オイルヴァーニッシュの塗装方法(エレキギター編その1)

アコースティックギターについては既に、シェラック塗装とアルコールニスの塗装が常套的に行われていますので、ここではエレキギターのオイルニス塗装について、解説します。
実際のところエレキギターのオイルニス塗装は見たことも聞いたこともありません。
ヴァイオリン・ヴァーニッシュ・コロホニウムつまりはストラディヴァリと同じ方法でのオイルニス塗装となります。簡単な発想の簡単な作業ですが、これはたぶん世の中に例がありません。アルコールニスより塗膜が強固に仕上がるので、実用的だと思います。
1.最初に、にかわ水5%溶液を作り、塗布してすぐ拭き取ります。これを2回行います。
乾燥後、研磨します。

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にかわ水は冷えるとゴム状になります。加熱するとすぐに液化します。塗布すると木材表面が荒れますので、乾燥してからまた研磨してください。
2.コロホニウム・グンドシーラーを塗布します。
グランドシーラーは硅酸カルシウムの粉を練り込んだもので、多孔質のパミスよりは塗りやすく、使い易い材料です。乾燥を数時間行い、テレピン油を揮発させて紫外線硬化させます。この後また軽く研磨します。

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3.硬めのスポンジで延ばすと、綺麗に塗装できます。

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4.テレピン油を揮発させるのに4-6時間放置してから、ブラックライトで硬化させます。硬化は12時間程度です。

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5.コロホニウム・ライトブラウンを指で塗装しています。この後硬めのスポンジで均していきます。塗装は指かスポンジで行いますが、テレピン油で希釈して刷毛塗装でもできます。テレピン油が揮発してきたら、スポンジで表面を均していくと均一に塗装できます。数時間の乾燥の後で、紫外線硬化させます。12時間ぐらいかかりますが、時間を短縮するにはシッカチフ添加で対応します。

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6.下地塗装ができあがりました。またブラックライトで硬化します。

2019-04-05 12:49

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オイルヴァーニッシュの塗装方法(エレキギター編その2)
7.裏板、横板も順に塗装してブラックライトで硬化させます。

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8.気候の良いときは日干しで日光硬化できます。夏の炎天下は避けてください。

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9.着色はコロホニウム・レッドブラウンで行います。この塗料は赤紫ですが、下地がコロホニウムライトブラウンまたはダークブラウンの場合には、紫ではなくオレンジまたは赤くなります。

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10.指でのばしてスポンジで均していきます。

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11.一回塗装はこのようになります。赤くしたいときはさらに重ね塗りをします。

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12.紫外線硬化はブラックライトで数時間して均一にあたるようにします。20Wブラックライトを標準としますが、日光でも日差しの強いときはブラックライトより短時間で硬化します。

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13.レッドブラウン2回目塗装
レッドブラウンはムラにならないように、テレピン油で薄めて刷毛で塗布していきます。また半乾きの状態でスポンジでならしてムラを取ります。

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14.最後はヴァイオリンヴァーニッシュ・ピュアアンバーをトップに塗装して、パーツを取り付けます。
ピュアアンバー塗装は堅く後でパーツを取り外しても剥がれることがありません。

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15.最後はトリポリ粉末で研磨してバフをかけて、一週間放置した後再び磨きます。2019-04-09 14:39

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