

生ける

悪鬼の

元人間

エノク
「あの動きは、親分先生の様に俊敏でした」
「聖釘も、歯が立たないの」
親分先生
「その聖釘、見せてみよ」
エノク
「え?あ、はい」
「聖釘」

親分先生
「‥なるほど。式展開よな」
エノク
「式展開‥ですか?」

どうやら
組み直す
必要が
ある

親分先生
「この式では、ベクトルを読まれる」
エノク
「もっと早く組む方式がある筈なのに」


親分先生
「ワシはベクトルに対し、リニアよ」
「ワシを、良く見てみい」

親分先生の
身体を
よく観察
する

そう言えば
親分先生の
この形態

まるで‥

エノク
「 」

これは‥

その時
だった

蒼穹
「ん?総司令本部からの伝令スね」


エノク
「え?ママから?」

モニターから
ママの姿

遥華
「エノク、旅立ちの準備をする必要があります」
「此方に来て頂けますか?」


エノク
「旅立ち?」
遥華
「ラグラの最初の人間として」
エノク
「 」
遥華
「この輪廻を発つ時が近づいています」
エノク
「ママ‥」

此処は
危険なの
だろう

いずれ
侵食者との
交戦を
交える事態に
なれば

安住の地から
追いやられる

親分先生
「エノク。其方は人だ」
エノク
「親分先生」
親分先生
「流れを止める事は出来ん」
「生きて来い」

プルも


おまるも


シシバヒコも


オオノケも



寂しそうに
見つめる

エノク
「みんな忘れてしまうわ」
親分先生
「ならば遠い来世で、思い出せ」


エノク
「出来るかしら‥?」
親分先生
「運命とは」
蒼穹
「 」
エノク
「‥アルゴリズム」
「式に乗せ‥演算」


親分先生
「エノク。其方は、大丈夫だ」
「ワシは信じとるぞ」
エノク
「 」
蒼穹
「忘れても、思い出せるものなんスか?」
親分先生
「仲間を信じとる。それだけよ」


エノク
「ありがとう。親分先生」
「短い間だったけど。私、強く生きるわ」



涙が
溢れた

拭いさり

中央区
司令本部に向け
飛び立つ

蒼穹の
翼の軌跡が
尾を引く

親分先生達が
小さく
なっていく‥

雲に
隠れるまで

私は

彼らの
別れを

ずっと
見つめていた

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