オーガニックと頑固な職人

いわゆる「オーガニック」指向で、エコラップを作りたいので天然樹脂を紹介してほしいという要望が多くあります。しかし天然物イコール無害という考えは間違いであるし、紙や布に蜜蝋を塗ったところで、紙単独で使う方がまだ使いやすいでしょう。「オーガニック」というカテゴリーには悩まされます。以前、「天然マニキュア」を開発したときには、化粧品業界の「天然物」「自然」は言葉だけであって、内容に関しては全く興味がないことが分かりました。つまりキャッチフレーズのとれる商品が欲しいだけで、現行のマニキュアが酢酸エチルやトルエンを用いた溶剤が唯一許されている業種であったわけです。人体に有害でも規制できないのです。代替え品がないからです。硝化綿(ニトロセルロース)が主成分で戦後長い間使ってきたわけですから、特に問題は生じませんでした。これが真実「無害」となるメリットは何もないのです。化粧品業界は窓口を持ちません。技術的に新素材として売り込むには、その専門の問屋を通さなければ話もできません。インドの芸能音楽業界並の閉鎖的な社会です。もちろん有機化学に対する見知も低く、やってることも曖昧です。「イオン配合」とか覚えてます。
 というわけで、弊社、つまり私としては「売れればいい」という考えは全くありません。ヴァイオリンニスの古典製法を追求した頑固で融通性のない職人です。

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