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  • エオルゼアで出会った女の子と結婚するまでの話

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紅葉の季節に結婚するということ

明日、僕達は婚姻届を提出し夫婦になる。 10月21日、交際からちょうど一年。 結婚するということについて、改めて考える。 昨年のこと。 残暑が遠のき、ようやく紅く色づいてきた木の葉を冷たい初秋の風が揺らしていた頃。遠い北の大地で僕は運命の人と出会った。 大袈裟に言ってしまえば、出会う前から決して小さくない運命を感じてはいたけれど、その日彼女と出会ったとき、そしてとても愛おしいかけがえのない四日間を共に過ごした中で、それは大きな確信に変わった。 彼女とこの先ずっと一緒に居た

    • 12 how far are you?

      好きな人が、自分のことを好きでいてくれている。なんと気が遠くなるような奇跡だろう。 付き合い始めたわけではないが、それでも一応相思相愛の関係となった。 だからといって大きな変化があったわけではないが、今までと比べて心の距離はグッと近づいたのは感じた。そしてその距離は日に日に距離を縮めていく。 お互いが、近づいていく。 体は止まったままだけど、心は一歩一歩。少しずつ。着々と。 もはや付き合っているのではないかと錯覚するほどのLINEのやりとりの空気感ではあったが、それでも「

      • 11 ray

        深夜のテンションによるやらかしの翌朝。 「やってしまった…」という最悪の気分で起き、研修に向かった。 その道中、昨夜の事を思い返すといたたまれなくなり、駅のホームで彼女に謝罪の言葉を送った。 彼女は「気にしないで」と明るく言ってくれたが、この時の僕の心中には後悔しかなかった。 よくよく考えて会ったこともない女の子に告白するとか何を考えているんだ僕は。 この日から、彼女の前では普通に振る舞いながらもこの後悔が晴れず、少しうしろめたい気持ちがずっと続いていた。 しかし数日後、

        • ⑩誰かの一番を望むひと。僕の一番になったひと。

          毎日話すようになってから数日、当たり前のように寝落ち通話をするようになった頃。 その頃の僕はと言うと再就職活動でなんだかんだと忙しくしていた。 にも関わらず毎日寝落ち通話をして寝不足の毎日。なぜ寝落ちしてるのに寝不足なのかと言うと、イヤホンから女の子の寝息が聞こえるという状況が僕を眠らせてくれなかったから。 かわいくて悶え苦しむ毎日。 そんな折、夜中のテンションと想いが溢れて「かわいい」という言葉を彼女に向かって僕が発した。 これがなんだかとてもよくなかった(よかった)ら

        紅葉の季節に結婚するということ

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        • エオルゼアで出会った女の子と結婚するまでの話
          14本

        記事

          自尊感情

          ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」を見ている。そしてとてもハマっている。 いや、そんな事今はどうでもいい。……どうでもよくはないけど本題はそこではない。 奥手なヒラマサさんがなんとも初々しい恋に揺れ動く様が見ててとても楽しい作品なのだが、その作品の中でヒラマサさんのその奥手さをみくりは心理学的にこう分析していた。 「自尊感情が低く、こと恋愛においては自尊感情が満たされないまま今まで生きてきたのではないか」 これによってヒラマサさんは何かあるとすぐに自己否定に陥り、心に壁

          自尊感情

          ⑨ 天使と悪魔

          色々あって無事に通話できたものの、実を言うともう会話の内容がほとんど思い出せない…。 ただこの日から数日間のうちに、お互いの好きなタイプだとか、どんな服装が好きかとか、デートではどんな事がしたいかとか、とにかくいろんな事を話した。 好きな匂い 好きな映画 好きなこと (ちょっとえっちな話) とにかくたくさんの好きを教え合った。 この頃から僕はめらが話してくれた内容を忘れないようにメモに書いて残しておけるように、「めらメモ」を作り出した。好きなもの、嫌いなもの、考え方、し

          ⑨ 天使と悪魔

          高いハードル、跳べるか跳べないか⑧

          前回→【エオルゼアの彼女と結婚するまでの話 7話】 『明日も話そう』 明日も話せるのかと思うとワクワクした。 でも同時に、この日のうちに本当にたくさんの事を話したので明日は何を話そうかと悩んだのも覚えている。 ただ、そんなことは些細な問題だった。 このときの僕にとっては何か死なない理由が必要だった。 誰とも話したくない。誰とも会いたくない。そんな風に思っていたやつが、会ったこともなければ名前も知らない…というかほとんど何も知らないめらという子とたった数時間チャットで話し

          高いハードル、跳べるか跳べないか⑧

          運命の夜⑦

          2019年 7月20日  運命の夜。 ギャザクラやらバトルジョブのレベリングやらなんやらをやりながら過ごしていたこの日。 運命の出会い(再会)を果たす。 突如飛んできたTell。 送り主の名はMela Ater。 半年とちょっとくらい前、よく一緒に遊んでいたフレンドの女の子だ。 別にそんなに仲が良かったわけではない。 「なんかクセのあって可愛い喋り方する子だなあ」くらいにしか思っていなかったフレンド。 ゲームは上手い。彼氏が居たはず。 その子からいきなり、半年以上

          運命の夜⑦

          エオルゼアで出会った女の子と結婚するまでの話⑥

          いよいよ始まった漆黒のヴィランズ。 言うまでもなく寝る間も惜しんで没頭した。アーリーアクセスの期間中も残念な事に面接もちゃっかり入っていたのでそれをこなしつつ(落ちた)、他の時間は全て第一世界の冒険に費やした。 こうしてゲームに没頭できるのは久しぶりだった。それほどに漆黒のヴィランズは面白かった。光の氾濫によって夜がなくなり、停滞した第一世界。その世界に闇を取り戻すべく戦う光の戦士——否、闇の戦士。 たくさんの出会いと再会、そして別れを重ねながら進む物語。まるで古き良き一本

          エオルゼアで出会った女の子と結婚するまでの話⑥

          エオルゼアで出会った女の子と結婚するまでの話⑤

          2019年 5月〜6月 さて、この頃の自分と言えばなにかと物欲が激しかった。 元カノが衝撃的な家出をして早々、メンタルが徹底的に崩壊した自分はアルバイトを辞め、自営でやっていたダビングの仕事もストップした。つまり収入0である。 実際には給料振り込みの都合上この頃はまだ振り込みはあったが。 実家があってよかった。実家が無かったらホームレスだった。大ピンチだった。 にも関わらず、この頃の自分はなにかと物欲が激しかった。星が見たいと言って望遠鏡を買っただけならまだしも。 映画、

          エオルゼアで出会った女の子と結婚するまでの話⑤

          エオルゼアで出会った女の子と結婚するまでの話④

          ーー2019年 5月19日ーー 望遠鏡を買って、近くの公園に出て、月が綺麗だと言うから前からしてみたかった天体観測をした。 びっくりするくらい大きかったし、小さかった。 ーー2019年 5月22日ーー 彼女の誕生日だったので、「おめでとう」と贈った。返事はなかった。この頃から彼女からの返信は途絶えていた。 ーー2019年 6月17日ーー この日まで、彼女は僕の連絡を無視し続けた。 なのでもう、どうでも良いと思った。 だから僕から関係を断ち切った。 いっそ清々しかっ

          エオルゼアで出会った女の子と結婚するまでの話④

          エオルゼアで出会った女の子と結婚するまでの話③

          ーー2019年 4月ーー  『アベンジャーズ エンドゲーム』の公開日だ。 これを見るまでは死ぬわけにはいかなかった。 何もしたくないし、外に出るなんて以ての外だったけど、エンドゲーム の為なら出来る気がした。 映画館で見たエンドゲームは最高のものだった。 ーー2019年 5月ーー  何も進めなかった自分が、一歩進んだ。 目的地を見失い、踏み出したその一歩は、全てから逃げるような一歩だったけど、僕の心にはこれ以上無い救いだった。  5月17日、京成臼井駅に降

          エオルゼアで出会った女の子と結婚するまでの話③

          エオルゼアで出会った女の子と結婚するまでの話②

          ――2019年 4月 6日――  ほとんど眠れないまま時間が過ぎ、締め切ったカーテンから差し込む陽射しが朝の到来を告げていた。  とにかく疲弊していたので、そのまま目を閉じ続けた。なるべく何も考えないように。何もしないように。  次に目が覚めたのは昼頃だった。    ここから先、数日間の記憶は曖昧だ。友人らと彼女が家に来て、玄関に鍵はかけてたはずなのに、合鍵で解錠して侵入してきた。  僕は誰の顔も見たくなかったし、見られたくもなかったので自分の部屋に引きこもったまま、

          エオルゼアで出会った女の子と結婚するまでの話②

          エオルゼアで出会った女の子と結婚するまでの話①

          ――2019年4月5日 春―― 高校2年、17歳の頃から付き合い続けてきた彼女が家を出て行った。  交際期間約9年。同棲を始めてから約3年。  その日、仕事終わりに映画『運び屋』を観に行った僕がアパートに帰宅すると、部屋の電気が付いていなかった。  彼女もどこか出掛けているのかと思い、玄関をあがるとキッチンがやけに片付いていた。  そこら中にパンパンに膨れ上がったゴミ袋いっぱいに詰めた洋服などが転がっていて、「なんだ、凄い大掃除してたんだな」とそんな風に軽く考えて別段気

          エオルゼアで出会った女の子と結婚するまでの話①