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【レポ】Q2B22 Tokyo「量子コンピューティングの実用に向けて」

2022年7月に行われた、QC WARE主催Q2B22 Tokyo「量子コンピューティングの実用に向けて」に、弊社CEOの中村が登壇しました。本記事では、「Q2Bって何??」という方のための解説や、参加したメンバーによるレポをお届けします。


Q2Bとは

Q2Bは、海外の量子コンピューティングエコシステムを世界に共有するためのイベントです。これまでは米国のみでしたが、今回は米国外では初となる日本での開催となりました。
その主催であるQC Wareは、”量子コンピューティング向けのエンタープライズ ソフトウェアとサービス(Q2BB公式HPより)”を提供している会社で、簡単に言えば量子界隈のリーディングカンパニーです。

<イベント詳細>
Q2B22 Tokyo 『量子コンピューティングの実用に向けて』
開催日:2022年7月13〜14日
会場:ウェステインホテル東京


VALUENEXのプレゼン内容

↑量子コンピュータの現状を説明する中村CEO


午後4時20分〜4時40分がVALUENEXの枠でした。

まずはじめに、CEOの中村によるVALUENEXの紹介です。
ビッグデータ予測分析企業であるVALUENEXは、テキストデータの可視化を得意としています。これを「宇宙点図」マップにマッピングし、点在するクラスタポイントから無数の事柄を調べることが可能です。中村がVALUENEXのアルゴリズムの本質的な価値についてさらに説明したのは、このアルゴリズムがどのように活用できるかを説明することでありました。

a)各社の競争戦略を調査することができる。
b)ある企業で優位に立っているのはどの企業か?
c)開発競争の進化と深化は?
d) 顧客はどこにいるのか?
e)企業のホワイトスペースとは?

このうち、中村が説明したのは、量子コンピュータの全体像だけでなく、この会議に参加した他のいくつかの大企業の特許データを調査してマッピングした内容でした。
まず、量子コンピュータの状況を示した空間地図には、明らかに2つの集中領域が見られた。これは、ソフトウェアに特化した特許領域と、ハードウェアに特化した大きな特許領域があることを象徴しています。この分析で注目すべきは、量子市場が依然として量子工学の研究・調査という基礎的な部分に重点を置いていることを示したことです。これは、この会議に参加した他の企業の発言を裏付ける重要な根拠となりました。

↑多くの参加者が俯瞰図を撮影

さらに、この2つの領域の間にギャップがあることを示し、ソフトとハードをつなぐミドルウェアという重要なホワイトスペースであることを強調。
さらに中村氏は、各企業の特許データについて説明し、いくつかの重要な洞察を行いました。

a) D-waveは、ミドルウェアの分野を徐々に支配しつつあり、ソフトウェアとハードウェアの間のギャップを埋める可能性が最も高いということである。
b) IBMのような企業は、ソフトウェアとハードウェアの両方の特許を個別に実施できる規模である。
c) 富士通のようにシミュレーテッドアニーリングに特化した企業は、その分野に集中している。

全体として、中村氏はVALUENEXのアルゴリズムの本質と、無数のアプリケーション用途を説明しました。スライドが切り替わるたびに、カメラが何台も飛び交い、中村氏のプレゼンに最も注目が集まったのは間違いないでしょう。


登壇社一覧

<7月13日>
QC Ware Corp.
 慶応大学
Boston Consulting Group
IBM Quantum
JSR株式会社
D-Wave Systems
Quantum Machines
クオンティニュアム株式会社
Keysight Technologies
Strangeworks, Inc.
NVIDIA
Bleximo
Classiq
富士通株式会社 富士通研究所 量子研究所
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
Valuenex Inc.
株式会社QunaSys

<7月14日>
QunaSys
東京工業大学
IBM Quantum
三菱ケミカル株式会社
Covestro Deutschland AG
JSR株式会社
 住友商事株式会社
Goldman Sachs
株式会社NTTデータ
(株)アイシン
BMW Group
(株)デンソー
豊田通商株式会社
名古屋大学
QC Ware


VNXデータサイエンティストの感想

〜VALUENEXで量子コンピュータに詳しい、データサイエンティストの大﨑(弊社「先進情報学研究室」所属)より〜

 最近の量子コンピュータ開発動向を知る良い機会でした。 1990年代にかつては量子技術をリードした日本の地に戻ってきての開催でもあり、日本人にとっては感慨深いものがあったと思います。 現在の量子計算技術は第1次ブームを迎えましたが、その端緒である世界初の量子ビットや量子アニーリングのアイデアを作ったのは日本でしょう。 この先、本格的な実用化へ向けて、量子誤り訂正やコヒーレンス時間の拡大など解決すべき課題がいくつかありますが、 日本を含む世界による今後の研究・開発の努力で克服され、現在のAI技術のように普及する日が来ることを期待しています。 充実した二日間となり、全ての関係者様にお礼の言葉を述べたいと思っています。お疲れ様でした。









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