エオルゼアで出会った女の子と結婚するまでの話⑥

いよいよ始まった漆黒のヴィランズ。
言うまでもなく寝る間も惜しんで没頭した。アーリーアクセスの期間中も残念な事に面接もちゃっかり入っていたのでそれをこなしつつ(落ちた)、他の時間は全て第一世界の冒険に費やした。

こうしてゲームに没頭できるのは久しぶりだった。それほどに漆黒のヴィランズは面白かった。光の氾濫によって夜がなくなり、停滞した第一世界。その世界に闇を取り戻すべく戦う光の戦士——否、闇の戦士。
たくさんの出会いと再会、そして別れを重ねながら進む物語。まるで古き良き一本のJRPGを遊んでいるかのような体験。今までにはなかったような演出とシナリオに何度も驚いた。
これまで新生〜蒼天〜紅蓮を経てもなお謎の多かったアシエン達の真実。この世界の誕生に纏わるハイデリンとゾディアークの正体。3.Xで登場し、プレイヤーに大きな衝撃を与えた闇の戦士アルバート一行の真相。
次々と明かされる謎に一喜一憂しつつ、物語はクライマックスへと進む。

できるならば戦いたくなかった。
それでも戦うしかなかった。
自らの信念を貫くために。原初世界の人々を救うために。それは倒すべき相手だった。
彼を倒すために、多くの仲間が力を貸してくれた。

もう涙が止まらなかった。よく泣く人間だけれど、ゲームでこんなに泣いたのはいつぶりだろう。少なくともラストバトル中に涙で前が見えなかった経験なんて今までの人生で無かった気がする。

またこの世界に戻ってきて良かった。
このゲームがプレイできて本当に良かった。
オンラインゲームだけれど、ソロで遊んでも面白いゲームだった。
けれどもあのラストバトルの経験は、オンラインゲームでなければ味わえない感動だった。

こうして物語に一区切りがつき、いつもの定食に戻る。レベル上げ。極コンテンツ。トークン集め。なんて事はないいつもの定食。けれどパッチが変わり、鮮烈な冒険をした後のそれはまた新鮮に映るもの。どれも楽しい。
なにより、あのときから失われた何気ない日常がやっと帰ってきた気がした。
自分が新生エオルゼアを始めてから今までずっと繰り返してきたルーチン。
新生エオルゼア〜蒼天のイシュガルド〜紅蓮のリベレーター。それらを長い年月プレイして来ながら、エオルゼアでもリアルゼアでも色々な出来事があった。そもそもこのゲームが無ければ今の自分にはおよそ友達と呼べる人など存在しなかったに違いない。
人生の決して短くない期間をゲームの世界と並行して過ごしながらも、あのときあの瞬間から途切れていた日常。

失われた日常と交替でやってきた非日常を生きている感覚を、自分はこんな何気ないゲームの中で、再び取り戻した気がした。

まさに典型的ネトゲ廃人かのようなこの言い草にどこか間違っている気もするが、まあそれは良し。
どのみちこれまで間違いだらけの人生だったのだから。間違って間違って間違い続けて、それでもそんな間違いをすらまるごと抱き締められるような気持ちに、これを書いている今はなれたのだから。

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