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大変な3月9日の思い出

2022年も今日で終わり。今年を振り返る投稿も多く見られますね。やっぱり1年を振り返ることは来年の糧になるのでしょうか。私は、2022年3月9日、この1日だけを振り返って書き留めておこうと思いまーす。

3月9日と言っても
♪瞳を閉じればあなたが~
レミオロメンのあの名曲のような、エモい話ではございません。
大変だった。でも、ある意味、すごいな自分という日でした。

2022年3月9日。

息子が4月から社会人となり、軽井沢に引っ越すにあたって、アパートに荷物だけを運びこむことになっていた。それで夫と私も手伝いに。軽井沢で家財道具も買うので。
でも、せっかく軽井沢に行くんだから、旅行もかねて、ちょっといいホテルに泊まりたい~、コロナでずっとどこにも行けなかったし~と旅行好きの虫がうずいていた。で、旧軽井沢のヒルトンを予約、ホテルでディナーを愉しみ、翌日にはプリンスのアウトレットに行こう~と本当に本当に楽しみにしていたの。

軽井沢へは夫と息子が車で先に行き、私は習い事を終えてから新幹線で向かうことに。久しぶりの小旅行。ワクワク。

朝、私がルンルン気分でシャワーを浴びていると、夫が浴室のドアを叩いた。
なに?
お母さんから電話。
え?(いやな予感)
私の母はひとりで北九州の高齢者住宅に住んでいる。
普段はこんな朝早くに電話がかかることはない。

浴室を出て、私は夫に尋ねた。
どんな感じだった?切羽詰まってた?
ううん、そんなでもなかったよ。と夫の答え。
だったら私の取り越し苦労かな、と思い母に電話した。

しかし。
予感は的中。
以前も1か月ほど入院した症状がでたのだ。

うえーん、よりによって今日?
近くに家族は住んでいないので、私か弟のどちらかが入院の手続きに行かなければならないでしょう。前回も私が駆け付けたので、ちょっと弟に頼んでみようかなと思った。
電話すると、ゴメン、今から出張。
あ、そう。

なら、私が行くしかないかー。

はあ、思わずソファーに座り込む。もちろん母親が病気なのだから、行かなきゃなんないだけど。でも、軽井沢をすごくすごく楽しみにしていたのも事実なので。こんな気持ちって親不孝なんだろか。
それから高齢者住宅の職員さんやケアマネさんに連絡するなどし、とりあえず病院までは連れていってもらえることになった。まだ診察を受けていないので、入院するかどうかは分からない。でも、入院することになれば家族の手続きが必要。前回の経験から命に係わる病気でないことは分かってる。

私はよろよろとソファーから立ち上がり、北九州へ行く準備を始めた。
はぁ。
が、その時、思いついた。

北九州へ行く。そして軽井沢へも行く!
北九州へ行き、母を入院させた後、東京へ戻って軽井沢へ行けばいいんだ!
なんていい考え。

そうと決めたら、善は急げだ。夫はびっくりしてたけどね。大慌てでバッグに着替えなど詰め、駅にとんでいった。そして電車の中でこれから乗れる飛行機の便を調べる。病院への最寄り空港は北九州空港。しかし今から羽田空港に向かっても、ちょうどよい時間に北九州に着く便がないじゃーん。ガーン。コロナで減便になっていたのかも。
どうしよう?
そうだ、それなら新幹線だ!
山手線で渋谷から浜松町方面に向かっていたけど急遽変更、東海道新幹線で小倉まで行くことにした。だったら品川で降りなきゃ。
品川で新幹線乗り場に走って、次に発車するのぞみに飛び乗った。その時はまだ本当に入院するのか分かっていなかったので、とりあえずチケットは新横浜まで。列車の中から電話をして確認。やっぱり入院することになったと言われた。実はケアマネさんからは入院はできるので、わざわざ来なくてもいいですよと言われたんだけど、すでに小田原ぐらいは過ぎていて、いや、いろいろサインとかあるはずなんでとにかく行きます!と答えた。乗った新幹線は新大阪行きだったので、名古屋で降り、博多行きに乗り換え。
はあ、名古屋~。前に来た時、ホームできしめん食べたなぁ。でも今日はそんな暇はない。

博多行きののぞみの自由席に乗り、ようやくほっと。で、次のミッションに。
それは帰りの飛行機を取ること。いつも使っているエアトリのアプリで焦りながら北九州発東京行きの便を調べる。当日の便がアプリで取れるのかどうかも分からなかったけど。
北九州に着いて、母の入院する病院へ行き、状況を聞き、手続きをしてから、飛行機で羽田空港へ戻り、そこから最終の22時08分東京駅発軽井沢行き新幹線に間に合う便はどれだ~。ここでも北九州発の便だと、羽田に着くのがギリギリ過ぎて、ちょっとでも遅延したら、東京駅に間に合いそうもない。
どうする?どうする?
よし、福岡発の方が便数が多いから、福岡発だ!
羽田から東京駅までの移動の時間を見積り、19時10分発、羽田20時45分着の便を予約申し込みをしたのが、12時過ぎ。取れたかどうか分かるまで結構時間がかかりジリジリ。取れたらすぐにクレジットカードで決済。それで搭乗するときに必要な確認番号が送られてきたら、OK。
大丈夫かな~。
さすがの私も当日の便をスマホで取るのは初めて。

14時頃、確認番号が送られてきた。はあ~、良かった。
しかし、この後、北九州の門司区にある病院に行って入院手続きを済ませ、その後とんぼ返りで小倉から福岡空港まで行って19時10分には飛行機に乗らなければならない。
大丈夫か、できるのか。

それから今度は電車の時間をめちゃくちゃ調べた。ヤフー乗換案内で。
今乗っている新幹線は15時50分に小倉駅に着く。そこから門司港駅、病院、手続き、売店で入院グッズ購入、看護師さんの話、からの門司港駅、小倉、博多、福岡空港。
小倉から博多までは新幹線を利用するとして、病院から何時に門司港駅に戻ればいい?病院の滞在時間は30分までだな。
頭の中でシミュレーションを重ねる。
気づくと、ここまで飲まず食わず。何か食べようと思ったけれど、車内販売のお弁当は売り切れ。やっと買えたサンドイッチをコーヒーで流しこんだ。

駅に着いたら分刻みで動かなければならないので新幹線の座席でしばし休憩。新幹線にはプラグ差込口があってスマホの充電ができたのでラッキー。スマホがなければこの壮大なミッションはとうてい成功できない。

15時50分、のぞみが新幹線小倉駅に到着。
そこから在来線にダッシュ。鹿児島本線の門司港行きに乗る。門司港はJR九州の終点。16時12分着。病院に着いたら売店で、コップ、歯ブラシ、スリッパ、着替えなどの入院グッズを買わないと。ふと、売店は何時までかなと思い電話してみると、16時半までだというではないですか。ひぇー。駅に着くのは16時12分。売店が閉まるまで18分しかない。
門司港駅に着くとまたまたダッシュでタクシー乗り場に走り、タクシーで病院に着いたのが売店が閉まる5分前。
コロナ禍のため、病院は建物内に入れる人を制限している。前もって病院には電話をしておいたので、受付の方が、ああ、○○さんの~と案内してくれたけど、私はそれを制して、ちょっと待ってください。売店が閉まる前に買い物しないといけないので~と言って、売店に走った。(て、ずっと走ってますが)売店で入院に必要そうなものをざざざーっと購入。しかしスマホの簡易充電器はなく。ええー、今病院ってそれ必需品じゃないの?と思ったけど。仕方ない、私が今持ってる充電器をあげるか。(あとで看護師さんに入院グッズを渡したとき、この充電器も。って言ったら、あらご本人が持ってきてましたよ。と。やるな、うちのババ)

そして受付に戻り、いろんな書類にサイン。それからタオル、寝間着などのレンタル品の契約。支払いは私のところに請求書を送ってもらうことに。
そこまでで病院についてから10分ほど。
飛行機に間に合う電車に乗るためには、病院を17時には出たい。あと20分ちょっとあるから大丈夫かな。

受付の方に「では病棟に行って、ナースステーションで看護師に話を聞いてください。申し訳ないのですが、コロナのために患者さんの病室には入れないんです。遠くから来ていただいたのにすみません」
私は心の中で(いえいえ~本人に会ってると時間がかかるんで大丈夫でーす)と思ってました。病棟へは熱がある人は入れないとのことで、まず検温。すると37度2分。あら?
平熱は36度台なのに。
受付の方は、すまなそうに37度以上の方は病棟には入れないんですが…。もう一度測ってみてください。
分かりました。
で、また検温。ぴぴぴ。37度3分。上がってる。
どうしましょう?全然具合とかは悪くないんですけど。
仕方がないですね。病棟に入って頂くことはできませんので、では看護師にここまで降りてきてもらいましょう。
申し訳ありませんと謝りながら。(助かった。ここでまた時間短縮。ずっと水分も取らず走り回ってたから体温上がったのかも)
看護師さんが来てくれて状況を聞く。前回も同じ病院だったので、大体分かっているが、今回は2週間ぐらいの入院になるだろうということだった。
ありがとうございます。よろしくお願いします。と言い、購入した入院グッズを看護師さんに預け、私は病院を後に。
東京から駆けつけて、滞在時間は30分強かな。母は充電器までちゃんと持って来られてるぐらいだから、病状は大丈夫でしょう。

さあー、帰るぞー!

門司港駅まで走って、電車に乗り小倉駅へ。ここでまた新幹線に乗り換え。在来線もあるが、それだと間に合わない。新幹線で小倉博多間は約20分。
博多駅から福岡空港までは車で10分程度なので、タクシーで行くつもりだったが。列車が徐々に夕暮れの博多の街に近づいていく。何気なく窓の外を見ていたとき、わ、と思った。道路に車のライトが連なっている。
そうか、夕方のラッシュの時間だ。
渋滞にはまったら、飛行機の時間に間に合わないかも。タクシーはダメだ!
そう考えて、地下鉄で行くことにした。博多駅の新幹線口から市営地下鉄の駅まで、ルートはうろ覚えだったけど、とにかくまたダーッシュ。階段を駆け下りる。ぜいぜいしながら地下鉄のホームに着くと、ちょうど空港行きが出たところ。くぅー。

はやくはやく次の電車。焦る気持ちを胸に地下鉄に乗り込み、飛行機の出発時間の40分ほど前に福岡空港に到着。出発ロビー行きの長いエスカレーターに乗った。エスカレーターに乗ってふと見ると、チェックインは下の階。えええー。なんで?仕方なく3階の出発ロビーに着くとすぐにまた2階に戻るエスカレーターに乗り、ようやく自動チェックイン機に。これに新幹線内で取ったANAの航空券の確認番号を入れれば発券されるはず。
ようやく搭乗券を手にして出発ロビーに向かう。19時10分の出発まで30分以上ある。よかったー。これで大丈夫。よく考えたら今朝、新幹線の中で卵サンドを食べて以来、何も食べていないし、飲んでもいない。福岡空港の搭乗ゲートまでの通路脇には、おいしそうな食べ物屋さん、お土産屋さんが並んでいる。ちょっと見てみようかな~。でもとりあえず、ゲートの中に入ったほうがいいかな。
見るとずいぶん人が並んでいる。なんか人気のお店でもあるのかな?と思ったのは大きな間違いだった。それはすべてこれから搭乗するためセキュリティーチェックを受ける人の列だったのだ。なんで?なんで?
まだ3月9日。卒業旅行のシーズンでも、進学、転勤シーズンでもないよね?
しかしとんでもない行列は紛れもない事実。しかもなかなか前に進まない。ちょっと焦り始めた。出発時間まであと25分、20分。残り15分になった時、ANAの係りの人が行列に向かって叫んだ。19時10分発東京行きにご搭乗のお客様~。
はい!はい!私です!
優先レーンを使うことができ漸くセキュリティーチェックを抜け、搭乗口へ。はあ、よかったよー。ここで飛行機に乗れなかったから、ここまでの苦労がすべて水の泡。

ANAとスターフライヤーのコードシェア便は遅れることもなく、ほぼ定刻通りに東京着。ありがたや~、定時運行。機内では疲れ果てて寝ておりました。

20時50分頃、東京羽田空港着。飛行機は着陸してもすぐに外に出られるわけじゃないからジリジリ。ようやく外へ。
さあー、またここから走るよ~。
羽田の到着ロビーから地下に駆け下りて、京急線乗り場へ。品川で降りて、JRに乗り換え、東京駅へ。(品川から東京も山の手線?京浜東北?それとも上野東京ライン・どれがいい?と迷うよね)東京駅のコンコースを走る走る。そうして、なんとか長野新幹線の最終便に間に合ったのだ。やった。すごいぞ、私。23時21分に軽井沢着。ホテルに着いたのは24時少し前。あまりに走ったせいか、ホテルのベッドで寝ていた時、足がつった。

ところでこの日、後で銀行に行くつもりだったので、現金を2000円しか持ってなかったの。それでも東京→北九州→福岡→東京→軽井沢と日本を横断できたの、すごくないですか?そしてスマホの力。飛行機の予約、電車の時間、ケアマネさん、病院との連絡、スマホがなければ絶対に無理だった。文明の利器よ、ありがとう。

まあ、そうまでしなくても。と思うかもしれませんが。無理―と思っても、できる方法があるならなんとかしてやってみるのもいいよね。
しかしそれにはほんとにお金が必要。来年はもうちょっと仕事して稼がないと~というまとめでした。

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