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Ragura Floating World33


退院した私に
ママが一つ
お願い聞くって言う。


私はしばらく考え
答えが出せない
ままでいた

そんなある日

ママの友人が
ペットの里親に
ならないかと
電話で
尋ねてきた。

送られて来た
画像を見て私は
どストライク

ママにせがんだら
あっさり承諾した。

譲渡の際、特別
必要なものは無いらしく
その日に渡せると言う

私はママと一緒に
友人に会いに
ファミレス喫茶店
へと待ち合わせ
場所を決めた


マヤ
「カオ!久しぶり!」
カオ
「お久しぶりね」
「この子?大変だったわね」
マヤ
「私と同じ修羅場よ。ね?」
エノク
「エノクです!」
カオ
「元気な子。
これなら懐くかしら」

しかしペットらしき
存在は何処にも無い
どうなって
いるのだろう

私が首を傾げると
ママはクスッと笑う

カオお姉さんも
微笑む


手をかざし
そこからポータルの
輝きが発生する

私はビックリした

光の中から小さな
白い生物が
ヒョコっと
現れた

エノク
「凄い!」
カオ
「転移ができるのよ」
エノク
「かわいい!」

初めての出会いに
打ち解けるのも早く
小さな子は私の肩に
乗ってくれた

カオ
「とても勇気のある
子だから相性良さそうね」
エノク
「ありがとう!
大事に育てるね!」
マヤ
「それで‥相談て?」
エノク
「?」

綺麗なカオお姉さんは
そろそろ結婚も
考えたいと言うが、
諸々事情により
相手が見つから
ないと言う

マヤ
「私、まだカオの事
よく知らないから
良かったら説明して?」
カオ
「ええ‥実は」

カオの言葉から出た
意外な事情

それは、自分が
内包者である
事だと言う。

エノク
「ハハは内包者だよ」
カオ
「ハハ‥?」
「内包者と結婚してるの⁈」
マヤ
「ええ、カズのパパ
再婚してたの
カオ、どんな相手が好み?」

少し考えるカオは
内包者でも
受け入れてくれる
相手なら、と
落ち着いた口調で言う

私はテーブルで小さな子と
スイーツを頬張る
この子にミタマ(御魂)と
名付けた

マヤ
「カオに合うかは
分からないけど、私も
協力するわ」
カオ
「ありがとう、マヤ」

進展があれば
連絡すると
ママはカオの事を
心配しつつも別れた

笑顔で手を振る
カオ




その帰り際

マヤ
「手頃な男性ね〜」
エノク
「ママ」
マヤ
「うん?」
エノク
「フェンスに誰か乗ってる」
マヤ
「⁈」


若い男が立つ
フェンスの上
私達と目が合う

気付くとその場から
奈落へと飛び降りた

ママが絶句する中

私はミタマに
懐に潜り込み
転移する様
促すと、目の前の
ポータルが発生した
発光先へと
飛び込む




その先で

私とミタマは
奈落の底へ
落ちる男を
視界に捉えた


真っ逆さまに
落ちながら

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