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【社員インタビューvol.5】先進情報学研究所 林 尚芳さん

VALUENEX社員インタビューvol.5は、先進情報学研究所シニアプロフェッショナルの林尚芳さんです。林さんは若手ながら、実は役員以外でVALUENEXの黎明期を知る希少なメンバー。学生時代にアルバイトで入社し、その後大手2社を経て舞い戻るという異例の経歴を持つ林さんから、臨場感あふれる昔話をお聞きしました。

◆学生時代にアルバイトとして入社し、後に正社員として入社するまでの経緯

最近の学生バイトは、中村さんの早稲田大学での講義(※現在は終了)を受けて入ってくる人が多いじゃないですか。でも僕は受けたことなくて。ただ単純にベンチャーでバイトがしたいと思い、調べていたときに『創知』(※VALUENEXの旧社名)を見つけて、面白そうだから応募してみようと。それが2009年、僕は大学3年の頃です。創知は2006年創業なので、起業して4年目あたりで、社員もたった数人でした。

当時、ベンチャー中心のアルバイト求人サイトがあり、そこのキャリアアドバイザーから他にもいろんなところを紹介されて、「こっちの求人の方がいいじゃないですか。」みたいなことも言われたんですけど、もうここしか興味ないですと言って創知だけを受けました。
2013年の3月に大学院を出るまで、3〜4年ぐらいはお世話になりました。

<2013年 1社目 NTT>
2013年4月にNTT研究所に入社して、環境エネルギーの研究員をやってました。NTTは日本の電力の1%相当を使っているのですが、それをいかに減らすか、とかそういうことを研究していて。その中でデータ分析やAIとかを面白いなと思うようになり、たくさんのデータを持っているリクルートに、2015年に転職しました。

<2015年 2社目 リクルート>
リクルートは「じゃらん」、「リクナビネクスト」、結婚サイトなど、人間のライフステージに合わせたウェブサービスとデータをたくさん持っているので、その辺のビッグデータを活用できると面白いなと思い、ビッグデータ部でデータアナリストをやってました。

「リクナビ」や「リクルートエージェント」のデータ分析では、どんな経歴の人がどこを受けて内定を取ったとか、どこに落ちてしまったかというデータが溜まっています。これらのデータを元に、こういう人はこういうところに受かってるんだとか、似たような人はこういうところに受かるんじゃないかなど、求職者と求人がフィットする可能性みたいなものを予測して、あなたはこういう求人に応募したら良いですよと推薦するっていう仕組みを作ってました。
例えばAmazonで買い物すると、「これを買ったあなたにはこちらもお勧めです」っていうのが出てきますよね。あれの求人版です。

このようにWebサービスの改善・成長を目指して、データ分析や開発に取り組んでいました。そんな中、徐々に「自分はどの分野に対してデータ分析で貢献したいのか?」と自問自答するようになり、創知での学生バイト時代を思い出したんです。研究者や科学技術の発展といった分野で、データ分析技術で貢献したいと思い始めました。

<2016年 3社目 VALUENEX>
実はNTTからリクルートに転職する時、中村さん(VALUENEX社長)と食事に行ってるんですよ。毎年中村さんがやってるデータ分析のイベントに、2014年の末頃に行ったんです。そこで中村さんと再会して「実は僕NTT辞めてリクルートに行くんです」って話をしたら、食事でも行こうかと。そのときに、「でもうち(VALUENEX)に来ない?」と誘われたんですが、もうリクルートからの内定を受諾していたので断りました。リクルートのビッグデータにワクワクしていたし、いろいろ勉強したいと思っていたので。

その後リクルートに1年程居ましたが、「データ分析によって、研究者や科学技術の発展に貢献したいと思い始めた」、ということを中村さんに連絡したところ、一度会うことになり、オフィスに行って中村さんとディスカッションをし、入社することになったんです。

◆VALUENEXでの在籍が長続きしている理由は?

シンプルに楽しいってところだと思います。
分析する対象が特許や論文で、自分の興味とマッチしてるのが第一ですね。
僕がやった分析結果が、研究者や企業、公的機関等の意思決定に繋がっていくっていうのが純粋に楽しいです。
ただその中でも、人間関係が微妙だったりすると辞めちゃいますよね。
でも今のところ恵まれてるなと。面白い人が多いので刺激もらえるし、相談もしやすい環境なので、人間関係的にも非常にやりやすいと思ってます。

あともう一つは、働く環境がかなり柔軟なところです。どこに住んでてもいいし、育休とかも取りやすい。そういう働きやすさの中で、かなり柔軟にやらせていただいているので長続きしてるんじゃないかと思います。

◆現在は関西からリモートとのことですが、関西に引っ越してから仕事面で何か変わったことはありますか?

いや、関西に来たことより、子供が出来たことで変わったという方が大きいかもしれないですね。そもそも関西に来る前にコロナでフルリモートになって、東京にいたけど出社せずに仕事やってたんで、それと比べると特に変わりません。
むしろ、関西方面のお客様に会いに行きやすいというメリットもあります。

◆仕事の合間に育児が挟まってきたりとかはありますか?

あります!ざっくり言うと、朝保育園へ送り、戻ってきたら9時ぐらいからスタートして、午後5時半までは普通に仕事をします。その後私か妻が子供を迎えに行き、ここで一回仕事を切り上げて食事等の家族の時間が始まり、大体午後9時〜10時ぐらいに一段落着いたときに、まだやりたい仕事があれば、ちょっとやるっていう感じです。

◆入社以降、林さんが見てきたVALUENEXの変化や、それに伴う業務の変遷を教えてください。

<2016〜2017年>
今って営業部、コンサル、海外事業とかって分かれてますよね。この時代は全部一緒でした。だから受託調査もやるし、ツール営業もしなきゃいけない。
今「カスタマーサクセス」という担当部署ができましたが、あれも自分たちでやってました。電話が来たらその場にいる人が取って回答する。一応、営業系、新規事業系、研究開発系、コンサル系などとチームは分かれてましたが、もう何でもやるって感じです。
あとは海外事業開発ですね。カナダ、アメリカ、イギリス、シンガポール、韓国などに行って、展示会や学会で発表したり、営業したりしてました。

<2017年頃〜>
2017〜2018年辺りで、本多さん(コンサル/取締役)のチームに異動になりました。
この辺りからは受託調査がメインです。

その後2018年の上場が決まって徐々に会社としての体制が整っていき、チームごとに役割を持つようになったことで、受託調査業務に集中することになりました。もちろん、他部署同士で密な連携はしていますが、1人でなんでもやるといったことはなくなりました。今は米国も現地の方々でチームが立ち上がっているので、最近僕は海外には行ってません。

◆NTTとかリクルートにいた頃の経験は今の仕事に活きていますか?

ものすごく直接的に前職での経験が生きたっていう記憶はないですね。
ただ、例えばNTTには1年半しかいなかったものの、企業の研究所がどういう考え方で動いているのかっていうのは、一応上司とか先輩の動きで見えてたんで、知財や研究所のお客様と接する際に活かせている部分はあるかなと思いますね。

◆VALUENEXでの仕事は過去の経験を活かすというよりは、新しく勉強し直したという感じでしょうか?

まさにそうですね。もともとバイトしてたので、ある程度は技術的なことはわかっていましたが、ツールの営業とかコンサルとかは一切したことがなかったので、皆さんのやり方を見よう見まねで真似して勉強し、自分なりの方法を築いていきました。

◆創知のバイトに応募した背景

当時から僕はデータ分析とか機械学習を面白いなと思ってたんですよ、大学で習ってて。僕が大学生だった2009年当時は、ニューラルネットワークは一回死んだみたいなことを言われた時代でした。今の深層学習のようなものはまだ出てなくて、「なんか面白いけど使えないよねこれ」みたいな。

機械学習のブームは2012年からなので、2009年はまだそんな時代ではなかったものの、個人的には面白いと思ってました。そんな中でデータ分析の勉強をしていて、教科書を読むとよく出てくるのが「オムツとビール」ってやつなんですよ。

スーパーで買い物すると出てくるレシートを見ると、誰が誰と何を一緒に買ってるかがわかりますよね。各スーパーマーケットにたまってるそういったデータを分析すると、何のアイテムと何のアイテムがよく同時に買われているかっていうのを分析、発見することができるんですよ。

「おつまみとビール」とか「ミルクとオムツ」とかがよく一緒に買われるのは想像できますよね。だけど、実は「オムツとビールが同時に買われている場合が多い」ことがわかる。ここから、「お父さんがオムツを買いに来て、ついでに自分のご褒美としてビールも買っていく」みたいなケースが多いと推定できます。要は、データを見れば人間の行動の背景情報も推定でき、そういう一般常識ではない発見もできるということで、データ分析を面白いなと思ったんですよね。

当時はこういうマーケティング系の事例が多く、それはそれで面白いんですが、他にも色々転用できないのかなと考えてたんです。他にどういった応用先があるのかを調べてたら、「創知」っていう会社が求人サイトで見つかり、ここはデータ分析や機械学習をマーケティングではなく、知財や研究開発の方に活かそうとしてるというのが見えてきて。

当時、僕も理工学部の学生だったので、研究開発とか技術をうまくビジネス化するとか、そういうところにデータ分析を活かせるんだったら勉強してみたいなと思って、応募しました。

◆面接秘話

それでまずは創知に行きました。移転前のオフィス(※現在と同じ茗荷谷の小石川方面)!
中村社長ともう一人とで面接して、プログラミングはできるか、大学の専攻は何か、とかそんな感じのこと聞かれて。
当時プログラミングは、学校では習ったもののいきなりやれと言われてできる気はしない、みたいな感じだったんですが、「できる?」って聞かれたから「できます」って言ったんですよ。半分嘘!笑
できないって言ったら落ちるかなと思ったので。

◆涙のアルバイト1日目

最初の出勤って、まずはゆるく始まるのかなと思ったんです。オリエンテーションみたいなものから始まるのかなと思ったら、初日から中村さんが「このプログラム作って!(ポイっ)」と。中村さんからしたら、僕はプログラミングできる人じゃないですか。勉強はしたけどできないので、やばいと思って。

初出社した時の実際の作業指示は、下記のような内容でした。

<実際の作業指示>
1. 特許フィルタリングプログラムを作成してください。言語はVBAでもCでも良い。数万件あるので、処理速度は気を付けてください。特許データのFタームやIPCを参照して、ホニャララして、ホニャララする処理をしてください。

2. 準ニュートン法を求めるプログラムを作成してください。自作してもいいし、モジュールを探してもいい。

3. Googleで検索→結果をエクセルに出力するルーチンを自動化してください。

その日、与えられたタスクは本当に何もできませんでした。
茗荷谷のオフィス出て「ああ、なんもできなかった」って。

雪の日だったんですよ。
僕当時、八王子に住んでたんですが、空見上げたら雪降ってきて・・・笑「うわ辛い。俺、何もできねえ。」みたいな。

もう帰りに泣いたんですよ!悔しくて。

それで帰りに、八王子のくまざわ書店へ寄って、プログラミングの本を一冊買い、家帰って泣きながら読みました。作業指示書には「言語はなんでもいいが、例えば、VBAやCなど」と書いてありました。これがVBAとの初めての出会いですね。「絶対わかる!VBA」」みたいな本を買ってみました。

その本を読みながら中村さんから言われたタスクを一生懸命作って、次の出勤日には出せました。なんとか形にして中村さんに見せて、「ああ、いいじゃん!」みたいな感じで進んだ気がします。

とにかくめちゃくちゃ悔しくて泣いたってのを、本当によく覚えてるんですよ。
ただ、わからないものでも本を読んで頑張ってこなせば1週間後にはできるんだなってちょっと自信になりましたね。

でも必要に駆られなきゃこんなに勉強しなかっただろうなと思っていて。
中村さんのような社会に課題を感じて起業されたような方から、こんなプログラムが必要だ!といってタスクを振られて、「絶対やらないといけない」という時に必死になって勉強すると、効率良く勉強できるなと感じました。

◆バイト時代の業務

今のVALUENEX Radarって、ウェブ上で色んな機能がありますよね。例えば競合との比較分析とか。
どの技術がA社にとって強いか、或いはB社にとって強いかみたいなのを数値化するとか。そういったものを計算したりグラフ化したりというのを、当時はまだウェブ上でできなかったので、手元のエクセルで作ったんですよ。

下記は、当時の僕が作っていたツールの説明資料です。

学生時代に開発していた分析ツールのUI
今はウェブUI上で綺麗に表現される重心推移ですが、当時はこのような原始的な表現でした

統合マクロというツールでして。
VALUENEX Radarから俯瞰図データをダウンロードして、このツールに入力すると、等高線マップや重心の動きを可視化したり、競合分析に使えるような色んな指標を計算できます。

中村さんに見せてOKが出たらお客様に使っていただく。そして、日々、バグ修正や機能改善などを繰り返していました。多分、僕がこの会社でバイト時代に一番貢献したのは、この「俯瞰図を様々な観点から分析できるツール」を作ったことですね。今はもう全部ウェブ上でできるようになったのでお役御免だと思いますが、これがバイト時代のメイン業務でした。

たしか2014年頃、中村さんと食事に行った時に「実は林くんに作ってもらってたあの分析ツール、ウェブでできるようにしたんだ」みたいなことを言われたので、その時期に開発を進めたんだと思います。ほぼ全ての機能はウェブに移管されましたが、実は、2023年でもその分析ツールを使ってるお客様がいることを知りました。僕が学生の頃に作ったツールが、10年以上もお客様に使い続けていただいたと思うと、感慨深いです。

開発当時、よくバグも出してしまったと思います。ただ、それでも使ってくれるお客様がいて、色々とフィードバックいただける関係性だったのは、言うまでもなく社長や社員とお客様の信頼関係があったからだと思います。人やツールの思想が魅力的であれば、その可能性を信じて使ってくれるお客様がいる。技術は大事だが、技術だけじゃないと改めて感じました。

◆バイト時代を振り返って

基本的に中村さんに鍛えていただいたっていう記憶が強いです。
創業者ってとても大変だし、創業当初に少しは貢献できたかなと思うと嬉しいですね。

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