Koen Padding Violin Varnish


Koen Padding Violin Varnish
この本は故Koen Paddingd氏のMagister Violin Varnishの残された記録を編集したものです。

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今月に発売されました。内容ははっきり言ってよく分かりません。
断片的な内容でこれらのニス作りの経験のある方が書いたわけではありません。
分かることはサンダラック・ウォルナット、アンバー・ウォルナットの二つのベースとマダーレーキを数種類という組み合わせのシンプルなオイルニスで、私のViolin Varnish Grouns,ClassicalとViolin Varnish Pure Amberと同じものです。コロホニウムをベースに選ばなかった理由はあると思いますが、Marciana Manuscriptも引用しているので、サンダラック・ウォルナットにした結論が存在するのだと思います。

製法については触れていません。つまり不明です。
その前にビザンチンシステムの概要がサッコーニ氏との関連で、述べられています。
ストラジバリはこのシステムとは別のもので、もっとシンプルだと考えられます。下地についてのいろいろな考え方はこのページを読んでおくべきだと思います。ただしサッコーニ氏の考えは全く正確ではありません。
推論です。しかしオイルニスの下地について、ここに重大な要素があることを提案したことは重要です。

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この本の全訳は後に掲載します。2015-09-27 11:12

自社のオイルニス製品について2
色の考え方は基本ベース処方の色がヴァイオリンに適した、赤味のある琥珀色ということですが、これにプラスする色の使い方は二通りです。
たぶんDoraturaはStil de GrainでCremoneseはMadder Lakeでしょう。Koen Padding氏はマダーレーキを3種類用意していたようです。Rubia Tinktoriaの単純な赤の他に、暗い赤とオレンジ色があると考えられます。かなり強い発色のオレンジ色があると一連のカラーシリーズは作れます。
黄色の濃いものがオレンジ、その濃いものが赤という同系の色を重ねることで、透明性が高く明るい仕上がりとなります。
それに対し、マルチアナ・ココロホニウムの自然な飴色に紫を加えて重ね塗りする補色で深い色にする方法があります。応用としてはコチニールレーキ、コバルトブルーで調整することもできます。
Magisterと私の考えの違いはコバルト・マンガンシッカチフを乾燥促進剤として使用するかしないかというところです。弊社のオイルニスは紫外線硬化性だけで硬化します。
シッカチフ使用で「焼け」が起こり、色が暗くなることがあります。(本来空気酸化による硬化と紫外線硬化による硬化は反応自体が違います。)
2015-10-09 16:45

Lorenzo Marcucciの方法 マダーレーキ
鉱物顔料を製造する方法と化学分析論 エナメルとニスについて。ロレンツォ マルクッシから一部抜粋です。
この本は前に紹介しましたが、結構内容は多いと思います。
Lorenzo Marcucci, Saggio analitico-chimico sopra i colori minerali e
mezzi di procurarsi gli artefatti, gli smalti e le vernici, 2nd edn, Rome, 1816
Lacca rossa di Rubbia

赤い茜色の塗料。これは、その根の媒染で行われ、フランス語では"Laquale"と呼び、ドイツ語では"Krappwurzel"と呼びます。茜のチンクトリアは、同じものが多くの地域に根付きましたが最高のものはニュージーランド産です。この塗料の製造方法は、非常に大規模な陶製容器に15ポンド(5086g)の水を入れます。ニュージーランド産の茜1ポンド(339g)を沸騰させ、液体が12ポンド(4068g)になったら、強い布によって濾過します。8オンス(226.05g)の明礬を他の容器に溶かします。二つの液体を残さず混合します。炭酸カリウム塩3オンス(84.77g)を1ポンド(339,07g)の別の容器の中に溶かします。
ここで、炭酸カリウム塩の投入は、即座に泡を伴い沈殿を形成します。後で沈殿物をろ布の上に濾過して取り出す必要があります。泡を除去するため沈殿の表面にぬるま湯を注いで洗います。そして日陰で乾燥させます。
註)この方法は明礬を先に添加して、あとから炭酸カリウムで中和して沈殿させる方法であり、順序が異なります。2015-10-12 11:15

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Vernice grassa "Saggio analitico-chimico sopra i colori minerali "より
Vernice grassa dì Copale
コ-パルのヴェルニーチェ・グラッサ。
コ-パルのヴェルニーチェ・グラッサはあまり明るくありませんがそれ自体堅い塗料であることで非常に広範囲な分野で使用されます。それは良い磨きがかかります。
良い光沢があります。
亜麻仁油1ポンド(339.07g)
コーパル1ポンド(339.07g)
アルコール8オンス(226.05g)
またはテレビン油1ポンド(339.07g)

新しい塗料容器に砕いたコーパルを投入し、赤熱した石炭の中央に置かれます。内容物が全て均一に溶けるように、8オンスを数回にわたって投入します。
全てが融け完了したらは火から下ろし、自然に冷却します。
ガラス棒でかき回して布に通して完成します。
使用は、その光沢のある素晴らしい塗装し、他の家具などに塗装することができ、油と下地色を組み合わせて制作することができます。陶器面を持った光沢性の塗料です。
上記の光沢を出すには最初軽石で、その後珪藻土、石炭、骨炭、微粉で磨きます。

Vernice di Carabe琥珀ニスは、硬さがあり、さらにお湯にも熱に耐え、そして素敵なポリッシュを取ることができる塗料ですが、暗い色であるという欠点をあるので、あなたは色の都合で使用することはないでしょう。これは明らかです。

それは琥珀 1ポンド(339.07g)
乾性油の10オンス(282,5g)
テレピン1ポンド(339,07g)
上記コーパルとして加えて。
私はコーパルを塗料で使用したことがありません、本質的に他の溶媒に混合して溶液を得ることができないし、塗料が脆い場合はアルコールニスが硬さとしてはトップの座を持っています。

これのもう一つのコパル塗料は、箱、ケース、およびその他の家具のためにジェノヴァでそれを使用しますが、それは、上記よりもう少し柔らかくそれはストーブでそれを乾燥させます。
あなたはコパル半ポンド(169.53g)を取ります
亜麻仁油10オンス(282,56)
テレビン油 4オンス(113.02)
ヴェネツィアテレピン2オンス(56,51g)
そして、テレピンは結合します。
これは、上記のようにコパルの溶液でテレビン油を添加します。これは、あなたは上記の用途のために油にアースカラーを組み合わせることができます。
油性塗料金箔接着でそれらを使用するために、モルダンテと呼ばれます。
アマニ油 1ポンド
ヴェネツィアのテレピン 4オンス(15.02g)
ネープルイエロー 5オンス(141.28g)
あなたは、亜麻仁油を加熱し、テレピンを加え、その後、ネープルイエローを全量添加します。

他のヴェルニス モルダンテ。
悪に油4オンス(113.02g)
イエローオーカーの2オンス(56.51g)
ミニューム(光明丹)1オンス(28.25g)
コパルワニス 2オンス(56.51g)

粉砕したオーカー黄土色とコーパルに亜麻仁油と鉛丹を添加して煮詰めます。
通常の塗料。それは空気に晒さす木製のものに使用しています。
亜麻仁油 1ポンド(359.07g
鉛白、または他の色3オンス(84,77g)
生亜麻仁油 2オンス(55.51g)
鉛白の下地は接着剤は上記で詳しく説明しています。

ヴェルニス・グラッサ・黒
印刷用塗料
アマニ油10オンス(282,56g)
ロジン6オンス(169,53g)
黒煙炭2.5オンス(42.38g)
亜麻仁油とのピッチを液化し、何時間か沸騰する必要があり、糸をひくようになります。、黒煙が発生しますので注意して見てください。

註)これもテレピン油とヴェネチア・テレピンの違いに注意してください。
"Vernice grassa "は適切な訳語がありません。glassaではなくgrassaです。
「豊かな」「脂肪」の意味があります。
2015-10-13 13:03

鉛丹の使用について
古い文献なので頻繁に鉛丹、酸化鉛が使われます。白い鉛白は(white lead)2PbCO3·Pb(OH)2、
黄鉛PbOは密陀僧/リサージ (litharge)、金密陀/マシコット (massicot)、光明丹Pb3O4ミニアム(minium)
これらは全て酸化鉛で、亜麻仁油などの乾性油の酸化促進剤として使用されました。
乾性油の二重結合が複数ある分子の二重結合位置を変化させるので、昔の煮亜麻仁油の製造にも使用しました。(現在この製法は行っていません。)
乾性油の酸化促進剤は他にはコバルトやマンガンのナフテートがありますが、ヴァイオリンのオイルニスに関しては結論としては不要です。紫外線硬化で完全に硬化します。

ネープルイエローNaples yellowPb(SbO3)2/Pb3(SbO4)2はにこれと亜麻仁油で、Imprimitura doraturaという下地塗料の処方があることは書きました。これは放置しておくと「皮張り」がおきて自然に固まってしまいます。鉛塩に限らず酸化促進する金属塩は塗料の寿命を短くします。
乾燥促進剤を含まないVernice Liquidaは冷蔵庫保管すれば数年は使えます。
また乾燥促進剤は使用した布を大量に保管していると自然発火することがあります。
(乾性油を使用した布は乾燥促進剤なしでも条件が悪いと自然発火します。)
また塗料を塗布した色も年々「焼け」て暗くなっていくので、使わない方が良いと思います。
2015-10-13 16:26

Vernice LiquidaのKoen Padding氏の紹介文2
Doratura varnishは、そのまま2 - 4層に塗装し着色することができます。
より淡い色は、無色のVernice Liquidaで(歴史の絵用語の)「和らげる“tempering”」ものによって得られます。
Doratura varnishは色の着色塗装の下塗りとして理想的です。そして、暖かさをすべての顔料に加えます。すべてDoratura varnishのための一般的な説明:
°無溶剤/または溶剤不用のヴェルニーチェリキッダ型オイルニス。
°優れた耐退色性。
°乾燥剤フリー(保存性良好)
乾燥剤はニスに含まれていません。別々にご注文乾燥剤をしてください。
°二重下塗りのためにも十分な耐久力があり、ヴェルニーチェリキッダ・クリアより柔軟性および熱可塑性があります。
°石油、ホワイトスピリット(ミネラルスピリット)、テレビン油、または薄い亜麻仁油 で希釈することができます。主要成分は17-18世紀に使用したのと同じ場所と植物種か ら得られます。
一般のDoratura varnish
Doratura Rosso - 金色オレンジから茶色オレンジ色。
サンダラック/亜麻仁油がベース。
これは強くアンバー色から黄金オレンジ色のヴェルニーチェリキッダです。
Doratura varnishは、顔料を混練したり、他のオイルニスを有効に改質するには理想的です。
用途:着色ニス - 着色や塗料の下塗りからニス上塗り着色。
Doratura Marroneは - Doraturaの茶色オレンジの品種。アンバー/亜麻仁油がベース。
若干速く乾燥、高い色強度。オレンジ - 鹿褐色から茶色。
Doratura Marroneはほとんどの塗料が持っているような品質がありますが、当社の他のワニスのような完全に透明ではありません。
これは、これはニスのグレージングとして調整することができます。
用途:特に着色ニスの下塗り、または色の調整添加剤として適しています。
Doraturaヴァイオリンニス限定品
これらの特別なDoraturasはすばらしくて、持続的な強い色を見せます。
疑似二色性強く示し顔料を加えなくても強烈な色を生じます。
Doratura Cremonese-絶妙なオレンジから金色琥珀色。
サンダラック/亜麻仁油をベースにしました。
後期のアマーティと初期のストラディバリ・ニスを思い出させる。
Doratura Cremonese Glassa - アンバー/亜麻仁油ベースのDoratura Cremoneseの系統です。
アマティ初期のニスでわずかにより濃い暗色。
我々の2つのDoraturaクレモネーゼ・タイプは、Doraturaニスとして実にユニークです。
それらは我々に知られている少ないニスの一つです、それは顔料を加えることでオレンジ蛍光色を保つことができます。暗い蛍光層の上に使用すると、非常により明るく見せることができます。
一週間乾燥した後で、最初のレモンイエロー色は、金色の優雅な琥珀に深まります。
顔料はより燃えるような外観になり、ニスの下地に光安定性を与えます。
用途:着色ニス - 着色ニスや塗料の下塗り -着色上塗り。
Cremonese Red Doratura - サンダラック/ベース亜麻仁油
茶色調の明るいレッド/オレンジ色を生成します。層を厚くすると赤くなります。
乾燥につれて初期の茶色は最終的な明るい色へ変化します。
その適切な油比により、このニスは、ベネチアレッドニスのしわがよらないバージョンです。
これは、典型的なヴェネチアとクレモナレッドニスに非常に類似しているUV蛍光を示します。
用途:着色ニスや塗料の下塗り - 着色上塗り。
Brescian Brown Doratura - 強いオレンジ色ニュアンスを持つチェスナットブラウン色。
ベースはアンバー/亜麻仁油
用途:着色ニスや塗料の下塗り - 着色上塗り。
Doratura Marroneに似ていますが、Brescian Brown Doraturaの方が色が強く複雑です。
乾燥したニスの自然な風合いは、強い二色性効果が得られます。
用途:着色ニスや塗料の下塗り - 着色上塗り。
ブラッシングワニス
古典的なイタリアのクルミ油ワニス
古典的なヴァイオリンニスは信頼できる科学的資料がは不足していて解釈するのが簡単ではありません。
1980年代の初めに教授レイモンド・ホワイトによって行われた分析作業、および現在試みられたEU-Artechプロジェクトの両方から明らかになったのは、古典的な期間に、楽器塗料が亜麻仁油とウォルナット油の両方で作られたということです。
データの量は依然として明確な結論を引き出すためには不十分ではありますが、特定の油の使用が、限定性または有効性に寄与していないようです。
指摘もあることそれは後で古典楽器ニスに関する少なくともどこで絵画ニスの初期から文献書かれているように、これらの油は、与えられたニスの処方の中で、単純な入れ替えではありませんでした。これは古典的なヴァイオリンニスでウォルナット油の使用は歴史ヴェルニーチェリキッダ型オイルニスが起源だったという結論に私たちを導きました。
すべての利用可能なデータに基づき、現実性に沿って、Magisterの「古典ウォルナットオイルニス」の仕様はこの速乾性ウォルナットオイルニスに到達しました。
このニスは溶媒が蒸発した後は完全に固着し必要であれば刷毛塗りできるように処方されています。初期の乾燥時間は、当社の亜麻仁油オイルニスに似ていますが、乾燥と熟成には3回かかります。乾燥ニスフィルムは高光沢レベルの表面の密なエナメル質を持っており、我々の亜麻仁油ワニスよりも明快さと二色効果のさらに高いレベルを可能にします。硬化すれば靭性と柔軟性は、当社の亜麻仁油オイルニスに似ています。
すべての古典的なイタリアのウォルナットオイルニスのための一般的な説明:
°オイルニスは刷毛塗りに適合する仕様です。
°優れた耐光性。
°すでにニス余分な乾燥剤がはいっていても乾燥剤を添加することができます。
°ヴェルニーチェリキッダ型ニスより熱可塑性が低くチェロの使用に耐えます。
°石油(灯油)、ホワイトスピリット(ミネラルスピリット)テレビン油で希釈することができます。
17-18世紀に使用したのと同じ場所と植物の成分を使用。
°ウォルナットオイルニスをプライマーに使用すると非常に強い疑似二色効果を示します。
クリア・ウォルナットオイルニス - 無着色汎用ニス。
サンダラック/ウォールナットオイルベース
用途:クリアとして、グランドニス(アイボリーホワイト蛍光)あるいはシーラーとして。
Brick red Walnut oil varnish赤れんが色ウォールナットオイルニス - 赤レンガ色のクレモナのニスを思わせます。
サンダラック/ウォールナットオイルがベース。
用途:着色ニスや塗料の下塗り - 着色上塗り。
、厚い層でブラウン色調と耐光性で、初期の茶色から色豊かで暖かい赤に変化します。

註)Koen氏は色の具体的な処方は示していません。残された物質のリストからはスティルドグレインと3種類のマダーレーキを作っていたと思われます。ここがポイントです。マダーレーキは一般に販売されていて自由に購入できます。しかし何故か、氏は自作することになりました。この理由は分かります。市販のものは「ヴァイオリンに使えない」からです。メーカー品はオランダとドイツ、イタリアにありますが、作り方の出所が
"Die Farbstoffe,Mit Besonderer Berücksichtigung Ihrer Anwendung In Der Färberei Und Druckerei. " Paul Schützenberger著であり(ドイツ古文字体 で書かれていますので読めません。)この方法のマダーレーキは不透明だからだと思います。2015-10-15 16:29

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