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21/22アタランタ総括

前置き


前半戦4位と好位置につけていたアタランタだが、前線の怪我人続出を越えたと思ったら守備陣の怪我人続出。ウクライナ侵攻に伴うマリノフスキの不調にハテブール復帰に伴うガスペリーニの肩入れ。多くの要因で下降の一途を辿り、ガスペリーニ体制下最低成績の8位。欧州カップ戦も獲得できない結果となった。8割以上の試合をフルタイム見てきたので、WSD以上には正確な評論ができていると思う。価値観の違いもあるとは思うが、記録の意味も込めてしたためた。宗教上の理由でPKは評価や得点にカウントしない。同じ採点でも誤差はあるので、先に書いてある選手が好評価とする。また、60点が及第点の目安でご覧頂きたい。

監督 ガスペリーニ 30点

 

怪我人続出以外に言い訳の余地はない。かつ各ポジションに多くの信頼できる新戦力があり、過去シーズンと比べても一線を画す選手層のチームだったはずだ。パプを追い出しておきながら、チームの軸を形成できなかった。またスカルヴィーニのブレイクにパロミーノとパシャリッチの開花もありながら、いつまでも最低クラスのパフォーマンスのハテブールを使い続けた罪は重い。若手や新戦力の消極起用も目立った。唯一評価できる点はスカルヴィーニのボランチ起用だろうか

選手


100 ザッパコスタ

ハテブールの控えとして緊急補強した人材が大当たり。前半戦は右サイドでセリエA随一の突破力を見せたと思えば、左に回った後半戦ではカットインからの強烈なシュートと正確なクロス。左でもその実力をいかんなく発揮。シーズン通して圧巻だった

 パシャリッチ

リーグ37試合と最多出場。攻守にハードワークしながらの13得点は文句無しのパフォーマンスだ。チームの誰にも劣らぬオフザボールで周囲を驚かせた

90 スカルヴィーニ

今シーズン最大のサプライズ。18歳とは思えない冷静な状況判断でミスは無く足元も安定。194cmの高さで攻撃を跳ね返しては、トロイに倣った機を見たオーバーラップ。全てに穴が無いパフォーマンスだった。その上ボランチまでこなすのだから驚きだ。決定力は流石に無いが、もちろんマイナス評価ではなく、むしろボランチながらもチャンスに絡めるオフザボールがあるが故に、決定力が無いと感じてしまうほどだ。まだ線は細いが体ができあがれば最高峰のCBになれるだろう

80 デミラル

ユベントス全盛期のハードコンタクトを取り戻し、常に安定したパフォーマンス。空中戦も十分。ケガ癖も想定よりはチームへの影響を最低限に抑える程度だったが、フルシーズン戦えなかったことと、パロミーノと特徴が被るが故のマイナスシナジーから80点とした

 パロミーノ

昨シーズンの評価を付けるとするなら20点だろうか。評価できた点は左利きだけだった。本当に同一人物かと疑う開花だった。パスミスは劇的に減り、常に後手後手でシュートを許していた対人は素早いコンタクトで間を詰めて相手ドリブラーの勝ちパターンを封殺。守備陣唯一の左利きもチームのビルドに大きく貢献した。デミラルとのシナジーは要改善

 デローン

今シーズンもコンスタントに出場を続け、チームの心臓であり続けた。セカンドボールを常に拾い続け、チームに質と量をプレゼントした。守備陣の怪我人が続出した時にはコープの加入も相まって右CBで安定したビルド。不可欠な存在だった

 コープマイネルス

長らくCMFはシャドーの選手が兼任していたが、フロイラーともデローンとも異なるパスセンスを見せつけた。序盤はパサーのイメージがあり、ゲームをコントロールする役割を担っていたが、トップ下でも機能するほどの攻め上がりのセンスを見せ、より万能なプレースタイルを見せた

70点 ムッソ

ゴッリーニを60点とした場合の評価。プレシーズンではパスとフィードの不安を匂わせたものの、蓋をあければ安定したフィードと時折見せるビッグセーブ。ゴッリーニに足りなかった安定感を見せつけ、一段階グレードアップした印象だ

 マリノフスキ

2月までにリーグ6得点と昨シーズンの勢いそのままに安定したプレー。しかしウクライナ侵攻後はゴールが無く完全に沈黙。SNSでも侵攻関連のツイートが増え、プレーに覇気が無くなるなど影響を目に見えた。本来なら60点が妥当だろうが、事情も踏まえ70点

 サパタ

サパタの長期離脱はチーム最大の痛手だった。前半戦のムリエルの不調と時期が重なったこともチームにとって不運だったが、マイナス要素はケガのみ。試合に出れば巧みなポストプレーと得点力でチームに貢献。存在価値を示した

60点 フロイラー ムリエル メーレ ジムシティ ペッツェッラ

ガスペリーニのハテブール肩入れのしわ寄せがメーレとペッツェッラには顕著だったが、メーレは両サイドでユーティリティに、ペッツェッラは歴代の不作WBと比べても控えとして十分なパフォーマンスだった。60点の選手は及第点

50点 トロイ

決して悪くは無かったが、スカルヴィーニと比較した時に、あまりに守備面で年を感じさせるプレーが多かった。前半戦の貢献は評価したいが、スカルヴィーニと比べるとどうしても霞んでしまうパフォーマンスだった

40点 ボガ

前半戦最大の失望(WSD評価・サッスオーロで9試合無得点)のため、周囲ほど期待の目で迎え入れた訳では無かったが、サッスオーロでのパフォーマンスを覆すことはできず。ドリブルで相手を脅かす一方、状況判断の悪さが印象的。イリチッチと同じようなタッチと球離れではあったが、イリチッチと比べてもそれが顕著だった。結局リーグではゴール・アシスト共にゼロ。15試合出場でこのスタッツは擁護できない

30点 ペッシーナ

昨シーズンはパプの穴を完全に埋め、EUROとネーションズリーグでのアッズーリへの活躍が、今シーズンのアタランタで発揮することはできなかった。得意のオフザボールはチームへ落とし込めず、終盤戦は信じられないようなパスミスを連発。シーズンを通してパフォーマンスを上げられなかった

20点 イリチッチ

前半戦で印象的だったのは全く仕掛けない、以前とは全く違うプレースタイル。対峙するDFに全く脅威を与えることはできなかった。しかし、パサーとして一定の貢献は示した。それもコープにお株を奪われた感はあるが…精神面に大きな問題を抱え、チームとして計算できる戦力とは成り得なかった

10点 ハテブール

完全に沈黙。イリチッチあってのハテブールなのではと感じた。シャドーとの完璧な連携からのオーバーラップと正確なクロスがウリだと思っていたが、攻め上がりを自重しては低質なクロス。なぜガスペリーニが使い続けたのか全く持って理解できないし、あの出来で21試合も出してもらいながらゴールもアシストもゼロ。まるで活躍と出場機会が見合っていない最悪のパフォーマンスだった

最後に

正直、ガスペリーニにはパプを追い出した頃から辟易していたが、初めてシーズンを通したパプ抜きのチームは、後継たるペッシーナは低調、マリノフスキも情勢に左右され調子を落とすなど、軸を据えられなかった。
一方で新戦力は軒並み高いクオリティを見せ、スカルヴィーニのブレイクにパロミーノとパシャリッチの覚醒など、戦力的には来シーズンも期待できるだろう。個人的にはユリッチやトゥードルで戦術基盤そのままに、チームの底上げを担って欲しい所である

6/14

2023.6/23追記/訂正
補強の値段を考えればムッソは55~60
ザッパコスタは90~95
スカルヴィーニはシーズン1年目と考えると95~100でしたかもな


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