恋愛においてクズと言われた俺のちょっと思い出しただけ考察

違うタイミング、心境で三度観た
一回目くだらねえ
二回目うーんしんみり
三回目きっつ

ネタバレアリ考察です。 ストーリーは説明しません。

序盤の伊藤沙莉のタクシードライバーやる理由などからリードしてもらいたい傾向が強い。
金銭よりも大事なものがあると豪語するあたりはしっかりと仕事しつつもロマンティスト
夢破れそうな彼氏に対して支えたいと思ったりもできるが、気持ちを察することはできず、押しかけ自分の考えを押し付ける少々自分本位な一面も。池松がしっかりコミュニケーションをとり頼らない、弱さをみせないことも要因だったとは思うが…承認欲求強め
冒頭では、失恋の辛さから死ぬなどは良いとは思っておらず、大丈夫と発言しているが幸せとは言えないため引きずっている。


 反して池松は言葉に出すことで傷つけたり関係が壊れることを危惧する優しい性格。
周りが踊ってる中リハビリをしたり、挫折後照明担当になったりとダンスに対してかなり真剣だったことがわかるが、彼女の少々理不尽な怒りにも言葉を飲み込んでしまう自己犠牲精神がある。
が臆病で(魚の種類を説明するシーンも恐らく自分と重ねている)
重量から解放される、鳥が好きなのも何か自由に発言できないところに息苦しさがあるのかもしれない。だから身体表現しているのだろうけど、堅実的にリアルをみてるがドリーマー。
少々空気が読めず、真面目かつ大事な思いがあるからこそちゃかされたくない、弱く脆いプライドもある。
冒頭ではナイトオンザプラネットを観ながら乱酒している、誕生日を過ぎたことにしたい、仕事に身が入らない、ことから引きずっていることがわかる。


愛とは言葉にすることではないと伊藤沙莉に語るマスター
言葉にして言える時に言わなきゃと池松に伝えるタクシードライバー
ずっと待ち続けられる人がいることは奇跡と言い、時には追うことも薦め伊藤沙莉の背中を押したジム・ジャームッシュ作品にもたくさんでてる永瀬 正敏

お互いの足りない部分を各キャラが後押ししながら成立した関係も、永瀬 正敏が池松にも同じアドバイスしてたらまた違ったかもしれないと同時に、池松は永瀬 正敏だったんだよなぁという。

信用して頼って欲しい、長い将来を連れそう気満々の伊藤沙莉と迷惑をかけるのは恥ずかしいこと、傷つけること、嫌われるかもしれないし責任が伴うこと、長いこといるためには自分なりの整理やけじめがついてから向き合いたい池松。
己の主張をぶつけ合うのも、独りよがり相撲もすれ違いも残酷で醜い。
言葉を使わず察することは忍耐がいるし、相手を思っていなければできないと思う。信用もタイミングもいる。
これが愛なんじゃね。タクシーを見送る涙目よ。
ああでも、彼女のために殻を破ることはできなかったから自業自得なんだけれども。体調や今まで積み重ねてきたこと、将来の不安などでまともな判断ができず独りよがりだったこともあるだろうけどさ。
ダンサーである時の自分とダンスをできなくなった自分を理解されないのも相当なストレスだと思うけどね。よく黙って堪えた泣
出会いも、夜の水族館でもダンスするくらい2人にとって重要なもののはずだったろ。

表現者と表現をあっけなく辞めれた人の違いというか、そういうの分かり合えるはずないって最近の自分にすごくシンクロする。


座・高円寺, 高架下は個人的にかなりノスタルジックでどうにかなってしまいそうだった。尾崎世界観のex ダーリンがかなり刺さる。出会いの場で別れの曲。先がわかってるから悲しい。

結局、伊藤沙莉も誕生日を覚えておりケーキを用意する辺り、充実した時間、池松が魅力的だったのだと思う。日付がこえたのをみて強い眼差しでタクシーを発進させ、誕生日の次の日にケーキをたべるのはゆっくり乗り越えようということなのだろう。ダンスを見守る目はやっと理解したのかもしれない。いや、出会った頃を思い出したんよね。
池松も尾崎世界観からの質問に答えたのも出会った頃思い出したしタクシーをみたからだろうな、と(冒頭では出会ってないと発言しているが、乗り越えると決意したんだろう)

ナイトオンザプラネットは重要なキーワードだし、特に夜、夜のタクシー、夜の水族館、夜の家、それらは2人きりの世界だったんだろう。
髪を切り、家を変える池松。ラスト同じ空の下、お互い同じ夜明けの空をみて、夜が明けるんだなぁと。

そういう失恋乗り越え映画でした。流石、松居大悟監督。嫌味でもなく、しっかりと考えられた観客の感情をコントロールする展開
結局表現、ダンスでみんな明日へ向かったってことだけど。嘘。ダンスと尾崎世界観で初心へ戻り、悟り次へ進んだってことだわ。いつも追いかけられてばかりだった池松も最後は見送る側へ


誰しも被害者意識や自己肯定感が下がったとか、恨みつらみ伴うじゃん。破局って。何らかしらの不具合がなきゃ別れないわけだし。それをどう埋めていくかって別れの理由とかタイミング次第だけどさ、くれなずめの時もそうだったけど、そのスピードだったり、きっかけだったり、思い出を保持しながらとか、全部捨てなきゃそうしなきゃ前へ進めない人もいるわけで、今回は2人ともが同タイミングで素敵な理由で前に進めて良かったなぁ、って思うわけです。クソな恋愛なら金輪際思い出すこともないわけだしね。中には酸っぱい葡萄ムーブする人もいるわけだし。

俺にも思い出すことあるなぁと。クズな俺でもちょっと思い出した。
4年引きずった恋愛あるからね俺も。全然クズじゃねえし。とれなかった、食べた後の葡萄も甘いと思うタイプだよ

くれなずめ

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