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半霊半物少女22

星間条約を果たした
銀河連合漁船団

全ての始まりの
投石とでも
言うのだろうか‥

私達ラグラ人類同様
外の世界の事は
実は良く
分かっていない

私も
精神考古学を
始め、そのルーツに
驚きを隠せない

次々に明らかになる
歴史とその繋がりは
神話同様密接に絡んでいた。



エノク
「三人共、今日から学校終わったら、真っ直ぐ家に帰りなさい」
イーノ
「え?古代図書館は」
エノク
「しばらく忙しくなるし、帰りも遅くなるの」
カズ
「何かわかったんだね?」
エノク
「お願いね」
「古代図書館もしばらく封鎖するわ」
イーノ
「はーい」

何か伏せている

子供達には
そう勘繰られた
だろう‥

私の表情にも
影がかかり始めていた


精神考古学は
図書館の文献を
漁るだけが
仕事では無く、

ラグラの
ランドシップを転々と
する様に
往復する事もある。

外来種族のルーツを
根掘り葉掘り
聞き出す事なく
情報交換をする
関わりの場として
ラグラの見えない
歴史のピースを
埋めている。

長距離をこれまで何度も重ね
寝る時間も割いていた。

今思えば、天魔重工での
経験がこの仕事で
生かされた事になる。

タケの洞察
私達の行動力

子供達と別れ、
私とタケは、出張

我が家のビルの
屋上にて待機していた
チャーター機に乗り込み

遠く離れた
上空へと飛んでいた。

普段はエアーフライトでの
移動が、疲労も重なり
操縦する気力も
ほとんど無かった。

パイロットからの連絡

「もう少しで目的地です」

長距離移動で寝入った
私とタケが上空の
目的地である
ランドシップを傍観する。

タケ
「この情景‥」
エノク
「撮った方が良いわ。出来るだけ全景で」
タケ
「良し、任せろ」

ハーフパイプの様に
伸びた数カ所の
抉れた渓谷が端まで
真っ直ぐ伸びる。

大地を粉砕
した様なバリバリと
割れた奇岩が
姿を見せている。

タケ
「自然‥だよな?」
エノク
「‥不自然だわ」
パイロット
「高度を下げます。風で揺れますよ」

意外にも風が強い。
パイロットは冷静な
判断と操縦で
目的地に到着させて見せた。

エノク
「ありがとうございます!」
パイロット
「調査終了しましたらお知らせ下さい」
タケ
「了解!」

風が髪を横に靡かせる
地平線がガチガチに
見える高低差。

タケ
「どう思う?」
エノク
「本当にこれが本来の情景だったのかしら?」

かつてのルーツから
言い伝えられる
史上最古のランドシップに
私達は立っていた。

タケ
「コレじゃ都市開発は難しいぞ」
エノク
「 」
タケ
「何処行くんだ?エノク!」

私はハーフパイプの
渓谷に向かって走る。

抉れた渓谷の
先端まで近付いて見た。



渓谷の下には湖。
大きさもよく分からない
生物が多数泳いで
いるのが見えた。

独自の生態系を
見せた最古の大自然。

表向きは。

あまりに
不自然

奇岩、渓谷‥

私の洞察が
一つの仮説を立てると
流石の私も
血相が変わり青ざめた。

タケ
「急にどうした?ん?顔色悪いぞ」
エノク
「ラグラが創造される前」
タケ
「⁈」
エノク
「人知を超えた何かの襲撃を受けたとするわ」
タケ
「エノク‥?」
エノク
「この端から端へと続く渓谷が」
「巨大な勢力で地形を破壊されていたとしたら‥」
タケ
「 」
「どのくらいの質量の勢力なんだ‥⁈」

そんなの‥わからない

もう此処には用は無い

エノク
「あ‥」
タケ
「おい!大丈夫か?」

立ちくらみか
疲労もピークになり
その場でへたり込む。

タケ
「戻って休もう。焦っても成果は出ないぞ」
エノク
「ええ‥此処での調査は済んだわ」


想像など
したくも無い。


私とタケは
チャーター機に
戻って
乗り込み


機内で死んだ様に眠った。

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