半霊半物少女11
蒼穹（空）っス
ただいま母体内部
内部侵入経路間違え
援護射撃要請
テヘペロ
合体玉ねぎが悲鳴を上げる
宇宙に音なんて‥
そう思ってる？
うちら半霊半物には
関係ないしょ
進めるよ。
蒼穹
「はい、振って」
通信相手
「巻き込みますよ⁈」
蒼穹
「順調、君を信じるよ」
通信相手
「ああもう‼︎」
仲間の直感を信じない援護に
戦術は立てられない
ね？
大丈夫
‥痛かったかな？
奴さんは沈黙してらっしゃる
母体の眼が、
物語っている。
真っ赤な生気が感じられない。
真っ二つの
切れ目から宇宙が見えた。
外も静かになったね
やはり‥
活動出来ないのは、
母体に奴さんが
委ねられていたから。
母体が生き残る為なら
それくらい何だってする
身を捧げてでも。
それが侵食者
次の形態に移行させる為に
蒼穹は後片付けに
切り替わる
お、来た来た
通信
「隊長！」
紹介する。
今回の戦略の中核
リリィ
背後に母体の一回り大きな
円錐形の「聖釘」が見える。
うん、デカい。
流石、全長20km
蒼穹
「リリィ、戦略済んだから格納班」
リリィ
「全く‥」
「当たったらどうするんですか？」
直感が戦略に影響する
その為ならこんな無茶もする
聖釘がポータルの中に格納され
あの低い声が聞こえる
「セリャド」
リリィが
格納される聖釘を眺める
リリィ
「全本出す所でしたよ」
蒼穹
「一本で充分だよ」
「それより、攻防神はまだ？」
リリィ
「手配済みですよ。この数‥大漁ですね」
蒼穹の翼の出番か
36万5千の翼
それは、
どんな質量でも
移動できるスキル
荷物運びには重宝だ
沈黙した侵食者に触れ
最大スキルで
奴さんを押した
蒼穹
「よいしょ」
「格納」
低い声
「セリャド」
格納される固有結界
内部は満水に
満たした水の領域
そこへ禊として吊るす
穢れの無い純白な
第三形態へと変える為。
新たな仲間を迎える為に
第二の形態、
シャンデリアとして‥
吊るす
それが彼らの次の姿
第三形態の彼らが
やって来る
蒼穹
「後片付け手伝って」
純白の攻防神から無数の
アンカーが付いた
ワイヤーが伸び、
沈黙した侵食者の身体に
食い込む。
自分の指示に従い
黙々と作業を
始めた中には
自分ごとポータルに
入り込んで禊の
快適さを
堪能する奴も居る。
中の作業もあるんだけどね。
可愛い奴め
自分も一体格納完了
蒼穹
「良し」
リリィ
「禁断症状、もう大丈夫そうですね」
Vサインする。
リリィ
「ブイじゃ無い！」
そう、これは自分とエノク
だけの問題じゃない。
ラグラ全体の問題
最後
禁断症状とは
反物質の事
自分とエノクは対極にして
一つの存在だった
エノクに断ち切られだけど
それは狂おしいまでに
狂気なまでに
引き寄せたくなる衝動
フェイスマスクを
被り続ける事で
止まらない涙も
最後の接触の為にも
ブレる訳にはいかなかった
大好きなエノクに
抱きしめたかった
駆け寄るエノクを
引き離してでも‥
エノクに指先一つ
触れようものなら
対消滅
自分は愚か
エノクも
ラグラも
人類も
泡となって消える
けど、蒼穹はもう大丈夫
今度はエノクの番
禁断症状と向き合い
乗り越えられるかな‥
君の一人歩きを
自分は見守っているよ
愛してる
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