キスは文化か!?本能か!?

ふと、「可愛いものにキスをしたいと思う気持ちって、文化なのか? 本能なのか?」と疑問に思った。
僕は若いころ、キスは文化だと思っていた。

僕のファーストキスの記憶は、まだ恐竜が生きていたころ、四半世紀近く前、高校生のころのことである。
当時遠距離でつきあっていた人と、二度目に会ったときにやってみた。

そのときの僕の感想は、こうです。

「ごっこ遊びっぽいな!!」

……ロマンのかけらもありません。
や、ドラマとかマンガのシーンを真似てる感覚が強かったんだよね。ドラマみたいにBGMが入るわけでもないし、少女漫画みたいに花びらが舞ったりもしないよな、と。(あたりまえです!)
特に快でも不快でもなく、まぁこういう感じなのね、っていう。スーパードライ。

それで僕は、「なるほど、キスって文化なんだな」って思って。
そして「慣れればもっと、自然になるものなんだろうな」と考えた。

たとえば、英語を喋りなれない日本人が英語を話すときに、「おれ日本人なのに、rとlの巻き舌がんばってんなぁ…」って感じる、ちょっとした気恥ずかしさってあるじゃないか。でもそういう違和感はずっと英語を喋っているうちに消えて、それが自然になるわけで。
新社会人がスーツを着てネクタイを締めても、はじめのうちはスーツに着られてるような感じがあるものだ。
でもそれは、それを当然のものとして生活しているうちに、だんだん馴染んでいって、むしろ着ないと落ち着かなくなったりとかもするわけで。

キスも同じで、ファーストキスは「なるほどこんなもんか」っていうごっこ遊び的な感覚が拭えなかったんだけど、でもそれはその文化にまだ自分が馴染んでいないからであって。
慣れていけば、もっと、あたりまえのものになっていくんだろうなぁ…と。
それまでごっこ遊びはごっこ遊びで、全然楽しいよね、と。

みたいなことを、あとで彼女に話したら。
さすがにもうよくは覚えていないんだが、たしか、泣かれましてですね。シュラーバ。
なんでぇぇ…。

相手にはもっと、本能的というか、情緒的なものであったのだろうなぁ…と。
すまん、そのへんわからんやつで…。青春はすれ違い!

以来、ずっと、キスは文化だと思っていたんだけども。
なんとなく、西欧のロマンスエンターテイメントにのって、広く世界中に伝わっていったのかなって。単純に、アフリカの部族とかにキスをするイメージがなかったというだけの推測なんだけど。

……ただ、さ。
ここ数年、猫を飼いはじめてみてさ。
俺は「なんてかわいいんだ…! ちゅっちゅしたい…!」と思うオッサンと化している。

それで、
「やべえ、これは文化じゃなくて本能か…? 猫にちゅっちゅしたくなるのは、人の本能…!」
などとも思い。
どっちなんだ!? と。

で、ちょろっと調べてみると。
やっぱりこの問題、学者でも意見が割れているみたい。

かの有名なダーウィンさんは、キスは文化(学習されたもの)だと考えているらしい。

(ヨーローッパ人が)愛情のしるしとしてキスをするのは習慣化しており、それは人間全体にとって自然な行為であるかのように思われる。しかしそうではない。「それは自然に生まれ、最初の求愛とともに始まった」としたスティールの言葉は誤りである。

フエゴ島に住むジェミー・ボタンに聞くと、この行為を知る者は彼の島にはいないという。同じく、ニュージーランド、タヒチ、パプア、オーストラリアの人々や、アフリカのソマリ族、イヌイットにも知られていない。それでも、愛する者とのふれあいに喜びを感じるのは彼らにも自然なことであり、ニュージーランド人やラップランド人が鼻をこすり合わせるように、世界各地でキス以外の表現が用いられている。腕や胸、腹を互いにすり合わせたり、軽く叩いたりするほか、顔を相手の腕や足に押し付ける所もある。

https://www.gizmodo.jp/2016/12/why-the-hell-do-people-kiss.html

人類文化のうち、10パーセントがキスをしないらしい。(きちんとソースを追ってないのでどれくらい正確かは知らん)
それならそれは本能じゃなくて、文化だろ、という。

でも「本能」派の言い分としては、人間以外の動物にもキスに似た行為をするやつはいるという。
ピグミーチンパンジーなどがキスと同じような行動をするし、そういう例はほかにもたくさんある。
それは鳥とかオオカミとか多くの動物がしている、母親が固形食を噛み砕いて口移しで赤ちゃんに与える行為が、絆や情愛を深める行為としてキスへとつながっているんじゃないか……とか。
これも一理あると思うんだよなぁ。


どっちなんだ?
キスは文化なのか? 本能なのか?
……とか考えながら、愛猫にちゅっちゅしようとして、顔をそらされたり足で口を抑えつけられたりしています。

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