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半霊半物少女23



疲れ切った体で

ホテルに素泊まり
そして三時間程の
睡眠から一転、
本社から銀河連合漁船団の
漁長夫妻が
お見えになると言う。

長い銀河航海人生
星間条約を果たし
往来した彼ら

私とタケは、
本社にて貴重な対談を
果たす機会が
与えられた訳です。

ラグラの外の世界を
生きた、往来種族の
貴重な体験‥とは

彼らもまたそれが、
此方の役に立つのでは
と、当社を訪問したい
との事だった。


私達は急遽
エアーフライトで
本社へと向かう。




「初めまして。漁長の渡部縋(ワタリベスガル)と申します」
「前漁長の妻、海(ウナ)」

私と同じ家族の
姿を見せる
渡部一家。

傍らに中学生程の
娘さんが1人


「精神考古学者と対談出来るとは。このラグラのルーツを調べてらっしゃるとお聞きしております」

エノク
「ラグラへようこそ。精神考古学研究会のエノクです。」
「長きの銀河航海、お疲れ様でした」

そして、妻の海が口を開く


「瀬奈、疲れたでしょう。奥で休むと良いわ」
瀬奈
「はい、ママ」
エノク
「 」

似ている‥
私と同じ家族。

無意識にそう呟いた。

エノク
「あ、失礼しました」

「瀬奈は、学校さえ行けなかった」
エノク
「私もです」


「 」

苦笑いするしかない
自分の過去を初対面で
呟くとは思わなかった

タケ
「タケです。かなりの数が降下するのを見てました」
「外の世界の事、良ければ教えて頂けますか?」
エノク
「タケ。それは‥」

失言だっただろうか?
夫妻は顔を見合わせる

不味かっただろうか‥

相槌をうつ縋漁長。


「なるほど、無理も無い。この星系が半霊半物に対して非干渉であるならば」
タケ
エノク
「?」

縋漁長は続けてこう答えた。


「つまりは、侵食者をご存じ無いと」


ドクン‥

私達は息を飲む


侵食者

初めて聞く
その存在が

今回の調査報告の
進展に関わりつつある


そんな予感がした。

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