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Ragura Floating World67


久しぶり
マヤだよ

翌朝

エノクが
起きない

昨日は無理して
カズの弁当持って
行かせたのが
まずかったのか

帰って来たカズも
心配して声を
掛けたが
深い眠りに
寝入って
しまったのか
反応が無かった

やっぱり
母親として
心配だ

部屋のドアは
ロックされている

最悪を想定し
G-bartも要請した

マヤ
「エノク、大丈夫なの?」
エノク
「う‥」


起きてる?

やはりおかしい
自力で起きられ
ないのか
部屋のドアは
ロックされている

ポータルが輝き
ミタマが
飛び出してきた

早く来てと
言う事だろう

ポータルが
消える前に
飛び込んだ




締め切った
カーテン

暗い部屋

ベッドから
身動き取れない
エノクが
呻く

マヤ
「エノク‥大丈夫⁈」
エノク
「‥身体痛いの」
マヤ
「昨日病院行くべき
だったわね」
エノク
「動けない」

言っても遅い

ドアのロックを
解除して
G-bartの到着を
待った



エノクです

病院
診察室


エノク
「‥動く?」
マヤ
「エノク、良かった!」


眼鏡をかけた
女医の先生がいる

「覚えているかしら?」
エノク
「あ‥」

小さい頃
胸の痛みを
取ってくれた
クアル先生だ

全身の痛みは
もう無い


クアル
「説明の通りですが、
身体の神経、筋肉に
異常は見られません」
エノク
「痛みの原因は何?」
クアル
「心当たりは
あるかしら?」
「たとえば運動に限らず
魔法でも無茶をしたとか」
エノク
「 」

魔法は使えない
けど、魔力腺に
過度の負担を
かけた事は
思い当たる

クアル先生に
説明した

先生が絶句する

クアル
「ま、魔神具⁈」
「19kmの巨大質量を
強制転移⁈」

前回の退院後
過度の負担は
かけていない筈

けど先生は
説明する

クアル
「前回の魔力腺から
変化があるとすれば」
マヤ
「魔力腺?」
「痛みと関係が?」
クアル
「成長期に欠かせない
最も重要な期間での
酷使ならば」

先生が
私の過去の魔力腺の
カルテデータを
見せてくれた

私の知る限り
魔力腺は
指先まで循環
出来るルーンの
枯渇しない構造に
なっている筈だ

世界でも
類を見ない
循環式の
魔力腺が見てとれる

マヤ
「嫉妬する程綺麗な
魔力腺ねエノク」
エノク
「 」

世界を救う為に
無茶をした私の
魔力腺は今

先生が
透視の魔法を唱え
私の今の魔力腺を
見せてくれた

私の身体から
魔力腺が輝き
浮き彫りになる

クアル
「目に見えてその
変化は明らかよ」
エノク
「 」
「‥嘘だ!」

私の魔力腺は
循環どころか
ズタボロ‥

引き裂かれた様に
それは無残に
枝分かれした先端が
剥き出しの構造と
なっていた

身体中の
震えが
涙が
止まらない

これじゃもう
あの式は
出せない

なんて事
これが代償?

マヤ
「エノク、落ち着いて」
エノク
「嫌、もう見たくない!」
クアル
「この変化のパターンは
世界でも類は見ないわ」
「ただし、これで
エノクは魔法を
使う事が出来る様に
なったわね」

エノク
「‥魔法」
クアル
「何故この配列
パターンなのか
どんな原因で
どんな働きがあるか
それは私でも説明は
つかないの」
エノク
「 」
クアル
「これは、エノク
あなただけが知る
事が出来るものよ」
エノク
「私‥だけ?」
マヤ
「これ、魔力腺にしては
違和感あるわね」

ママが
私の身体に輝く
魔力腺を見て
呟いた

クアル
「診察は以上になります
お大事にね、エノク」
エノク
「ありがとう
‥ございます」

私は自分の
魔力腺を見る

何処かで



‥何かしら



今は分からなかった

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