古典ピアノのコンサートへ行ってきました。

古典ピアノのコンサートへ行ってきました。
チェンバロ製作者のYさんの工房へ、古典ピアノのコンサートへ行ってきました。
ピアノは19世紀からのクラシックピアノが修復の途中でした。WILH. STEINBERGの古いピアノはグランド型ですが、音は私はあまり好きではありません。現代のものに近い感じです。今回修復途中のドイツ製1920年の楽器を聴きました。修復は調律師でもあるTさんと二人で行ったそうですが、かなり大変そうでした。中音から高音は3弦でタイトにチューニングされています。低音は2弦です。ピアニストが弾き出すと「花のワルツ」 やハイドンなど自分の知っている曲でこの楽器の特異性が分かります。中音域の和音は明らかに「平均律」で調弦されていて3つの弦はほとんど同じピッチで調弦されています。しかし高音域のメロディは明らかにいい意味での「違和感」があります。普通で無い響きです。もちろんウレタン塗装の現代ピアノではないので、音の解像度はとても良いと思います。音も明るいのですが飛び抜けて聞こえる理由を、調律したTさんに聴きました。この方は日本でも数少ない古典楽器を調律できる方です。理由は中音は平均律でそれより上にいく高音で、純正調的に調律をずらしているということです。もっとも完全に純正調調律ではオクターブでうねりが出るはずですが、そうしないところが技術だそうです。
この技術ははっきり言って私にはどういう手法かは理解できません。中音と高音で周波数を割りきれないようにしていることは確かです。鍵盤楽器で単音か複数音源を同一音に調弦する楽器と、笛、フレットのある弦楽器だけに関わる問題ですが、ヴァイオリンの場合はフレットレスでビブラートかけますからこのややこしく繊細な問題はありません。

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2019-04-25 11:32

シャノーの逆スクロール
Yさんのチェンバロ製作工房にシャノー(Chanot)型のヴァイオリンを見つけました。シャノーは1820年頃までに、角のないギター型やエンドピンからテールピースをギター型ブリッジに付け替えた作品を残している。C字孔や実験的ヴァイオリンが特徴だが、中国製でコピーされて回っている楽器が多いと聞きます。
中でも「逆スクロール」ですが。やってはいけない改造にも見えますが、この方が音は良いということです。楽器の表面を流れる音の波はスクロールを伝わり、渦巻きの突端から放出されます。突端の突起形状も音を左右します。逆に今のノーマル楽器のスクロールは何故上を向いているのか、スクロールを逆にしてまでスクロールにこだわるのは何故か。疑問は尽きませんが、「音が良い」とはどういうことかになると思います。位相のズレだけは物理的に実際の音と理論が一致します。従ってゴム弾性の排除とニスの質については指針が明確です。「良い音とは結局聴く人の好み」になると主張するのは、何も音について感受性も何も無いことを意味しています。楽器とは「良い音」を目指して作っているわけですから、せめて自分の作った作品の優劣は決めておきたいとは思います。確かに世界のクラシック基準でストラディバリウスが良いとされているのですが、スタンウェイのピアノはどうなのかと言われると、私はあまりにも「良い悪い」の噂と信じ込みからズレた話しになると思っています。それしかなければそれを聴いた感想しかないわけです。実験的な楽器はそのためにあるようなものです。実験的ヴァイオリンはことのほか多く、サバールの台形ヴァイオリンをはじめ、胴のないものガラス製、皮製、バンジョー型といろいろあります。2019-04-26 12:58

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