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“初代STAFF OF THE YEAR”グランプリrienda村岡美里さんが、「デジタルが浸透するほど、店舗スタッフの価値が際立つ」と語る理由とは?【受賞記念インタビュー後編】

全国7万人の店舗スタッフの中から、No.1を決めるコンテスト「STAFF OF THE YEAR」。初代グランプリを獲得した、rienda 福岡ソラリアプラザ店 店長の村岡美里さんは、コロナ禍という非常事態を受けても尚現場の最前線で働き続けている人は、「接客レベルの高さがあってこそ」と注目していると言います。デジタルがますます浸透するこれからの時代だからこそ、「店舗スタッフの価値が際立つ」と語る村岡さんにお話を聞きました。

オンライン接客にマストな「言葉の力」は、雑誌で学ぶ

――店頭接客の場合は、実際に目の前で洋服を見て触っていただいたりと、素材や色合い、形などをその場で確認いただける良さがあります。一方オンライン接客となると、そうした情報をどう「言葉」で伝えるかの難しさがあります。村岡さんの場合は、その壁をどのように乗り越えていらっしゃるのでしょうか。

私がスタッフと実践しているのは、雑誌からワードを引っ張ることです。たとえば、「こっくりとした色」という表現をすると、画面では鮮やかに映っているけれど、実際にはもう少し深みがあるんだろうなと伝わります。
また、「ベイクドカラー(焼いたような色味)」といえば、「くすんだ」とよりも色味の雰囲気が伝わりやすいですよね。

――確かにより具体的にイメージがわきますね。オンライン接客ならではの良さとして感じていることはありますか?

テキストの方が、女性が悩みをさらけ出してくれやすいなと思っています。対面ですと、「私、肩幅が広くて。腰回りにお肉がついていて」と口に出すのは恥ずかしいですよね。でもテキストのやりとりだったらお互いの顔が見えているわけじゃないので、お客様もコンプレックスを打ち明けてくれるんです。これはオンライン接客ならはではのメリットだなと感じています。

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店内でオンライン接客中の村岡美里さん(画像:バロックジャパンリミテッド提供)

――村岡さんは、すごく探究心がある方なんだなという印象を受けます。8年以上店舗スタッフのお仕事を続けてこられたと思いますが、村岡さんにとっての「店舗スタッフ人生」とはどんなものなのでしょうか?

「STAFF OF THE YEAR」の最終審査でも、「あなたにとって仕事とは?」 をプレゼンする機会がありましたが、なんて答えたらいいか本当に悩みました。私にとって、店舗スタッフは、明確に「仕事」として切り分けているわけではないんですね。村岡美里という人生のなかに、店舗スタッフとしての時間があるだけで、そこにプライベートとのはっきりとした境目があるわけじゃないんです。ただひたすら楽しくて、仕事場に行くのも「出勤」という感覚さえありません。

店舗スタッフという職業がなかったら、本当に今頃何をしていたんだろうと思うくらい、私にとってはこの仕事は人生の一部ですね。そう思えるのは、周りの方の支えが合ってこそ。毎日仕事場にくるのが楽しくて仕方がないです。

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Zoomで取材に応じる村岡美里さん

――村岡さんは店長さんなので、「仕事場に来るのが楽しくて仕方がない」と思えるようなチームを作っていらっしゃる当事者でもあります。お話を聞いていると本当にスタッフの皆さんとの仲の良さや雰囲気の良さが伝わってくるのですが、チーム作りにおいて意識していることはありますか?

最初に店長になったときは、スタッフの短所ばかりが気になってキーキーしていました。そんな時、今もすごくお世話になっている当時のエリアディレクターとの出会いがあり、「癖も短所も生かせば個性」と言われたんです。

短所を生かすことが私の仕事。どうやったらそこを伸ばして個性に変えられるか。この考え方を知った時、スタッフに対してイライラしていたポイントが大好きなポイント変わったんです。私が意識を変えたことで、そのスタッフも輝き始めました。

人を変えようという考え自体が浅はかで、相手もそんな風に迫られたら嫌になっちゃいますよね。変えるのは人じゃなくて自分、と早いうちに気づけたのは本当に良かったです。私も「癖」が強い人なので、今思えば、上司にそれを「個性」として生かしてもらってきたから今日があるんだなと感謝しています。

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店頭で接客中の村岡さん。「店舗スタッフの仕事が楽しくて仕方がない」と語る(画像:バロックジャパンリミテッド提供)

これからは、「店舗スタッフやっているの!? すごいね!」の時代が来る

――買い物の仕方も接客も、オンラインとオフラインの垣根がなくなってきています。日頃現場に立ちながら、両方に取り組んでいらっしゃる村岡さんだからこそ感じているそれぞれのメリットやデメリットはありますか?

AI技術の発達により、この先なくなる職業があると言われていますよね。店舗スタッフの仕事で考えた場合、私はこれから「現場で働いていること」自体が価値になると思っているので、むしろより貴重な仕事になると考えています。

ECは便利である一方、実際に商品に触れることはできず、画像、動画、テキストという限られた情報のなかで購入を判断しなければいけません。すぐに欲しいと思っても数日かかります。最近では、AIによるチャット対応を接客ツールとして導入しているところも増えてきていますが、チャットでサイズを聞いて返ってきた返事が淡白でも、それにイラっとする人はいないですよね。

一方で、これだけオンラインによる購入が一般化しても、わざわざ店舗に足を運んでくださる方は、それだけ店舗での体験やサービスレベルに期待をしていただいているからだと思うんです。

となると、これからは、お客様のその期待に応えられるほどの技術力を持った店舗スタッフが求められてくるとも言えます。コロナ禍で厳しくなった接客業もたくさんあります。その中で今なお、最前線で現場に立ち続けている人たちはなんてレベルの高い方々なんだろうと、私は今そういう観点で見ています。

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村岡美里さんのスタッフコーディネートページ(画像:ECサイトからバニッシュ・スタンダードがキャプチャ)

コロナが落ち着いたとしても、デジタルはますます発達し世の中に浸透するでしょうから、そうなると、「店舗スタッフやっているの?! すごいね」という社会になっていくのかもしれないですね。実はこれって、レベルの高い接客ができる・受けられるという意味で、店舗スタッフにとってもお客様にとってもメリットでしかないんです。店舗スタッフの仕事においては、仕事がなくなるどころか、これからは「めちゃくちゃすごい職業」と認められるんだろうなと思っています。

――店舗スタッフの方もより高い接客技術が求められるようになり、それに応えられる人たちがより評価される。現場の人たちも、「精鋭部隊」の一員として認められるために、人間力を高めたり、接客技術を向上させるために学習したり、もっともっと努力が必要になるということでしょうか?

その通りだと思います。いい意味で、デジタルの浸透により、「これだったらネットでできる」が増え、店舗スタッフに対するプレッシャーは高まっています。じゃあ私たちは、お客様に「やっぱり店舗に来て良かった」と思っていただけるような接客でお返ししなくてはいけません。これからはますます、店舗スタッフのレベルが上がってくると思います。

――頂点に立たれた村岡さんならではの説得力のある、貴重なご意見ですね。お話ありがとうございました。これからも応援しています!

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「STAFF START」とは

店舗に所属するスタッフをDX化し、自社ECサイトやSNS上でのオンライン接客を可能にするStaff Techサービスです。導入しているアパレル企業で最も利用されている「コーディネート投稿機能」は、店舗スタッフが撮影したコーディネート画像に商品情報などを紐づけてECサイトやSNSに投稿する機能で、その投稿を通じて商品紹介やコーディネート提案といった接客対応を行うことができます。また、スタッフの投稿を通じて達成されたEC売上は可視化され、スタッフ個人や所属する店舗の実績として評価に利用されています。導入事例は以下よりご覧ください!

導入事例

アパレル・雑貨など、さまざまなジャンルの導入企業事例をご紹介しています!



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