The blue sky of the outlook66
エノク
帰宅した私の表情は暗い。
体の震えも止まらない
ぽっかり抜け落ちた心
アリサが察した
エノク
「ただいま」
アリサ
「お、おかえり」
笑顔で返すが、虚ろな対応の変化を
アリサはとっくに感じ取っていた。
迷っていられない
アリサをそっと抱きしめる
アリサ
「お姉ちゃん?」
エノク
「アリサ、一緒に来てくれる?」
アリサ
「どこ行くの?」
エノク
「ルース。私の故郷よ」
私が乗れない理由は体重の軽さ。
アリサがいれば単座でも動かせる。
エノク
「重機の操縦ならタケの操作をずっと見てたからわかってる」
アリサ
「タケは?どうしたの?」
エノク
「アリサ‥私タケの気持ち、わからないの」
アリサ
「わかるよ。お姉ちゃんなら」
わからないから言ってる
私はクローゼットを開け、制服に着替える。
終始無言‥
アリサは黙って見る。
どう答えるべきかわからないまま。
アリサ
「タケとケンカした?」
エノク
「どうかしら?向こうから離れてったから」
アリサ
「仲直りしようよ」
ピクリと反応する。
キレるな私‥落ち着け。
拳を握り締め、深呼吸する。
わかってる、これは自分だけの
問題じゃない。
アリサ
「お姉ちゃん?」
エノク
「ごめんなさいアリサ、タケの気持ち、聞くことが出来なかったの」
アリサ
「きっと待ってるよ。答えてくれる」
何故そう言いきれるのだろう。
私に非はあっただろうか、
思い当たるところがない。
駄目だ、頭の中がごちゃごちゃする。
突然の嵐
増え続ける岩礁群
世界の危機‥
私に出来る事‥
エノク
「行きましょ、アリサ。大丈夫、私が絶対守るわ」
アリサの手を引き
玄関を開け、外に出て施錠する。
‥誰?
視線を感じる。
誰かが‥
フェンスから下を覗く
エノク
「‥タケ?」
タケ
「遅ぇぞエノク‼︎ルースがどうなっても良いのか?」
エノク
「タケ‥」
強いベクトル‥いえ
熱い眼差し
私を真っ直ぐ捕らえた
私の大好きなタケがそこで
待っている。
エノク
「タケ‼︎」
タケ
「急ぐぞ!来い‼︎」
エノク
「はい‼︎」
私はアリサをおいて走り出す。非常階段を流れる様に滑る様に
体が軽い。
私一人では
アリサでさえ私は
心許ない‥
大陸の遭難で重機に乗って待ってくれていたタケ。
彼は再び私が来るのを待っていてくれた。
私にはタケがいないと駄目なんだ。
エントランスに出る。
タケめがけて走って
抱きついた。
エノク
「ありがと‥」
タケ
「おう、アリサ!」
エノク
「アリサ!」
アリサ
「お姉ちゃん、戻って来るよね!」
心に生気がみなぎってくる。
私の精一杯の気持ち。
アリサに向かって応える。
エノク
「行って来ます‼︎」
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